2012年11月13日放送の「爆笑問題カーボーイ」にて、田中裕二が伝染性単核球症で入院していたことを明らかにしていた。

太田「聞いたら…EBウィルスに感染したらしくって。これが子供しか掛からないウィルスらしくって」

ウェストランド・井口「本当ですか?」

ウェストランド・河本「天才ですね」

太田「はっはっはっ(笑)化け物ですよ、あの人は」

ウェストランド・井口「ずっと体調悪かったですもんね。タイタンライブ100回記念のときも点滴を打ちながら来られて」

太田「そこからウィルスに感染してたんでしょうね」

ウェストランド・河本「『漫才やったら元気になっちゃった』って言ってましたね」

太田「でも、今日は変な声で。『この病気はね、10歳の子供にしか感染しないんだって。大人には絶対に感染しないから安心して』って言ってて」

ウェストランド・井口「うつらないんですよね」

太田「俺も風邪気味なんだけど…伝染性単核球症で良いの?急性咽頭喉頭炎ということで」
(爆笑問題・田中「伝染性単核球症で入院していた」)

伝染性単核球症とは


伝染性単核球症は、1964年にEpstein,BarrらによりBurkittリンパ腫から発見されたヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスのEpstein-Barrウイルス(EBウイルス:EBV)によって起きる感染症です。EBウイルスは、患者さんや健常者の咽頭や口腔内に存在し、唾液などを介して飛沫もしくは接触感染します。まれに輸血などにより血液を介して感染する場合もあります。

伝染性単核球症は唾液中のウイルスが感染して起きるため、思春期以降の症例ではキスを契機に発症することがあることから、kissing disease(キス病)あるいは大学生にみられるので、college diseaseの別名があります。成人では、免疫を持っているために罹らないことが多いのですが、田中さんのように成人になってから発症される方もいます。

また、EBウイルスはBリンパ球に潜伏/持続感染し、宿主の免疫状態が抑制されると再活性化してリンパ増殖性疾患を生じることがあり、Burkittリンパ腫や上咽頭癌との関連性が示唆されています。

一方で、明らかな免疫不全のない個体にEBウイルスが持続的に感染し、さまざまな症状を呈してくることがあり、慢性活動性EBウイルス感染症と呼ばれています。

伝染性単核球症では、潜伏期は 4〜14日で、発熱、頭痛、全身倦怠感、食欲不振など、感冒様症状で発症します。発熱は約90%に認め、高熱となることも多く、1〜2週間持続します。扁桃炎による咽頭痛、嚥下困難がみられることもあります。

身体診察では、頸部リンパ節腫脹は最も重要な所見です。腫脹は全身のリンパ節に及ぶこともあり、軽度の圧痛を伴うことが多いです。肝脾腫が10〜50%に認められます。扁桃炎では、発赤・腫脹のほか、しばしば白苔や偽膜を認めることがあります。約10〜40%の症例では、経過中に種々の発疹を認めます。

検査や治療については、下記の通りです。
末梢血検査ではリンパ球増多(50%以上もしくは5,000/μL)、異型リンパ球の増加(10%以上もしくは1,000/μL)が特徴的です。血小板は時に減少します。

EBV関連性血球貪食症候群を併発した場合には、汎血球減少が認められます。EBV関連抗原のうちviral capsid antigen(VCA)、early antigen(EA)〔diffuse(D)とrestricted(R)〕、Epstein-Barr nuclear antigen(EBNA)に対する抗体を測定し、抗体反応の組み合わせにより初感染・既感染の判定が行われます。

初感染の場合、VCA-IgM抗体は急性期のみ、EADR-IgG抗体は比較的早期のみに認められ以後低下します。VCA-IgG抗体は上昇後終生持続します。EBNA抗体の上昇は最も遅れ、初感染後1から数か月を経て出現するが上昇後は終生持続します。

特異的な治療法はなく、発熱・咽頭痛などに対して対症療法を行います。合併症を起こした場合は、その種類に応じた対応が必要となります。

確定診断前に抗菌薬が使用される場合がありますが、抗生剤であるアンピシリンを使用すると高率に発疹(重症の場合にはスティーヴンス・ジョンソン症候群)が出現するので、本疾患が疑われた場合にはアンピシリンの使用を避けるべきであるとされています。

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