96年にテレビ東京の情報番組でテレビデビューし、99年、フジテレビビジュアルクイーンに選ばれて一躍注目を浴びた吉井怜チャン。しかし、翌年、急性白血病に倒れ、02年まで闘病生活を送った。さて、今どうしているのか。

「2年前にも写真集を出しましたが、露出度は今回の方が断然高いですね。男性が女の人と旅行に行ったとき、こんなシチュエーションがあったら燃えるだろうなあ、って想像して試行錯誤したんです。どうすればカッコよく肌を見せられるかを考え、衣装や小道具を使って、体のラインが強調されるような演出もしましたし」

目黒にある所属事務所で会った怜チャン、明日発売の写真集「吉井怜 デビュー15周年記念写真集 『 ここから 』」を手に、こういってほほ笑んだ。目の前にはホットパンツから伸びたスレンダーな美脚が。また、写真集をパラパラと見れば、怜チャンがセクシーな肢体をさらしている。いやあ、タマリマセン。11年前に発症した急性白血病はもう大丈夫なようだ。

「ハイ、年1回、経過観察のために健康診断を受けるだけ。おかげさまで、すこぶる元気です。ただ、性格が変わったってよくいわれますね。ワタシは母から骨髄を移植してもらい、血液型がAからOに変わったんですけど、骨髄移植後はドナーの性格やしぐさがうつることがあるそうで、ワタシ、母と同じように身ぶり手ぶりを交えて話すことが多くなったみたいなんです。で、みんなが“オバサンくさい”って。ヒドいですよね、ハハハ。でも、おかげで以前と比べ、母とは何でも話せるようになった気がします」

闘病記「神様、何するの…―白血病と闘ったアイドルの手記」は02年に出版され、翌年、怜チャンと仲がいい宮地真緒主演でドラマ化された。
(急性白血病で倒れちゃった吉井怜チャン)



急性骨髄性白血病とは


急性骨髄性白血病とは、遺伝子異常が骨髄性前駆細胞に生じ、腫瘍化したクローンがさまざまな段階で分化能を失い、幼若な芽球(白血病細胞)が自律的に増殖する造血器腫瘍です。

増殖の主体である芽球(blast:骨髄芽球、単芽球、前赤芽球、巨核芽球)が、骨髄中有核細胞分画の中で20%以上を超えるもの(WHO分類にて。(従来のFAB分類では30%以上)を指します。

病型によっては一部、分化能が認められますが、基本は骨髄系芽球が急速に増加し、造血障害と全身臓器浸潤をきたす血液悪性腫瘍性疾患です。

AML幹細胞とその子孫である白血病細胞は、特有の染色体異常を認めることが多く、遺伝子異常を認め(多くは癌遺伝子が絡んでいる)、自律性増殖をきたします。したがって、白血病細胞は正常造血に対して増殖優位性を示すようになり、やがて骨髄は白血病クローンに取って代わられます。

結果、骨髄において、白血病細胞が増殖すると正常造血は抑制されてしまいます。その結果、正常な赤血球、白血球、血小板が造られなくなり、貧血や感染、出血傾向などのさまざまな症状が出現することになります。

世界標準であるFAB分類では、
Mo:最未分化型急性骨髄性白血病minimally differentiated AML
M1:未分化型急性骨髄性白血病AML without maturation
M2:分化型急性骨髄性白血病AML with maturation
M3:急性前骨髄球性白血病acute promyelocytic leukemia;APL
M4:急性骨髄単球性白血病acute myelomonocytic leukemia
M5:急性単球性白血病acute monocytic leukemia(未分化型単球性白血病M5a、分化型単球性白血病M5b)
M6:赤白血病erythroleukemia
M7:急性巨核芽球性白血病acute megakaryocytic leukemia
これら8型に分類されています。

急性骨髄性白血病の治療


急性骨髄性白血病の治療としては、以下のようなものがあります。
一般的な場合、白血病では診断確定後、複数の抗がん剤を用いての化学療法(寛解導入療法)を行います。 まず寛解導入療法で発症時10^12個存在するとされる白血病細胞を10^9個程度に減少させ、完全寛解(CR)を目指す寛解導入療法、次いで地固め、維持療法から成る寛解後療法を複数回行い白血病細胞の根絶をはかります。

急性骨髄性白血病の治療に重要な抗癌剤はシタラビンおよびアントラサイクリン系抗癌剤です。一方、急性前骨髄球性白血病(M3)における寛解導入療法では、初診時白血球数およびAPL細胞数で層別化治療を行います。

たとえば、初診時白血球数が3,000/μL以上の症例では、ベサノイド(ビタミンAの誘導体)に化学療法を加えて治療を行います。急性前骨髄球性白血病では、ビタミンA製剤であるオールトランスレチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法が用いられます。このような治療により寛解へと導かれます。

寛解とは、永続的一時的を問わず、病気による症状が好転または消失することを指します。つまり、一般的な意味で完治せずとも、臨床的に「問題ない程度」にまで状態がよくなることを指します。

寛解後療法の中で、寛解後早期に行う治療(地固め療法)はその有用性が確認されています。地固め療法は、寛解導入療法で使用された同じ薬剤の組み合わせで行われることが最も多いです。

薬物療法によって寛解に導入された症例を、そのまま薬物療法を継続するか、あるいは造血幹細胞移植、特に同種骨髄移植に踏み切るかはいまだに明瞭な基準がないだけに症例ごとに問題となります。

造血幹細胞移植の適応は薬物療法による予後中間群あるいは予後不良なグループです(予後良好なグループであっても、いったん再発すると薬物療法の成績はきわめて悪いので、移植でしか治癒は望めない)。予後不良因子としては、高齢者(50〜60歳以上)、白血球数増多(2〜3万以上)、染色体異常(5番および7番異常)などです。

骨髄移植とは、白血病や再生不良性貧血などの血液難病の患者に、提供者(ドナー)の正常な骨髄細胞を静脈内に注入して移植する治療のことです。

白血球のHLA型が、ドナーと移植対象患者との間で適合しないと拒絶反応、GVHD(移植片対宿主病)が起きるため、骨髄移植はできません。HLA型が合うのは、同父母の兄弟姉妹間で25%、非血縁者間では数百〜数万分の1といわれています。

急性骨髄性白血病は、好中球減少症による易感染性が非常に強いため、支持療法が必要となり、その主体は感染症対策になります。無菌室(ベッド)の利用、強力な抗生物質や抗真菌薬の使用に加え、寛解導入療法後に顆粒球コロニー刺激因子granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)が使用できるようになったことによって、好中球の回復が約1週間早く期待されるため、この時期の感染症対策は飛躍的に改善されたといえるでしょう。

非常に大変な思いをされたと思われます。是非、今後ともご自愛なさって、芸能活動を続けていただければ、と思われます。

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