ジャニーズ事務所に所属していたロックバンド「THE GOOD-BYE(ザ・グッバイ)」でベースを務めていた加賀八郎さん(55)が2013年7月2日、多発性骨髄腫のため亡くなった。55歳だった。
加賀さんは10年に多発性骨髄腫と腎不全と診断され自宅療養を続けていたが、13年5月末から入院していた。
THE GOOD-BYEは野村義男さんソロデビュー時のバックバンドとして結成され、1983年にシングル「気まぐれOne Way Boy」でデビューした。90年に活動休止したが、2003年に復活ライブを行い、08年にはデビュー5周年を記念したスペシャルコンサートも行った。13年9月1日にはデビュー30周年を迎える。
(「THE GOOD-BYE」ベーシスト・加賀八郎さん死去)
多発性骨髄腫(形質細胞性骨髄腫)とは、免疫グロブリン産生細胞である形質細胞(Bリンパ球の終末分化段階)の腫瘍性疾患で、主に骨髄において全身性に増殖します。
形質細胞(Bリンパ球が分化した細胞であり、免疫/炎症細胞)の増加により、血清中には単クローン性免疫グロブリン(M蛋白とも呼ばれる)が増加し、尿中にも免疫グロブリンの軽鎖(κあるいはλ鎖)が検出されます(発見者の名にちなんでベンス・ジョーンズ蛋白と呼ばれます)。
M蛋白の型により、IgG、IgA、IgD、IgE(おのおのκ、λ)型、L鎖のみを産生するBJP型、血中・尿中にM蛋白を認めない非産生型や非分泌型に分けられます(M蛋白が存在しない例もあることに注意する必要がある)。
年間死亡率は人口10万人に対して約1.5人であり、60歳以上の高齢者に多いといわれています。全造血器腫瘍の10%を占めています。
こうした腫瘍細胞から産生される単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)と、骨髄腫細胞と骨髄間質細胞との相互作用により産生される種々のサイトカイン・ケモカインにより、貧血・腎障害・骨病変など種々の症状を呈します。
骨髄腫細胞は、主に体幹部に近い骨の骨髄に集簇性、もしくはびまん性に増殖します。これにより、造血、特に、赤血球産生が阻害されて貧血を生じます。また、正常の免疫グロブリン産生も抑制されて、免疫能低下をきたしてしまいます。
さらに、骨髄腫細胞が産生する破骨細胞活性化因子によって骨融解が起こり、病的骨折や高Ca血症をきたします。髄外腫瘤を形成することもあります。
骨髄腫細胞は同一の免疫グロブリンを産生するため、血中に大量の単クローン性の免疫グロブリン(M蛋白)を認めます。これにより、過粘稠度症候群をきたすこともあります。
過粘稠度症候群とは、血液の粘度が高まって引き起こされる血液循環障害による臨床症状であり、全身倦怠感、食欲不振、頭痛、眩暈などの症状がみられます。
さらにひどくなると、心不全、痙攣、鼻出血、粘膜出血、血尿、吐血、下血、視力障害などを呈することになります。眼科的には網膜静脈のソーセージ様拡張と蛇行などが起こりえます。
過剰に産生された免疫グロブリンのL鎖は2量体をつくることもあり、Bence Jones蛋白(BJP)となり、分子量が小さいため、糸球体基底膜を通過して尿細管を障害し、腎障害をきたすことになります。L鎖の組織沈着によりアミロイドーシスを合併することもあります。
多発性骨髄腫の治療としては、以下のようなものがあります。

加賀さんは10年に多発性骨髄腫と腎不全と診断され自宅療養を続けていたが、13年5月末から入院していた。
THE GOOD-BYEは野村義男さんソロデビュー時のバックバンドとして結成され、1983年にシングル「気まぐれOne Way Boy」でデビューした。90年に活動休止したが、2003年に復活ライブを行い、08年にはデビュー5周年を記念したスペシャルコンサートも行った。13年9月1日にはデビュー30周年を迎える。
(「THE GOOD-BYE」ベーシスト・加賀八郎さん死去)
多発性骨髄腫とは
多発性骨髄腫(形質細胞性骨髄腫)とは、免疫グロブリン産生細胞である形質細胞(Bリンパ球の終末分化段階)の腫瘍性疾患で、主に骨髄において全身性に増殖します。
形質細胞(Bリンパ球が分化した細胞であり、免疫/炎症細胞)の増加により、血清中には単クローン性免疫グロブリン(M蛋白とも呼ばれる)が増加し、尿中にも免疫グロブリンの軽鎖(κあるいはλ鎖)が検出されます(発見者の名にちなんでベンス・ジョーンズ蛋白と呼ばれます)。
M蛋白の型により、IgG、IgA、IgD、IgE(おのおのκ、λ)型、L鎖のみを産生するBJP型、血中・尿中にM蛋白を認めない非産生型や非分泌型に分けられます(M蛋白が存在しない例もあることに注意する必要がある)。
年間死亡率は人口10万人に対して約1.5人であり、60歳以上の高齢者に多いといわれています。全造血器腫瘍の10%を占めています。
こうした腫瘍細胞から産生される単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)と、骨髄腫細胞と骨髄間質細胞との相互作用により産生される種々のサイトカイン・ケモカインにより、貧血・腎障害・骨病変など種々の症状を呈します。
骨髄腫細胞は、主に体幹部に近い骨の骨髄に集簇性、もしくはびまん性に増殖します。これにより、造血、特に、赤血球産生が阻害されて貧血を生じます。また、正常の免疫グロブリン産生も抑制されて、免疫能低下をきたしてしまいます。
さらに、骨髄腫細胞が産生する破骨細胞活性化因子によって骨融解が起こり、病的骨折や高Ca血症をきたします。髄外腫瘤を形成することもあります。
骨髄腫細胞は同一の免疫グロブリンを産生するため、血中に大量の単クローン性の免疫グロブリン(M蛋白)を認めます。これにより、過粘稠度症候群をきたすこともあります。
過粘稠度症候群とは、血液の粘度が高まって引き起こされる血液循環障害による臨床症状であり、全身倦怠感、食欲不振、頭痛、眩暈などの症状がみられます。
さらにひどくなると、心不全、痙攣、鼻出血、粘膜出血、血尿、吐血、下血、視力障害などを呈することになります。眼科的には網膜静脈のソーセージ様拡張と蛇行などが起こりえます。
過剰に産生された免疫グロブリンのL鎖は2量体をつくることもあり、Bence Jones蛋白(BJP)となり、分子量が小さいため、糸球体基底膜を通過して尿細管を障害し、腎障害をきたすことになります。L鎖の組織沈着によりアミロイドーシスを合併することもあります。
多発性骨髄腫の治療
多発性骨髄腫の治療としては、以下のようなものがあります。
IMWG(国際骨髄腫作業グループ)による診断基準で、臓器障害を有する症候性骨髄腫
を治療対象とします。MGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)や無症候性骨髄腫は経過観察とし、症状がみられた時点で治療を開始することになります。
初期治療として、65歳未満の患者であれば自家造血幹細胞移植を選択することになります(自家造血幹細胞移植は寛解率、生存率で化学療法より優れているといわれている)。
自家末梢血幹細胞移植は、初期治療としてVAD療法やデキサメタゾン大量療法を行い、次いで末梢血幹細胞を採取し、大量化学療法後に移植します。1回の移植で完全寛解が得られない場合は、3〜4か月以内に2回目の移植を行うことになります(タンデム移植)。
全身状態、合併症などにより移植条件を満たさない症例や65歳以上の高齢者では化学療法を行うことになります。
MP療法(melphalan + prednisolone)は、高齢者にも安全で外来で実施可能であるといわれています。アルケラン錠(2mg)を8mg/m2、朝空腹時に(食後に服用すると吸収が低下して効果が減弱するおそれがある)4日間、プレドニン錠(5mg)を40〜60mg/m2で分3、4日間で投与します。効果があればこれを4〜6週ごとに繰り返します。ほかにも、ROAD療法やVAD療法があります。
放射線治療は、孤立性形質細胞腫や溶骨性病変による骨痛に対して有効であるといわれています。骨病変・骨痛に対して、ビスホスホネート製剤(ゾメタ)が用いられることもあります。
再発・難治性骨髄腫で、サリドマイドが用いられることもあります。「サリドマイド適正使用ガイドライン」に従い、デキサメタゾンとの併用が有効であるとの報告があります。
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有名人の症例集
・血清Ca>11mg/dLまたは基準値より1mg/dL以上の上昇
・クレアチニン>2mg/dL
・Hb<10g/dLあるいは基準値より2g/dL以上の低下
・骨融解あるいは圧迫骨折を伴う骨粗鬆症など
を治療対象とします。MGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)や無症候性骨髄腫は経過観察とし、症状がみられた時点で治療を開始することになります。
初期治療として、65歳未満の患者であれば自家造血幹細胞移植を選択することになります(自家造血幹細胞移植は寛解率、生存率で化学療法より優れているといわれている)。
自家末梢血幹細胞移植は、初期治療としてVAD療法やデキサメタゾン大量療法を行い、次いで末梢血幹細胞を採取し、大量化学療法後に移植します。1回の移植で完全寛解が得られない場合は、3〜4か月以内に2回目の移植を行うことになります(タンデム移植)。
全身状態、合併症などにより移植条件を満たさない症例や65歳以上の高齢者では化学療法を行うことになります。
MP療法(melphalan + prednisolone)は、高齢者にも安全で外来で実施可能であるといわれています。アルケラン錠(2mg)を8mg/m2、朝空腹時に(食後に服用すると吸収が低下して効果が減弱するおそれがある)4日間、プレドニン錠(5mg)を40〜60mg/m2で分3、4日間で投与します。効果があればこれを4〜6週ごとに繰り返します。ほかにも、ROAD療法やVAD療法があります。
放射線治療は、孤立性形質細胞腫や溶骨性病変による骨痛に対して有効であるといわれています。骨病変・骨痛に対して、ビスホスホネート製剤(ゾメタ)が用いられることもあります。
再発・難治性骨髄腫で、サリドマイドが用いられることもあります。「サリドマイド適正使用ガイドライン」に従い、デキサメタゾンとの併用が有効であるとの報告があります。
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