横浜MF中村俊輔(35)が、緊急入院することになった。

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11月1日の練習中に体調不良を訴え、川崎市内の病院で検査を受けた結果、胆嚢炎と診断された。1週間程前から胃痛があったという。クラブは「中村選手は本日より数日間、入院・加療し、回復次第、トレーニングに復帰いたします」と発表している。
(【横浜】中村俊輔が胆のう炎で緊急入院)

急性胆嚢炎とは


急性胆嚢炎は、大部分が慢性胆嚢炎の経過中に起こり、胆管が結石などで閉塞し、これに細菌感染や他の因子が加わって生じます。

胆石を合併している場合、胆石により胆管の閉塞が起こり、胆汁酸などの化学物質が炎症を誘発し、さらに細菌感染が加わって急性胆嚢炎を引き起こします。

一方、胆石を伴わない場合は、腹部手術後や長期絶食などが誘因となり、胆嚢が収縮しがたい状態になって胆汁が留まり続け、細菌感染を起こします。

急性胆嚢炎は9割以上が胆石を合併します。症状は上腹部痛と発熱、血液検査では白血球、CRPの上昇に加え肝胆道系酵素の軽度上昇をみることが多いです。腹部超音波検査・CTにより、胆嚢腫大(最大径8 cm以上)、胆嚢の圧痛(超音波的Murphy徴候)、壁肥厚、壁内低エコー帯などを認めれば、診断は確定します。

急性胆嚢炎の治療


軽症例であれば、鎮痛薬、抗菌薬の保存的治療を行うか早期腹鏡下胆嚢摘出術(発症より4日以内かつ腹腔鏡手術に熟練した術者がいる場合)を行います。

中等症の状態、すなわち1)高度の炎症反応(白血球数>18,000/mm3、CRP>10mg/dL)、2)胆嚢周囲液体貯留、胆嚢壁の高度炎症性変化(壁不整や高度肥厚)を伴う例。入院絶食、鎮痛薬、抗菌薬を開始し、経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD:percutaneous transgallbladder drainage)や経皮経肝胆嚢吸引(PTGBA:percutaneous transgallbladder aspiration)などの適応を検討します。通常、炎症所見消失後に胆嚢摘出術を行います。

重症例の場合、すなわち1)黄疸例、全身状態不良例、2)重篤な局所合併症(胆汁性腹膜炎、胆嚢周囲膿瘍など)例、3)胆嚢捻転症、気腫性胆嚢炎、壊疽性胆嚢炎、化膿性胆嚢炎例などでは手術などの加療が必要になります。1)では鎮痛薬、抗菌薬治療とともに速やかに胆嚢ドレナージを行い、炎症所見の消失後に胆嚢摘出術を行います。2)、3)では全身管理のもとに緊急胆嚢摘出術を施行します。

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