インフルエンザの患者が急増し、患者数が昨年同期の2倍近くに上っていることが、国立感染症研究所のまとめで18日わかった。専門家は本格的な流行に入ったとみて、マスクの着用や手洗いなど感染拡大の防止を呼びかけている。

感染研などによると、全国約5000か所の医療機関から今月7-13日の1週間に報告された患者数は、1医療機関あたり平均12・07人で、前週の3倍に増えた。20歳以上の成人が65%を占め、ウイルスの型はA香港型が8割強となっている。

都道府県別では、群馬県で同27・71人、茨城県で同25・88人、千葉県で同22・52人と、関東地方で患者が多い。佐賀県で同19・97人、愛知県で同14・14人など九州、東海地方も多い。9県で警報レベル(同30人以上)、38都道府県で注意報レベル(同10人以上)の地域がある。
(インフル患者急増、昨年の2倍に…A香港型8割)

インフルエンザとは


インフルエンザとは、A型(香港型H3N2・ソ連型H1N1)およびB型インフルエンザウイルスの感染による急性呼吸器感染症です(C型は小児期に感染し、呼吸器感染症の原因となる。ただし、明確な流行の形をとらない)。

1〜2日の潜伏期の後、突然の発熱(>38℃)、頭痛、全身の筋・関節痛などで発症し、鼻汁・鼻閉や咽頭痛、咳嗽などの呼吸器症状を呈します。

通常は、約1週間の経過で自然に軽快しますが、高齢者や慢性肺疾患などの基礎疾患をもつ患者では肺炎球菌やインフルエンザ桿菌などによる二次性の細菌性肺炎を、小児では中耳炎を合併する場合があります。乳幼児における急性脳症は予後不良(死亡率15〜30%)といわれています。

A、B型では、粒子表面に赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)が存在します。A型インフルエンザウイルスにはHA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)の変異が特に多く、年によって流行するウイルスの型はかなり異なります。そのため、A型は世界的に大流行が起こる可能性が高いと言われています。

インフルエンザの臨床経過としては、潜伏期 1〜2日後に悪寒、発熱、頭痛、腰痛、倦怠感など全身症状が突然発現し、呼吸器症状は若干遅れます。39〜40℃の発熱が 3〜5日持続し、急速に解熱しますが、倦怠感などが残ります。筋肉痛や関節痛、悪心・嘔吐、下痢、腹痛もあり、下気道への進展例は咳、痰、胸痛などが生じます。

診断には抗原検出迅速診断キットがきわめて高感度で有用であるといわれています。ただ、偽陰性の場合もあるため、流行時期における特徴的な症状などから臨床的診断を行うこともあります。操作が簡単で判定時間が短いイムノクロマトグラフィーを原理とした迅速診断キットが主流になっています。一般的に性別を問わず、ウイルス培養の結果と比較した感度は90%以上と言われています。

インフルエンザの治療


インフルエンザの治療としては、以下のようなものがあります。
インフルエンザの治療では、ノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル、リレンザ)が用いられることもあります。インフルエンザA型・B型ともに有効で、罹病期間を短縮できるといわれています。アマンタジン(シンメトレル)はA型に対してのみ有効ですが、近年耐性化も進んでいます。

いずれも発症後48時間以内に投与開始する必要があります。タミフルは小児に対する適応が認められていますが、1歳未満の乳児に対する安全性は確立されていません。

タミフルは、通常、成人及び体重37.5kg以上の小児は1回75mgを1日2回、5日間経口服用します。予防に用いる場合では、通常、1回75mgを1日1回、7〜10日間経口服用します。体重37.5kg以上の小児では、1回75mgを1日1回、10日間経口服用します。

最近では、点滴用抗インフルエンザ剤「ラピアクタ(一般名:ペラミビル水和物)」などもあります。成人の場合は、1回の治療でラピアクタの点滴を1回投与することになりますが、1回の点滴でタミフル5日分(2錠×5日分)とほぼ同等の治療効果があるといわれています。内服が困難な小児や、ご高齢の患者さんには用いられます。