楽曲「アイム・イン・ザ・ムード・フォー・ダンシング」(邦題「ダンシング・シスター」)などの大ヒットを飛ばした姉妹ポップグループ、ザ・ノーランズのリードボーカル、バーニー・ノーランさんが乳がんのため亡くなった。52歳だった。ダンシング・シスター~ザ・ベスト・オブ・ノーランズ

乳がんと診断されたバーニーさんは乳腺切除手術と化学療法を受け、2012年にはがんを克服したが、再発。ホスピスに入院していた彼女は、亡くなる直前に家族と一緒に時間を過ごすため家に戻り、自宅で息を引き取ったという。

スポークスマンは、「バーニーは今朝、家族に見守られながら静かに息を引き取りました。愛するバーニーを亡くし、家族全員が悲しみに打ちひしがれています。彼女は愛情に満ちた母親、姉妹であり、かけがえのない人でした。困難な時ですので、家族のプライバシーを尊重してくれるようお願いします」とコメントを出している。
(ノーランズのバーニー・ノーランさん、乳がんで死去 52歳)

乳癌を公表した有名人


乳癌を公表した有名人は、
山田邦子さん
樹木希林さん
アグネス・チャン
栗本薫さん
川村カオルさん
ジェーン・フォンダさん
田中好子さん
小林アナ
などがいらっしゃいます。

乳癌とは


乳癌とは、乳房にある乳腺組織に発生する悪性腫瘍のことです。乳癌罹患は年間約4万人で、女性が罹る癌の中でトップであり、年々増加傾向にあります。年間死亡は約1万人で、罹患のピークが40〜50歳代にあります。そのため、働き盛りの女性の罹患する癌の中で、乳癌は罹患率・死亡率とも第1位となっております。

乳癌罹患者数は1970年の約3倍で、食事内容の変化(脂肪摂取量の増加や初経年齢の低年齢化などで)今後も増加し、2015年には年間約48000人の女性が乳癌に罹患すると予測されています。年々増加の一途をたどり、現在、年間約1万人が死亡しています。

多くの女性が乳癌に最初に気づくのは、ほとんどが自分で「しこり」に気づいています。そのほか皮膚陥凹、乳頭からの血性分泌物、乳頭のびらん、疼痛などがみられることもあります。

患者さんは、「乳房にしこりがある」と訴え、痛みを伴わないことがほとんどですが、気がついてから、よく触れるために痛みや圧痛を伴うようになったと訴えることもあります。触れたしこりの大きさの変化も重要な情報となります。

こうして「しこりに気づいて」受診されているということは、逆に言えば、検診にて発見されるのは、たった2割でしかないと日本乳癌学会の大規模調査で判明しています。ただ、胸を触る自己診断で見つかる乳癌の大きさは平均約2cmで、自然に気づく場合は3cm以上が多いとのことです。

早期癌は、直径2cm以下とされています。ですが、発見時には43%が2.1〜2.5cmに達しており、発見時にリンパ節に転移していた人も、3分の1を占めています。リンパ節に転移しない乳癌の10年後の生存率は約9割と高いが、転移をしていると7割以下に落ちるといいます。

乳癌の治療


乳癌の治療としては、1) 手術、2) 放射線治療、3) 抗癌剤治療/ホルモン療法などがあります。

乳癌の手術としては、最近では胸筋温存乳房切除術(非定型的乳房切除術および、乳房温存手術が主流となり、乳房温存手術が半数以上に行われています。

乳房温存手術は、超音波検査やマンモグラフィー、CTやMRIで広範囲な乳管内進展巣のない腫瘍径3cm以下の腫瘍に対し、マージンを十分とった乳腺部分切除と腋窩リンパ節郭清を行った後、残存乳房に対する放射線治療(通常50グレイ)を付加することが原則となっています。さらに、センチネルリンパ節生検を行い、転移の有無を病理組織学的に検索し郭清を省略することも行われています。

進行乳癌では、根治が期待できる全身状態の良いものに対しては術後治療に準じた根治的治療を行います。乳癌の組織学的悪性度(HER2/neu 遺伝子)、ホルモン感受性を調べたうえで、抗癌剤や内分泌療法剤、抗体[トラスツズマブ(ハーセプチン)]を使った乳癌標的療法などを組み合わせて治療します。

さらに、最近では「ラジオ波熱凝固療法」といった治療法も行われています。「ラジオ波熱凝固療法」の原理としては、直接数mmの針を腫瘍に直接刺して、AMラジオと同じ波帯の電波(460-480 KHz)を照射し、60-70度の熱を加えて、癌細胞を焼く(正確には100度前後の熱で凝固させる)というもの。原理的には電気メスと同じです。周囲への浸潤を含めて、腫瘍径が2cm以下でリンパ節転移がみられない方が適応となります。

乳癌細胞の7割が女性ホルモン受容体を有し、癌の発育はホルモン療法に感受性があるといわれています。ホルモン療法には、ホルモン受容体拮抗薬(閉経前)やLH-RHアナログ(閉経前)、合成黄体ホルモン(酢酸メドロキシプロゲステロン)などがもちいられています。 

ホルモン感受性乳癌に対しては、術後5年間のタモキシフェン投与が有用であるといわれています。また、閉経前乳癌であれば、卵巣機能抑制療法が有用であり、LH-RHアナログが推奨されています。

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