ヘルパンギーナの患者報告数が11週連続で増加していることが、国立感染症研究所感染症疫学センターのまとめで分かった。東京や神奈川、埼玉の一部で警報基準値(定点医療機関当たり6人)を超過。患者数が増加傾向にある自治体では警戒を強めている。お母さんに伝えたい子どもの病気ホームケアガイド

ヘルパンギーナは、高熱や口腔内の水疱・発赤を主症状とするウイルス性疾患で、2-7日の潜伏期間後、38度以上の発熱や口腔内に水疱が現れる。2-4日で熱が下がり、7日程度で治癒する。高熱や口腔内の痛みで、食事や水分を十分に取れず、脱水になるほか、熱性けいれんや髄膜炎、心筋炎といった合併症を生じる可能性がある。患者のせきや、つばなどに含まれるウイルスによって感染する。

同センターのまとめでは、7月15―21日の週は全国約3000か所の小児科定点医療機関当たり2.84人で、11週前の約57倍となっている。都道府県別では高知(5.87人)が最多で、以下は山形(5.37人)、岡山(4.89人)、群馬(4.68人)、石川(4.59人)、滋賀(4.44人)、徳島(4.43人)、大阪(4.37人)、東京(4.11人)などの順。

前週に比べて患者が増えた東京では、町田市(13.13人)、荒川区(9.25人)、南多摩(7.11人)、多摩府中(6.1人)の保健所管内で警報基準値を超過。埼玉では、朝霞保健所管内が2週連続で警報基準値を超えたほか、さいたま市の患者数は前週に比べ1.6倍の4.19人に急増した。

6月の最終週から増加傾向にある神奈川では、横須賀市や裾野、鎌倉の保健福祉事務所管内で警報レベルに達している。定点医療機関当たり7.2人と4週前に比べて6倍近く増えた横須賀市では、「警報レベルを超え、流行している状況」として、
・患者との密接な接触を避ける
・手洗いやうがいを心掛ける
―などの予防策を挙げて注意を呼び掛けている。
(ヘルパンギーナ、首都圏で感染拡大−全国で11週連続増、自治体が警戒)

ヘルパンギーナとは


ヘルパンギーナとは、エンテロウイルス感染症の1つで、咽頭の口蓋弓部に沿った口腔粘膜に小水疱や浅い潰瘍を来すことから命名されました。コクサッキーウイルスA群の2,4,5,6,10型などが主要原因のウイルスとなります。他の血清型のコクサッキーA群、B群やエコーウイルスも原因となりえます。

主に夏季に流行し、好発年齢は4歳以下です(約90%が4歳以下、1歳頃が好発年齢)。典型例は口蓋垂の両側の根元の軟口蓋粘膜に潰瘍を認めます。2〜7日の潜伏期の後、発熱、咽頭痛、嚥下困難などがみられます。高熱で発症し、口蓋弓の両側粘膜に紅斑性小丘疹が出現した後、潰瘍を形成します。

ヘルパンギーナの治療


ヘルパンギーナの治療としては、以下の様なものがあります。
対症療法(解熱薬と水分補給)が主体となります。発熱は3〜5日間続きますが、水分がとれ、脱水にならなければ問題ないと考えられます。ただ、無菌性髄膜炎や(子供では特に)高熱に伴う熱性痙攣に注意する必要があります。
 
かなり咽頭痛があるので、食事がとれないといったことがあり、アイスクリームやプリンなどの刺激の少ない食べ物や、スポーツドリンクや牛乳などで水分を補給するようにしてください。

【関連記事】
夏フェス後などに耳が聞こえにくい症状−急性感音難聴(音響外傷)にご注意

全身発熱に蕁麻疹も−蚊刺アレルギーとは

アオバアリガタハネカクシ(ヤケド虫)による、線状皮膚炎にご注意!