英女性歌手のスーザン・ボイル(52)が、8日付英日曜紙オブザーバーとのインタビューで発達障害の一種、アスペルガー症候群と診断されたことを告白した。

ホーム・フォー・クリスマス
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同症候群の人は、特定分野について驚異的なまでの集中力と知識を持ち、物事へのこだわりが強い半面、対人関係がうまく築けないといった特徴がある。

また、自閉症の一種ともされるが、他人との会話を避けるような行動も少ない。ボイルは子供のころ「脳に損傷がある」との診断を受け、他の子との違いからいじめられたという。「感情的に不安定」などと報じられることもあったが、同紙に「自分のことが分かってほっとした」と話した。

約1年前にアスペルガー症候群の診断を受け、知能は平均を上回っていることも分かった。
(スーザン・ボイルがアスペルガー症候群…1年前に診断、英紙で告白)

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群は、対人関係やコミュニケーションの障害、限局され特異的なパターンの関心などの点で自閉症に類似しますが、言語の遅滞があまりなく運動の障害を示す点で自閉症と異なるといわれています。

自閉症の上位概念として広汎性発達障害があり、非定型自閉症、小児期の崩壊性障害、アスペルガー症候群、レット症候群などが含まれます。また、自閉症は症例が多彩であり、健常者から重度自閉症者までの間にははっきりとした壁はなく、虹のように境界が曖昧であるため、その多様性・連続性を表した概念図を自閉症スペクトラムや自閉症連続体などと呼びます。

知的能力が低くない自閉症のことを高機能自閉症と呼び、また、知的能力の優劣に関わらず、一部の分野で驚異的な能力を有する場合もあり、その驚異的な能力を有する者をサヴァン症候群と呼ぶようです。

自閉症は男性に圧倒的に多く、頻度は1,000人に2人以下であるといわれています。原因は不明であり、脳機能障害が推定されています。精神発達遅滞の合併頻度は70〜80%と高く、認知機能には特異的な不均衡さがあり、時に特異的に良好な記憶力を示すことがあります。

こうした「アスペルガー症候群」と診断された彼女は、具体的には、以下のような人生を歩んできたそうです。
アスペルガー症候群の治療

年齢と認知の発達段階を考慮して治療計画を立て、主に家族や本人の悩みを受け止めることが基本となります。適応を達成するためにはTEACCH(Treatment and Education of Autistic and Related Communication-handicapped Children)も効果があるといわれています。

TEACCHとは、「自閉症及び関連するコミュニケーション障害の子どものための治療と教育(Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped CHildren)」のことであり、自立を目指したプログラムを一般的には指すようです。自閉症の人達の特性を文化ととらえ共に生き、共同治療者として親の立場・意見を尊重し、連携することを基本理念においています。主に行動療法によって、自立する道を探っていくようです。

異常行動を標的として、薬物療法が行われることもあります。標的となる随伴症状には、興奮、不穏、不眠、こだわり行動、多動、自傷、常同行動、パニック(かんしゃく)などがあります。また、思春期以降では、対人関係の困難に伴う適応障害と合併症が標的となります。

具体的には、興奮などの随伴症状に対して抗精神病薬であるリスペリドンやハロペリドール、抑うつ状態・強迫症状あるいは反復症状に対してSSRI、多動や注意障害に対して塩酸メチルフェニデート、かんしゃく発作、衝動性、気分変調に対して抗てんかん薬であるカルバマゼピンなどが用いられます。

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