英国の医師が、手術した患者の肝臓の表面に自分のイニシャルの「焼き印」を入れた疑いが浮上し、停職処分を受けた。英メディアが24日、報じた。



英各紙によるとイングランド中部バーミンガム(Birmingham)にあるクイーン・エリザベス病院(Queen Elizabeth Hospital)の医師が患者を手術した際、肝臓に「SB」というイニシャルがあるのを見つけて問題が発覚。病院は、以前この患者の手術を執刀したサイモン・ブラムホール(Simon Bramhall)医師を内部調査が終わるまで停職処分にすることを決めた。

英紙デーリー・メール(Daily Mail)は、ブラムホール医師はアルゴンガスで自分のイニシャルを肝臓に焼き付けたと報じている。
(患者の肝臓にイニシャルを「焼き印」、英医師に停職処分)

「アルゴンガスで自分のイニシャルを肝臓に焼き付けた」という記載がわかりにくいかと存じますので、補足を致します。これはつまり、電気メスの一種で肝臓を焼いてイニシャルを書いた、ということです。

ABC凝固(アルゴンガスコアギュレーター)というものがあり、これはアルゴンガスを媒介として使用し、直接組織に接触することなく高周波エネルギーを目的の部位に当て、凝固止血を行う装置です。
 
「電気メス」というと、これは高周波電流を用い、電気凝固を行うものです。
一方、ABC凝固(アルゴンガスコアギュレーター)は、先端からアルゴンガスを噴出し、目的とする組織との間にアルゴンガスの流れができて、ここに高周波電流が流れるため、アルゴン分子がイオン化され、放電が安定化し、高周波電流により生じた熱で凝固がおこります。また、このガスの流束は、組織表面の血液を排除するため、組織の止血を効果的に行うことが出来るといった利点があるそうです。
それにしても…なんということをするんでしょうかね。他にも「余罪」がありそうですし、厳しい処分がくだされることが望まれますね。

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