前日29日に自身のブログで、1年ほど前に右耳に突発性難聴を発症していたことを告白したシンガーソングライターのスガシカオ(46)が30日、自身のフェイスブックを更新。

「一年ほどの治療の結果、現在は7〜8割程度、聴力は回復しております」と報告した。
29日のブログでは医師に「最悪の場合、右耳の聴力はある程度あきらめてください」と言われ、ショックを受けたことをつづっていたが、この日は「右耳の高音域と低音域の聴力は、おそらく今後も戻らないと思われますが、左耳は非常に良好な状態ですので、最近は上手に病気と付き合っていけるようになりました」とし、心配するファンに呼び掛けた。

また30日、ブログも更新し、突発性難聴との闘いについてつづった。
病気を「なんとなく右耳に蓋(ふた)をされているような、脱脂綿をたくさん詰め込まれているような、ボワワンとしたそんな感じだ」と表現。「とにかくずっとずっと耳鳴りがやまない、頭がおかしくなりそうだった」「気晴らしに好きな音楽を聴いても、左右で音がバラつき、ステレオで聞こえないからつまらない。世界の終りのような気分だ」「電話もとりたくなかった。おれは、いつも右耳で電話に出るからだ」と、つらかった日々を振り返った。

さらに、主治医からハリや整体といった東洋医学を勧められたといい「東洋医学での治療は激しい痛みを伴い、しかも保険がきかないから治療費もかさんだ」と苦悩を告白。それでも効果が出始め「日によっては検査でなんと70%くらいまで回復してきた」という。今年1月からのツアー中も、ステロイド治療と東洋医学を併用していたと明かした。
(スガシカオ フェイスブック更新 聴力は「現在7〜8割程度回復」)

突発性難聴とは


難聴は「伝音性難聴」と「感音性難聴」と分けられ、内耳以降の感音器の障害が原因である難聴のことを感音性難聴と言います。音のエネルギーは内耳リンパ液の振動に変換されますが、内耳または内耳から聴覚中枢に至る部位に器質性の病変があると考えられる聴覚障害が、感音性難聴です。突発性難聴とは、突然に生じる難聴のうち、原因が不明の感音性難聴のことを指します。不明なことが多くしかも一元的ではなく、1つの臨床症状を示す疾患群として捉えられています。

名前の通り、突然に難聴が発生することが特徴的です。「朝、目が覚めて」「作業中」など、自分がそのとき何をしていたかを明言できる状態で起こることが多いようです。一般に片側に生じますが、まれに両側性(1%未満)に生じることがあります。

早期の治療で聴力の回復が期待できる、数少ない感音難聴の1つであり、耳科領域の救急疾患として重要であるといわれています。1993年に厚生省研究班を中心に行った調査では、突発性難聴の全国受療者数は推定、年間24,000人で、人ロ100万人対で192.4人とのことで、決して少なくないと考えられます。

難聴の程度は、中等度から高度さらには聾に至るものまであり、聴力像も低音障害型、高音急墜型、水平型、聾型など多様です。内耳性の障害で、通常は片側性。30〜60歳代に好発します。

耳鳴、耳閉感、時にめまいを伴いますが、メニエール病と異なり、めまい、難聴発作が反復して起こることはないとされています。内耳循環障害説、ウイルス感染説の2大説のほか、内リンパ水腫、内耳窓破裂、アレルギー、ストレスなどが原因として挙げられています。

突発性難聴の治療


突発性難聴の治療としては、以下のようなものがあります。
まず、聴力が固定するまで(約2週間から1か月でほぼ固定)安静やストレスの回避が重要となります。薬物療法としては、ステロイド剤が主体となります。発症から2週間以内の早期治療が重要視されています。

また、ストレスの関与が疑われる症例も多いことから、可能な限り入院のうえ安静を保ち、薬剤の併用療法、いわゆるカクテル療法が一般的には行われています。現時点では内耳血流障害とウイルス感染を想定した治療を行うことになります。

ステロイド薬は二重盲試験によりその有効性が証明されている薬剤であり、その抗炎症作用を期待して多くの場合、第1選択薬として用いられています。内耳循環改善のため循環改善薬、プロスタグランジン製剤、代謝賦活薬、ビタミンB12なども用いられています。

また、内耳血流障害による低酸素状態の改善のため高気圧酸素療法なども、主に治療効果の少ない症例に対する追加治療として行われる場合もあります。

厚生省難聴班でATP、betamethasone(BM)、hydrocortisone(HC)、prostacylin (PC)、prostagrandin(PG)、Urografin(UC)の6剤の効果を検討したそうですが、どの薬剤が有効か結論は得られなかった、とのことです。

他にも、星状神経節ブロックや高気圧酸素療法なども試みられているそうです。予後としては、3分の1は完治し、3分の1は回復するが難聴を残し、3分の1は治らずに終わるとのことです。中でも、難聴が高度(特に聾型あるいは重症度の高いもの)、めまいを伴う症例、高齢者、発症後治療開始まで10〜14日以上経った例では聴力の予後は不良となります。

また、鼓室内注入療法といって、鼓膜後下象限に鼓室換気チューブ(KOKEN type BまたはPaparella typeII)を挿入、あるいはOtoScanを搭載したCO2レーザー(Lumenis 30C)にて鼓膜に円形の穿孔を作成し、これらチューブあるいは鼓膜開窓部を介してデカドロン 2 mg/0.5 mLを25 Gの注射針を用いて注入する治療が行われることもあります。

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