米国医師会雑誌(JAMA)に、「Proton Pump Inhibitor and Histamine 2 Receptor Antagonist Use and Vitamin B12 Deficiency」という論文が掲載されていました。この論文では、胃薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)とH2ブロッカーの長期使用は、その後のビタミンB12(VB12)欠乏症のリスク因子となり、ひいては貧血などの原因となる可能性がある、と指摘されています。

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ビタミンB12が欠乏し、見逃され治療されないままだと、認知症や神経損傷、貧血などの深刻な合併症を引き起こす危険性があるといわれています。実は、胃酸分泌抑制薬は胃酸の分泌を抑制し、これによりビタミンB12の吸収不良を引き起こす可能性があることが指摘されています。以前から、この現象は胃癌の患者さんで、胃を摘出した方に多く起こることは知られています。

この論文の研究では、1997年1月から2011年6月に、VB12欠乏症と初めて診断された18歳以上の患者の中から、ビタミンB12欠乏症に直接関係する疾患と診断された場合や、PPIまたはH2ブロッカー使用歴が2年未満を除外して、ケースを抽出しています。
結果、胃酸分泌抑制薬の2年以上の使用は、ビタミンB12欠乏症と有意に関係しています。
著者たちは、「今回の結果は、胃酸分泌抑制薬を処方する場合には適切な監視を怠らないようにし、必要な効果が得られる最低用量を用いるべきことを示した」と述べています。
特に、高齢者ではビタミンB12欠乏が問題となりやすいです。ご注意を。

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