カネボウ化粧品は、製造販売する美白の化粧品で肌にトラブルが出たとして、製品の自主回収を発表した。

回収の対象となるのは、カネボウ化粧品が製造販売する美白製品の乳液や化粧水など計8種類54の製品。「ブランシール」や「スイサイ」、「トワニー」などのブランドの製品が含まれる。

利用した39人に「肌がまだらに白くなった」などの症状が確認されたという。対象の製品には、独自に開発した「ロドデノール」という成分が配合されていて、カネボウは症状との関連性が心配されるとして、この成分が配合されている全ての製品の回収を決めた。  
カネボウによると、対象商品の利用者は全国で約25万人にのぼり、推計で45万個ほどが出回っているという。 【相談窓口】0120−137−411
(カネボウ化粧品自主回収、相談窓口を設置)

ロドデノールとは


「ロドデノール」とは、カネボウ化粧品が開発した医薬部外品有効成分であり、白樺やメグスリノキなどに含まれる天然物質(4HPB;4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール[4-(4-hydroxyphenyl)-2-butanol])を元に開発されています。

メラニンが生成される複数の過程に作用して、高いメラニン生成抑制効果を発揮する成分であるといわれています。

メラニンとは、フェノール類物質が高分子化して色素となったものの総称です。ヒトにみられるメラニンには、2種類存在して、黒色のユーメラニンと黄色のフェオメラニンがあります。

血中から供給されたチロシンは、銅含有酵素のチロシナーゼによって酸化され、ドーパになり、さらにドーパキノンへと代謝されます。チロシナーゼはこの2つの反応を触媒する酵素です。

ドーパキノンは自動的に酸化を起こしてインドール化合物に変化し、それらが互いに結合することでユーメラニンが合成されます。この時、システインが存在すると、ドーパキノンはシステインと結合して、5-S-CSに変化し、これが重合してフェオメラニンとなります。

メラニンの最も重要な役割は、紫外線防御であり、日光障害や悪性腫瘍の発生を防いでくれます。ところが、シミの原因となり、生成を抑えたい、ということを望んでいる人も多いわけです。

ロドデノールのメラニン生成を抑える機能としては、以下のようなメカニズムです。
ロドデノールの機能としては、
1) チロシナーゼ活性阻害作用
2) チロシナーゼ分解促進
3) 黒色メラニン生成抑制作用


1)チロシナーゼ活性阻害作用
上記のように、メラニンは、チロシナーゼがチロシンと結合して活性化することで生成されます。そこでロドデノールは、チロシンのかわりにチロシナーゼと結合し、チロシナーゼの活性化を阻害する作用があります。

2) チロシナーゼ分解促進
ロドデノールにはチロシナーゼの分解を促進し、チロシナーゼの量を減少させる作用があります。

3) 黒色メラニン生成抑制作用
ロドデノールには、ユウメラニン(黒色メラニン)の生成に関わる酵素に働きかけ、その発現量や活性を低下させることで、ユウメラニンを減少させる効果があるといわれています。ドーパキノン→ドーパキノン→インドール誘導体→ユーメラニンとなる過程で、関わる酵素を抑えてくれる、ということのようです。

このようないくつかのメカニズムにより、メラニンを抑えてくれるようですが、その一方で皮膚が斑に白くなってしまう、という副作用が出てしまったようです。

「ブランシール」「スイサイ」「トワニー」などを、もしお使いの方がいらっしゃいましたら、使用をお控えください。