元アルゼンチン代表監督で、UAEのアルワスルを指揮するディエゴ・マラドーナ氏(51)が、腎臓の結石を取り除く手術を受けていたことが分かった。

クラブの発表によると、同監督は15日の朝に痛みを訴えて地元の病院に入院20+ 件。同日に受けた手術は成功し、16日に無事に退院したという。
(マラドーナ氏 腎臓の結石除去手術成功)

腎結石とは


尿路内,特に腎盂、腎杯にできた結石を腎結石といいます。尿中に溶解している物質が析出し、それがさらに凝集・成長し結石となります。砂状の小さな結石から、腎盂、腎杯に広がる珊瑚状結石まで大きさはさまざまで、数も単発から多発結石まであります。

生活習慣の欧米化に伴って増加傾向を示し、生涯罹患率が男性9%、女性4%となる一般的な疾患です(生涯罹患率は10人に1人に迫り、5年再発率は約40%とされている)。結石成分は、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムの各単独と混合結石(カルシウム含有結石)をあわせると85%を占めています。

腎結石の症状としては、軽度の腎部の鈍痛を訴え、時に肉眼的血尿となります。腎結石が嵌頓すると、腰背部が痛みます(尿管結石は腰背部から側腹部の疼痛と、陰嚢、大腿部に放散する痛みが特徴的)。この痛みは激烈で、悪心、嘔吐などの消化器症状と、顔面蒼白、冷汗、血圧低下などのショック様症状を伴うこともあります。Juanitaさんの場合、以前にもこうした症状があり、診断されたこともあったのかもしれません。その結果、「腎結石」と思ったようです。

こうした疝痛発作時には悪心やイレウスなどの消化器症状を伴うので、消化器疾患や婦人科疾患と誤診されることもあります。また、上部尿路結石であっても、側腹部痛や腰部の鈍痛程度のものから、なかには痛みを認めないものもあります。

移動がない結石は通常無痛性ですが(silent stone、尿管に下降すると激烈な疼痛発作をきたします。結石の長径が5 mm以下の小結石は下降速度もはやく、痛みが強いという特徴があります。逆に、10 mm以上の尿管結石は、疼痛が少ないが自然排石も期待しにくいです。さらに、感染を合併すると腎盂腎炎様症状が出現することもあります。結石が尿路を閉塞して乏尿や排尿困難をきたす場合があります。

検査としては、まず血尿があるかどうか、尿検査にて検査します。また、カルシウム結石はX線非透過性であり、単純X線写真上確認できます。超音波検査は結石を検出できるほか、腎盂、尿管の拡大などの検索もできるので非常に有用です。このように、疼痛部位と腎とが一致し、水腎症を認め、血尿があれば診断はより確実になります。

治療としては、以下のようなものがあります。
疼痛に対する治療としては、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が用いられ、ボルタレン坐薬(25・50mg)がよく使用されるようです。ただ、消化管潰瘍のある患者や喘息患者への投与では副作用に注意する必要があります。

坐薬の効果が弱いときは、非麻薬性鎮痛薬(ソセゴン注 15〜30mg)を投与します。硬膜外麻酔は、上記の治療に反応しない強い疼痛に対しては有効であり、自然排石効果も期待できます。腰背部の指圧、局所麻酔注射などもよいとされています。

結石自然排石を促す薬物治療はありませんが、利尿や抗炎症効果のある漢方製剤がよく使われます。排石をはかるために、飲水励行と適度の運動を勧めます。

直径5mm以下の結石では自然排石を期待できますが、10mm以上では難しいです。そのため、体外衝撃波結石砕石術や内視鏡的砕石術などが行われます。

体外衝撃波結石破砕療法(extracorporeal shock-wave lithotripsy; ESWL)とは、衝撃波を体内の結石に集束させて破砕する方法です。2cm 以下の結石が対象で、疝痛発作にも有効です。ただ、合併症として、破砕片の嵌頓(砕かれた結石がつまることもある)、腎被膜下血腫があります。当然のことながら、妊婦は基本的に禁忌です。

また、内視鏡手術で、破砕不能な結石は尿管鏡手術または経皮的腎盂鏡手術で破砕・摘出する方法もあります。大きなサンゴ状結石、感染結石に合併する無機能腎などでは開放手術が行われることもあります。

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