ザ!世界仰天ニュースの「思い出に支配された男」で紹介されていた内容です。

アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス。プロのコーラス歌手として、ブロードウェイをはじめ数々のステージで、その歌声を披露してきた男性、ラス。仕事は順調!だが、彼にはある悩みが。彼の家は、ものでいっぱい。彼はためこんでしまう症状に悩まされていた。それは、溜め込み症候群。いつか使うという思いにとらわれ、使うあてのないものでさえも捨てられず、溜め込んでしまうという強迫性障害の一種。さらに…ラスの溜め込み癖にはもう一つ大きな特徴があった。

若い頃、母親と同居していたラスは母親にとやかく言われ、片付けようとすると、ある思いが心を支配する。例えば、クリスマスツリーにひっかかった、クラッカーの紙テープ。それを見ると…楽しかった日のことを思い出す。そう思うと、捨てることができないのだ。そう、彼が執着しているのは「思い出」。 彼は、モノに思い出を感じるとそれがどれほどムダなものであろうと、取っておきたくなってしまう。こんな性格だから、気付けば、彼の部屋は、物で溢れかえるように。

さらに、彼の溜め込むくせに拍車をかける出来事が!
なんと母が、帰らぬ人に。早くに父を亡くしていたラスにとって母はたった一人の肉親。悲しみにくれながら遺品を整理するため・・・実家へと向かうとそこは、思い出だらけの場所。そして彼は…母が使っていた物、触れた物は、たとえゴミでも処分することができず、そのすべてを自分のアパートへ運び込んだのだ!ラスの部屋はさらに物が溢れかえり…とうとう、寝る場所がなくなってしまう。しかし、それでもラスは物を捨てられず外で寝るように。

しかし彼の運命を変える出来事がおこる。物を貯め込んでいたせいで消防法に触れ、立ち退きを迫られてしまったのだ。そんな彼にあるテレビ番組が注目した。セラピストが心の問題を抱える人のもとを訪れ治療を行う番組だった。症状を改善するため、テレビ番組に出演しセラピストに相談した。

彼は物を捨てられない悩みを告白しセラピーが開始された。自分の症状と本気で向き合うことを決めた彼は、少しずつ、物を処分するように。そしてセラピストとの出会いから12週間後。物で溢れていた部屋はきれいに!思い出にとりつかれた部屋から少しづつ解放されていった。

強迫性障害とは


強迫性障害とは、常日頃、繰り返し心に浮かぶ観念や表象である「強迫思考」、無意味なものと理解しながら繰り返し行わざるをえなくなる「強迫行為」を反復する状態を指します。

「強迫観念」とは、不合理と自覚していながら意思に反して反復的・持続的に侵入し、強い不安や苦痛を引き起こす思考やイメージを指します。自分が衝動的な行為をするのではないか、他者に害を与えたのではないかという加害観念や、自分や他人の唾液・排泄物・菌などが不潔に思える不潔恐怖などがあります。

また、これらの強迫観念に付随して起こる行為を「強迫行為」といい、そのほとんどは強迫観念を取り消したり防止したりする防御的儀式です。たとえば、不潔恐怖に対する洗浄強迫、鍵やガス栓をしめ忘れたのではないかという恐怖に対する確認強迫などがあります。

強迫思考も強迫行為も本人の意に反して出現します。また、苦痛で不快なものであり、不安を生じさせます。患者さんは、その状態から抜け出そうと抵抗しますが、ほとんど成功することがなく、日常生活に支障を来すようになってしまいます。

強迫性障害の治療


強迫性障害の治療としては、以下の様なものがあります。
治療としては、薬物療法と認知行動療法が有効といわれています。

薬物療法は、第1選択薬は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。SSRIが無効の場合、三環系抗うつ薬のクロミプラミンを用います。難治例に対しては,リスペリドン、オランザピン、クエチアピンなどの非定型抗精神病薬(少量−中等量)を、SSRIかクロミプラミンに追加して用いると有効な場合があります。

SSRIは、投与初期に消化器症状(悪心・嘔吐)を起こす可能性があります。しかし、その消化器症状は、制吐薬の併用で改善することが多く、制吐薬を併用しなくても一過性である可能性が高いです。また、SSRIは症状が改善したからといって急に中断すると、中断時出現症候群(めまい、悪心、しびれ、ジリジリ感など)が生じるため、漸減の必要があります。

認知行動療法としては、曝露反応妨害法が有効であるといわれています。曝露反応妨害法は、不安を引き起こす対象に患者を直面させ(フラディング:曝露)、その時に生じる不安を回避するための強迫行為を行わせない(反応妨害)という方法です。

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