活動休止中のアカペラグループ、RAG FAIRの“おっくん”こと奥山政佳(33)が「左特発性顔面神経麻痺」と今月20日に診断され、現在も治療のため入院していることがわかった。

28日に名古屋市内で出演予定だったライブイベント『松永貴志 featuring 奥村政佳』は開催中止が決まり、奥山は公式サイトで謝罪とともに「生まれて初めての入院生活ですが、順調に治療も進んでいますので安心して下さい」とコメントしている。

22日にライブ中止を公式サイトで発表したのに続き、25日には自身のブログで「原因ははっきりとはわからないものだそうですが、いろんなストレスで抵抗力が弱まったときになる人が多いらしく、震災から1年という区切りを前にどれも大切にしたいことが、色々立て込んでしまったというのも正直なところです」と経緯を報告。

「左半分の顔に力が入らない状況」といい「まぶたも閉じないし、おでこ、鼻、唇も。歯医者で歯を抜いた直後の違和感がずっと続くみたいな感覚。寝るときも目が閉じないし、シャワーのときも困ります。幸い聴覚は正常だけど、味もなんだかヘンだし、ごはんは噛めば噛むほどお口が勝手に右へ行きたがるし、左頬はリスみたいにたまるので、これがちょっとツラいです。鏡の前で一生懸命リハビリ中」と現状を明かした。

奥村は「ステロイドの集中的な点滴と投薬をしているので、退院予定の3月あたまくらいまでは病院。ストレスは良くないらしいのですが、あまり暇なのが僕はストレスなので…どうしましょうねぇ(笑)」と冗談を綴る余裕も生まれ、「病室外交はおかげさまでスムーズ!お友達も沢山出来ました。そのあたり、いたって気持ちは元気なのでご心配なく!」と明るく呼びかけている。
(RAG FAIRおっくん「左特発性顔面神経麻痺」で入院)

顔面神経麻痺とは


顔面神経麻痺とは、顔面神経の支配する顔の表情筋の麻痺が起こった状態を指します。これが中枢性の麻痺か末梢性の麻痺かを知ることが重要となります。脳幹橋部にある顔面神経核で起こる麻痺(中枢性)と、核を起源とし顔面神経支配筋に至る核下性の障害(末梢性)で出現するものに分かれます。

たとえば、突然ないし急性に発現するのは、中枢性の顔面神経麻痺ではテント上あるいは橋上部までの脳幹の脳血管障害(脳梗塞,脳出血)が多く、麻痺の出現は片側性となります。

末梢性の場合は、上記のようにBell麻痺がほとんどで、時に帯状疱疹ウイルス感染や糖尿病に伴うものがあり、この場合も原則として片側性です(Bell麻痺患者では約1割に再発がみられ、40%は同側、60%は対側に発生する)。ウイルス感染の場合、水痘帯状ヘルペスが原因であり、Ramsay Hunt(ラムゼイ・ハント)症候群として分けられます。

中でも、顔面神経専門外来の約40%を占めるとされるのが、原因不明の急性一側性(稀に両側性)の末梢性顔面神経麻痺であるBell(ベル)麻痺です(末梢性顔面神経麻痺の約7割を占めるといわれる)。

末梢性の顔面神経麻痺である場合、
・前頭筋麻痺:麻痺側では額のしわの消失がみられ、中枢性ではこれが保たれる。
・眼輪筋麻痺:開眼が不完全となる。閉眼不全が高度になると閉眼時に白眼が残り兎眼となる。角膜反射は低下する。
・口輪筋麻痺:浅い鼻唇溝、口角下垂などがみられる。口を閉じて頬を膨らませることができず患側から息がもれる。口から食べ物が漏れる。
・広頸筋麻痺:口を横に広げると患側の広頸筋の収縮がみられない。
・アブミ骨筋神経の麻痺の合併:音が響く、聴覚過敏など
・涙液・唾液分泌低下
・鼓索神経麻痺の合併:麻痺側の舌の前2/3の味覚低下

これらの臨床徴候の組み合わせから、病巣の部位診断がある程度可能となります。
こうした顔面の麻痺が突然ないし急性に発現したか、徐々に発症したか、また片側性か両側性かは、病気の原因となっている病変を推定する際に有用な情報となります。

治療としては、以下のようなものがあります。

顔面神経麻痺の治療


末梢性顔面神経麻痺の場合、予後は一般に良好で、80%は 1〜2か月以内に完全治癒に至ります。ですが、残りは半側顔面筋の拘縮、麻痺、痙攣や異常連合運動など不快な後遺症を残すこともあります。

そのため、完全治癒以外の残り20%の予後不良群をいかに完全に回復させるかが問題となります。理学療法として、顔面の軽いマッサージ、表情運動(発症10日後あたりから)を行ったり、物理療法として寒冷からの保護、蒸しタオルによる顔面温湿布、針治療を行います。

目が閉じない場合、睡眠中には,角膜乾燥を防ぐため、紙テープなどで上眼瞼を押さえ乾燥・外傷から角膜を保護することも行われます。日中は眼帯、めがねなどを用い、点眼薬で乾燥を防ぎます。

薬物療法としては、ステロイド(顔面神経の浮腫を改善し、顔面神経管内での絞扼状態から神経変性を防ぐ)、血管拡張薬を投与します。星状神経節ブロックといって、頸動脈や椎骨動脈領域の血流を増加させ、顔面神経への血行を改善させることも行われます。

軽症例は自然回復することが多く、ビタミン剤のみで経過をみることもあります。麻痺が高度な例の急性期(発症3日以内)には、顔面神経の炎症・浮腫を軽減する目的で副腎皮質ステロイド薬を短期間使用します(プレドニゾロンを1日1mg/kgを最初の5日間投与しその後の5日間で漸減・中止)。

また、顔面神経麻痺出現後に帯状疱疹の皮疹が出現することもあることから、発症早期に抗ウィルス薬であるアシクロビル、バラシクロビルを併用することもあります。

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