自動車専門誌「カーグラフィック」の名誉編集長・小林彰太郎さんが2013年10月28日、肺性心のため死去した。83歳だった。

CG (カーグラフィック) 2013年 11月号
CG (カーグラフィック) 2013年 11月号 [雑誌]

小林氏は1929年、ライオン歯磨・石鹸(現ライオン株式会社)の創業者一族のもとに生まれた。幼少期から自動車が好きで、62年に「カーグラフィック」を出版、初代編集長として日本を代表する自動車専門誌に育て上げた。

日本自動車ジャーナリスト協会副会長、日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会委員長などを歴任したほか、20世紀で最も影響力のあった車に与えられた「カー・オブ・ザ・センチュリー」、イタリアのクラシックカーコンテスト「ヴィラ・デステ・コンクール・デレガンス」の審査員も務め、世界で活躍した。
(小林彰太郎さん死去 自動車専門誌「カーグラフィック」名誉編集長)

肺性心とは


肺性心とは、肺の機能あるいは構造に影響を及ぼす呼吸器疾患により、心臓、特に右室の肥大・拡大をきたした病態のことを言います。右室の肥大・拡大は呼吸器疾患に合併する肺高血圧によって生じます。通常、右室が肺高血圧による負荷に耐えられず、心拍出量が維持できなくなると右心不全となります。

症状としては、初期には原因疾患による症状が主たるものであり、聴診上の変化(胸骨左縁の収縮性拍動、肺動脈弁口部音の亢進)を認めます。進行し、右心不全となると、顔面、下肢の浮腫、頸静脈の怒張、肝腫大を認めます。さらに、チアノーゼ、上室性・心室性不整脈をみることもあります。

肺性心の診断は、原因となる呼吸器疾患に加えて右室の拡大/肥大と機能低下の確認によりなされます。心エコー、CT、MRI、核医学などの非侵襲的画像診断法の進歩により、肺高血圧の存在と右室の形態変化を画像化することが容易となりました。また、血中脳性利尿ホルモン(BNP)の測定やダイナミック(経時的)心電図所見の変化により、右心機能障害を軽症時から評価あるいは経過観察することも可能です。

肺性心の治療


肺性心の治療は、基礎疾患に対する治療と合併する呼吸不全や右心不全に対する治療が必要です。

一般的には、基礎疾患の治療に加え、呼吸不全、循環不全に対処が必要となります。また、呼吸器感染の合併などをきっかけとして肺性心を起こすことが多いので、気道感染には常に注意し、適切な抗菌薬を使用します。

重症になると、陽圧呼吸により呼吸管理を行うように試みます。そのほか換気改善のための気管支拡張薬や去痰薬の投与により感染予防に心がけるとともに、栄養管理も重要です。主な治療としては、低酸素血症に対する酸素吸入療法、肺高血圧治療薬、右心不全に対する治療などが考慮されます。肺高血圧治療薬には、経口薬としては軽症例ではプロスタグランジンI2 誘導体(ドルナー)が、重症例ではフローラン持続静注法が推奨されています。最近ではエンドセリン受容体拮抗薬(トラクリア)、シルデナフィル(レバチオ)も承認されています。

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