肺癌の予後(どれくらい生きられるのか)について、手術をした場合の結果を以下に示したいと思います。
「ステージ(病期)」や「小細胞肺癌/非小細胞肺癌」などの用語に馴染みがなく、かつ前の記事を読まれていない方は、ご参考ください。

肺癌の病期(ステージ):肺癌になったら、どれくらい生きられるのか?-1) 基礎知識

肺癌の治療方法について:肺癌になったら、どれくらい生きられるのか?-2) 治療方法

肺癌になったら、どれくらい生きられるのか?-3) 予後

手術治療による成績


肺癌の手術適応となるのは、非小細胞肺癌であれば、臨床病期(ステージ)I〜IIIA期が適応となり、小細胞肺癌であれば、臨床病期I期症例に外科治療が推奨されています。

非小細胞肺癌で、I期の手術成績は下の通りです。
stage1


なお、IB期で手術によりがんを完全に切除できた場合は、術後化学療法を行うよう勧められます。
また、医学的な理由(手術に耐えうる体力がなかったり、呼吸機能が不良な場合など)で手術できない場合は、根治的放射線単独療法を行うよう勧められます。

非小細胞肺癌で、II期の手術成績は下の通りです。
stage2

手術によりがんを完全に切除できた場合は、術後化学療法を行うよう勧められます。
また、上記同様、医学的な理由(手術に耐えうる体力がなかったり、呼吸機能が不良な場合など)で手術できない場合は、根治的放射線単独療法を行うよう勧められます。
非小細胞肺癌で、IIIA期の手術成績は下の通りです。

Clinical(画像をもとにした病期)Pathological(術後の情報を加えた病期)
病期cIIIApIIIA
5年生存率0.350.28

(白日高歩, 小林紘一. 肺癌外科切除例の全国集計に関する報告. 肺癌 2002; 42: 555-65.)

T3N1M0症例の治療としては、手術が第一選択となります。T1-3N2症例に対する外科治療の意義は確立されておらず、明らかなN2症例に対する手術単独治療を標準治療として推奨し得ない、とされています。