原因不明の病気のため入院中の9月15日に一時、心肺停止状態に陥ったエッセイストの中村うさぎ(55)の病名として、100万人に1人とも言われる難病のstiff person症候群の疑いが強いことが分かった。

私という病 中村うさぎ
私という病 (新潮文庫)

うさぎの美容整形を担当しているタカナシクリニックの院長・高梨真教氏が、うさぎとともに開設しているブログで17日、明らかにした。

それによると病名は週明けにうさぎの両親が主治医から説明を受けたもの。

 「今の段階で最も考えられる病名はstiff person症候群という、非常に稀な神経疾患らしく、その発症頻度は一説によれば100万人に1人位の確率だそうです」

しかし、まだ100%判定されたわけではない。「典型例で認められる自己抗体が見付かっていないそうで、断定は出来ないとの事です」と、対症療法に頼るしかない治療の難しさを説明した。

今後については「ムーンフェイス状の顔や大腿骨頭壊死といったステロイドの副作用を注意しながら、一般生活を送れる段階までのリハビリを続けていく方針とのことの様です」と、難しいながら一応の目標は立てられている。

まだ鼻チューブを外せないうさぎだが、最近では練乳やヨーグルトを食べられたり、尿道カテーテルが外されたりと状態が改善、本人も前向きに闘病している。
(中村うさぎ 100万人に1人の難病「stiff person症候群」か)

stiff-person(スティッフ パーソン)症候群とは


stiff-person症候群とは、「進行性の下肢(脚)・体幹(からだ)の有痛性・発作性の筋硬直がみられ、他動運動(体を動かされる)や感覚刺激で誘発され、発汗、頻脈、血圧上昇などの自律神経症状を伴う神経疾患」 であるとされています。

症状改善にはジアゼパムが有効で、神経伝達物質であるGABAの作用異常が本質と考えられています。病理学的には脊髄前角内側部の中小細胞の脱落とグリオーシスが報告され、GABAを伝達物質としている介在ニューロンの障害が考えられています。要は、神経疾患の一種と考えられています。

この疾患は、抗GAD 抗体が関与しているとされています。
Glutamicaciddecarboxylase(GAD)は、グルタミン酸からγ-aminobutyricacid(GABA)を産生する際に働く酵素で、抗GAD抗体はGADを阻害してGABAの産生を抑制することで、神経症状を呈するとされています。GADは、体内ではおもに GABA 作動性ニューロンの細胞質や分泌小胞と、膵臓のβ細胞に存在します。

抗GAD 抗体は 1 型糖尿病でもみとめられますが、実は、Stiff-person 症候群で最初に同定されたものであり、その後慢性の小脳性運動失調や薬剤抵抗性のてんかん、口蓋ミオクローヌスの患者でも抗 GAD 抗体の関与が報告されています。
治療としては、現在、ベンゾジアゼピン系薬物のほかにステロイド治療や血漿交換療法、ガンマグロブリン療法などの免疫療法が試みられています。

抗GAD抗体に関連したてんかんは通常抗けいれん薬に抵抗性であり、既報告例でも抗けいれん薬に加え各種免疫療法が試みられています。

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