広告やテレビ番組の批評で人気を博したコラムニストで、本紙に「CM天気図」を連載した天野祐吉さんが20日午前10時38分、間質性肺炎のため死去した。80歳だった。通夜、葬儀は本人の希望で行わない。

広告論講義
広告論講義

広告をジャーナリスティックに論じる雑誌「広告批評」を1979年に創刊、商品の宣伝でしかないと考えられていた広告を、批評の対象として位置づけた。84年に本紙で「私のCMウオッチング」を開始。90年に改題した「CM天気図」は、連載1132回に及ぶ名物コラムとなった。軽妙な語り口で消費社会に鋭く切り込むCM批評は、多くのファンを魅了した。

東京都生まれ。博報堂などを経て創刊した「広告批評」(2009年に休刊)で編集長や発行人を務めた。メディアに対する批評も活発に行い、新聞や雑誌に多数の評論を発表、テレビやラジオ番組でも活躍した。

05年にNHK放送文化賞を受賞。06〜07年には放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送番組委員会委員長も務めた。「広告論講義」など多数の著書がある。02年に松山市立子規記念博物館の館長に就任し、現在は名誉館長。
(天野祐吉さん死去 「広告批評」「CM天気図」)

間質性肺炎とは


いわゆる一般的な肺炎が肺胞、肺胞道などの気腔内への滲出性病変を主徴とするのに対し、間質性肺炎は、肺胞壁や細気管支、細動静脈周囲など間質の病変を主座とする疾患です。

肺において、肺胞腔、気管支腺上皮を実質と呼ぶのに対して、間質とは血管内皮細胞と基底膜に囲まれた部分を指します(狭義では肺胞隔壁、広義では小葉間間質、胸膜近傍などを含む)。簡単に言ってしまえば、肺胞と肺胞の間のスペースのことです。ここには線維芽細胞や免疫系細胞などの間葉系細胞が存在し、結合組織に富んでいます。

線維化は一般に、傷害に対しての治癒(組織修復)過程であると考えられます。肺における傷害とは、多種の原因による上皮細胞の脱落や、血管内皮細胞の傷害による基底膜の損傷であると考えられます。

実際には、機序が明らかでない持続的な傷害が起こって慢性炎症を引き起こします。間質性肺炎においては、こうしたことが起こって、ガス交換機能を大きく損なうことになって発症すると考えられます。

職業性や薬剤など原因の明らかなものや膠原病随伴性に起こる場合と、原因が特定できない場合があります。原因が明らかでない間質性肺炎の総称を、特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias; IIPs)といいます。

間質性肺炎の症状としては、上記のようにガス交換機能を大きく損なうことになり、臨床的には呼吸困難を自覚することになります。特発性間質性肺炎のように徐々に進行する場合では、自覚症状に先行して胸部X線写真で線維性変化を指摘されていることが多いです。

こうした状態が長く経過した後、乾性せきを自覚したり、周囲が咳に気づくようになります(約50%)。さらに、体動・運動負荷時のせきや、坂道での息切れを自覚するようになります。

呼吸は浅く、頻呼吸気味となります。慢性経過例の冬期感染併発では病態の悪化と発熱、痰を伴うことになります。また、ばち状指を高頻度(程度の差はあるが約30%以上)にみます。この変化は膠原病肺では少なく、喫煙者の特発性間質性肺炎や肺癌合併患者で多いです。低酸素血症の進行に伴い、チアノーゼもみられます。

こうした臨床症状としての息切れ・乾性咳嗽・聴診所見(肺野聴診でパリパリと硬いクラックルcrackleが聴取されます。血圧計マンシェットのマジックバンドをはがす音に近いので、その商品名からVelcroラ音と呼ばれます)、呼吸機能としての拘束性換気障害・拡散障害・低酸素血症などで診断が行われます。

間質性肺炎の治療


現在の所、有効な治療法は確立されていません。炎症の抑制を目的として使われるステロイドや免疫抑制剤が予後や生活の質(QOL)を改善した報告はないといわれています。

症状に進行が認められない安定期の治療としては、鎮咳・去痰薬、抗菌薬を対症的に使用するほか、抗酸化作用をもつN-アセチルシステインの吸入や、線維芽細胞の増殖抑制を目的としたコルヒチンの投与も試みられています。

進行期の治療としては、炎症の度合(活動性)と進行の速さに応じて、10-60mg/日を初期量としてプレドニゾロンを投与します。病状の改善に応じて漸減し(普通2週間に 2.5-5mg 減量)、10mg/日程度で維持します。ステロイドが無効の症例には免疫抑制剤の併用を試みます。

また、呼吸不全への対応として適応がある場合、在宅酸素療法(HOT)を行います。

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