フリーアナウンサーの久米宏が、先月3月31日放送の自身のラジオ番組『久米宏 ラジオなんですけど』の収録を欠席した。4月7日復帰した久米は、欠席した理由を「入院20+ 件していた」と明かした。

3月25日のこと。久米は、石川さゆりのデビュー40周年特別公演『貞奴 世界を翔る』を観覧した。石川は40年前の同日にデビュー。記念すべき公演日とあって、会場は超満員だったという。予定の終了時間を1時半オーバー、5時間に及ぶステージが大盛況のうちに終演した。ちなみに会場には久米の古くからの知人で、復縁のうわさもある石川の元夫もいた。偶然出会い呼び止められ「別れた旦那も観に来るのか」と、内心気まずい思いもしたと振り返る。元夫の胸には「スタッフ」の札がついていたそうだ。

そしてその日のうちに、久米は40度近い熱を出し病院に行ったところ、肺炎と診断され即入院20+ 件となった。結果、10日間ほど入院していたということだ。同番組で共演する落語家・林家彦いちも番組HPの放送後記で「久米さん心配していたのですが、本番中に豆食べたり元気でございました。」と綴っており、大事には至らなかったようだ。
(久米宏、自身のラジオ欠席理由を告白「肺炎で入院していた。)

肺炎とは


肺炎とは、肺胞や肺間質に生じる炎症のことです。原因は種々の微生物や化学物質、物理的、免疫学的要因など、さまざまなものがあります。一般的には肺の急性感染症として理解されています(ウィルスや細菌などが原因となっています)。

日本人の死亡率の第4位を占める疾患は肺炎であり、85歳以上の高齢者では肺炎が死亡率の第2位となり、治療薬として優れた抗菌薬を用いても高齢化社会が進む日本では大きな問題となっています。

罹患場所によって市中肺炎(普通の生活のなかで発症した肺炎)や院内肺炎(病院で治療中の患者、他の疾患を持つ患者に発症した肺炎)と分けたり、他にも感染した細菌やウィルスなどで分類したりします。起炎微生物の種類としては肺炎球菌とレジオネラの2菌種が重症肺炎の原因菌となり、注意する必要があります。

肺炎で最も頻度の多い原因は、肺炎球菌です。特に、ウイルス感染や喫煙で気道の線毛運動によるクリアランス機構(細菌を排除する機能)が障害されると、細気管支や肺胞腔内に吸入されて、肺炎が起こってしまいます。

肺炎の診断は、呼吸器に炎症が存在する症状・所見があり、X線写真で陰影を認めること、そして原因菌をグラム染色で認めるか培養で分離すること、またはその他の方法で原因菌を確定することが重要です。

臨床症状としては一般的に、喀痰や咳嗽、発熱、胸痛、息切れなどが重要です。一般細菌性肺炎(膿性痰を伴う湿性咳嗽が多い)と非定型肺炎(痰を伴わない乾いた咳が多い)では臨床像や検査所見などが異なり、治療方針も違ってくるため、両者を判別することは臨床的に重要です。

ただ、高齢者の場合、こうした症状があまり前面に出てこなく、食欲不振や自発性の低下のみが前面に立つ場合も多いので注意が必要です。

肺炎を疑ったら、まず胸部X線を撮影し、陰影が認められれば肺炎として、重症度の判定や病原微生物の検索へと進んでいきます。胸部X線で陰影の有無が判明しないときには、胸部CTが役立つ場合があります。また、胸水の存在や空洞形成なども診断には有用な所見です。

血液検査では、白血球数やCRP、赤沈、ムコ蛋白などの急性相反応の上昇がみられます。これは、炎症が起こっていることを示します。また、細菌性肺炎では白血球増加が特徴であり、マイコプラズマやクラミジア、ウイルスなどによる非定型肺炎では白血球は一般に増加しません。

非定型肺炎では、ASTやALTなどの酵素の上昇がしばしばみられます。マイコプラズマ肺炎では、寒冷凝集素の上昇も特徴的です。

原因となった微生物は、痰を検体としてGram染色などを行います。他にも、血液培養や血清学的診断法として、抗体価の上昇などをみて同定していきます。肺炎球菌やレジオネラ肺炎に関しては、尿中抗原を検査することもでき、簡便な検査ですのでよく用いられます。

肺炎の治療


肺炎の治療としては、以下のようなものがあります。
市中肺炎の治療に際してまず重要なことは、外来で治療をするか、入院させて治療をするかといった判断です。

高齢者や肺炎の経過に影響を及ぼす合併症や基礎疾患を有する患者さん、経口摂取のできない患者さん、頻脈、頻呼吸、低血圧、低酸素血症、意識レベルの低下などを認める患者さんでは、入院による治療が必要となると考えられます(これらの判断基準は、「呼吸器感染症に関するガイドライン」の肺炎の重症度分類などに記してある)。

市中肺炎の治療に関しては、肺炎球菌を目標に薬剤を選択します。したがって、ペニシリン系抗菌薬が第1選択であり、そのほかにセフェム系抗菌薬も選ばれますが、日本では特にペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)の増加が問題となっています。

また、マクロライド耐性肺炎球菌の増加も著しく、耐性の肺炎球菌に対してもペニシリン系抗菌薬の注射剤であれば、十分な濃度が肺炎の局所で達成されるため、有効であり、第1選択となりえます。
 
マイコプラズマやクラミジア、レジオネラなどによる非定型肺炎に対しては、マクロライド系抗菌薬やテトラサイクリン系抗菌薬、フルオロキノロン系抗菌薬が有用であると考えられます。このような薬剤を適宜用いて、治療を行っていきます。

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