ワイドショーやバラエティー番組などでも活躍した流通ジャーナリストの金子哲雄さんが2日午前1時18分、肺カルチノイドのため、都内の自宅で死去した。41歳だった。

金子さんは約1年半前に体調を崩し、その後悪性腫瘍のひとつであるカルチノイドに肺を侵されていることが判明し、闘病していたという。なお、通夜は4日午後6時、告別式は5日午前10時から、東京都港区東麻布1の1の5、心光院で。喪主は妻の金子稚子(わかこ)さん。

特徴ある話し方で節約術や値切りテクニックなどお金にまつわる話題を披露し、ワイドショーからバラエティー番組まで幅広く活躍してきた金子さんが41歳という若さで亡くなった。

所属事務所などによれば、金子さんは約1年半前に体調を崩し、通院治療を続けていた。最近まで体調と相談しながらテレビ出演もしていたが、ぽっちゃりとしていた体形も見た目に分かるほどげっそりとやせ細っていた。

金子さんが肺を侵されたカルチノイドは、粘膜から発生する悪性腫よう。小腸や大腸などの消化管や、肺の気管支などに発生することが多く、根治には外科切除しかない。転移や浸潤ががんよりも穏やかとされることから、がんの意味であるカルチと、類を意味するノイドの「がんもどき」とも呼ばれているという。

金子さんは慶大卒業後、ジャパンエナジーに入社。その後コンサルタントとして独立し、コンサルティング業務を行うほか、お金にまつわる多くの著書を執筆。テレビやラジオには、2008年ごろから登場し、家電量販店などでの値切りテクニックなどを、特徴あるトークで披露していた。

最近は、激やせぶりがネットでも話題になっていたが、テレビ番組で睡眠時無呼吸症候群を患ったことから食生活を野菜中心に変えるダイエットに取り組み、「体重が13キロ落ちた」と話し、闘病については明かしていなかった。
(金子哲雄さん急死!41歳、肺に悪性腫瘍…闘病隠しテレビに)

肺カルチノイドとは


カルチノイドとは,形態学的に癌に類似する一群の腫瘍を指します.カルチノイドは癌腫と比較して組織学的に細胞異型度が低く,特徴的な組織構築を呈し,緩徐に発育する腫瘍です.したがって良性腫瘍と悪性腫瘍の中間に位置する病変といわれています.

消化管や気管支,肺に発生します.カルチノイド腫瘍の70%以上が消化管原発であり,約20%が肺・気管支に発生するといわれています.消化管における発生頻度は,直腸・結腸が39%と最も多く,次いで胃27%,十二指腸15%の順です.

カルチノイド腫瘍はセロトニンをはじめとするさまざまな生理活性物質を産生しますが,消化管原発の場合,産生物が経門脈的に肝臓で代謝されるので症状が出にくいです.しかしながら,腫瘍が大きい,あるいは肝転移をきたしている場合には,生理活性物質が大循環に流入し,発作性の顔面紅潮,喘息様発作,下痢,右弁膜障害などの症状をきたすことがあります.この病態はカルチノイド症候群とよばれ,この病気の方の約5%に認められます.

肺カルチノイドは,性差はなく,肺癌症例よりも若い年齢層に発生します.大多数は主気管支〜区域気管支から発生し,組織像から2種に分けられます(定型的カルチノイドと非定型的カルチノイド).平均年齢は 40〜50 歳代とする報告が多く,発見時の症状として,咳嗽,血痰および気道狭窄や閉塞による無気肺からの発熱,息切れなどを有することが多いですが,9〜30%は無症状とされます.

発生部位は主気管支や葉気管支レベルの中枢発生が多く、全体の約 60〜85%で、残りが末梢発生とされています.中枢発生例は気管支内にポリープ状に発育し,気管支鏡で観察すると,表面は平滑で光沢があり,気管支上皮に覆われていることが多いです.

CT では境界明瞭で,分葉状形態を呈することもあります.中枢型では葉気管支や区域気管支の分岐部付近に発生し気管支内腔にポリープ状に発育することが多いです.淡く微細な石灰化や、びまん性石灰化を認めることがあります.造影 CT では,均一な強い造影効果を呈することが特徴です.腫瘍により気管支閉塞や狭窄を来たし,二次性に無気肺,mucoid impaction,閉塞性肺炎,肺過膨脹を生じることがあります.

肺カルチノイドの治療


治療は,化学療法,放射線療法は一般的に無効で,外科的切除が第一選択となります.予後は,カルチノイド全体の 5 年生存率は 85%前後ですが,定型では 87〜100%であるのに対し非定型では 35〜75%と有意に予後不良といわれています.

カルチノイド症候群を呈する場合で転移をきたし切除が困難なケースでは,セロトニン拮抗薬,セロトニン生成阻害薬が投与されます.

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