人気落語家で元参議院議員の立川談志(本名・松岡克由)さんが、21日、亡くなった。75歳だった。

1936年、東京都生まれ。52年に五代目柳家小さんさんに入門。小よしの名で前座に。54年に小ゑんで二ツ目、63年に五代目立川談志を襲名して真打ちに昇進した。小ゑん時代から頭角を現し、切れ味のある啖呵たんかと痛烈な毒舌でファンを増やした。

同年代の三遊亭円楽さんや古今亭志ん朝さん、春風亭柳朝さんとともに「寄席四天王」と呼ばれて活躍。66年開始の日本テレビ系の演芸番組「笑点」で初代司会者を務め、テレビやラジオ、映画の世界でも売れっ子になった。

71年には参議院全国区に無所属で立候補して当選。自民党に入党し、沖縄開発庁政務次官も務めた。

83年には、弟子の真打ち昇進問題をきっかけに一門とともに落語協会を脱退。「立川流家元」として一派を率い、志の輔さん、談春さんらの人気落語家を育てた。

97年にがんを公表。手術して高座に復帰したが、09年8月末に体調不良から休養を発表。10年4月に再度復帰を果たしたものの、今年4月に当面の休養を発表し、入退院を繰り返しながら闘病を続けていた。
(落語家の立川談志さん、喉頭がんで死去)

喉頭癌とは


喉頭とは、喉頭とは、食物の通路と呼吸のための空気の通路との交差点である咽頭の奥で、空気専用通路の始まりの部分を指します。外から見れば、いわゆる「のどぼとけ(甲状軟骨先端)」の位置にあります。

喉頭の機能としては、咽頭に開いた空気の取り入れ口で、吸気では下の気管へ空気を送り、呼気では気管からの空気を咽頭に送ります(この空気が声帯を震わせ、発生ができるわけです)。

喉頭癌は、原発部位により声門上癌、声門癌、声門下癌に分類されます。喉頭癌の中でも、声門(声帯)に発生するがんが60〜65%を占め、声門上は30〜35%で 、声門下は極めて少なく1〜2%であるといわれています(声門上癌は次第に減少し、声門癌が増加しています)。

声門癌は、早くから嗄声を生じるので比較的早期に発見されます。声門上癌は2割強を占めます。初期には咽喉頭異常感などの不定愁訴しかないことが多いです。声帯に進展すると嗄声をきたします。癌が増大すると潰瘍を生じて咽喉頭痛、嚥下痛、出血を自覚するようになります。声門下癌は非常にまれです。初期には無症状で声帯に進展すると嗄声をきたします。声門上癌と声門下癌はリンパ節転移を起こしやすいです。頸部腫瘤を主訴として受診することがあります。


組織型は大部分が扁平上皮癌であり、稀に腺癌がみられます。男女比は10−15:1と圧倒的に男性に多いです。喫煙との関連が強く示唆されています。40歳代からみられ,60歳代、70歳代が多いです。

治療としては、以下のようなものがあります。

喉頭癌の治療


早期癌であれば喉頭部分切除術、進行癌であれば喉頭全摘出術などが施行されます。放射線療法や外科療法でも治癒する可能性がある場合は、年齢(手術に耐えられるかどうかなど)、全身状態、職業(声を使う職業で、できるだけ手術を避けたい、など)などを考慮した上で、それぞれの治療を決定していきます。

喉頭癌の5年生存率は80−90%と非常に良好である.嚥下・呼吸・発声という喉頭機能を保存して治癒率を上げることが目標である.放射線療法を基本にして化学療法と手術を組み合わせる.当科での治療法を述べる.

声門癌では、T1、T2N0症例は放射線根治線量(60−70グレイ)を照射します。40グレイ照射時に効果を判定し照射のみで根治を望めないと判断されたときは手術を行います。多くの場合、喉頭垂直部分切除術によって制御可能です。

T2N+およびT3症例はTPF同時併用放射線療法を行います。40グレイ照射時に効果を判定し照射のみで根治を望めないと判断されたときは手術〔垂直部分切除術,喉頭亜全摘術(cricohyoidoepiglottopexy:CHEP)、喉頭全摘出術〕を行います。

声門上癌では、T1、T2N0症例はPF同時併用放射線療法を行います。T1、T2声門癌に比して腫瘍容量が概して大きいことから化学療法を併用します。40グレイ照射時に効果を判定し照射のみで根治を望めないと判断されたときは手術を行います。多くの場合、喉頭水平部分切除術によって制御可能です。

T2N+およびT3症例はTPF同時併用放射線療法を行います。40グレイ照射時に効果を判定し照射のみで根治を望めないと判断されたときは手術(水平部分切除術、CHEP、喉頭全摘出術)を行います。

声門下癌では、T1で発見されることはあまりまりません。T2以上の場合、声門上癌と同じ治療方針となります。

いずれの場合も根治線量照射後に腫瘍の残存を認めた場合は可能な限り喉頭機能を保存できる手術を追加します。また、T4症例は最初から喉頭全摘出術と両側保存的頸部郭清術を行います。摘出標本の病理組織検査で断端に腫瘍細胞陽性の場合、転移リンパ節の被膜外浸潤や脈管浸潤を認める場合は術後照射を追加します。

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