yomiDrの医療相談室にて、「夜尿症の良い治療法は」という相談が寄せられていました。
20歳の娘は幼い頃から夜尿症に悩まされています。中学時代に治療を受けたことがあり、薬物療法や小さい膀胱ぼうこうにできるだけ尿をためる訓練などをしましたが、改善しませんでした。良い治療法はないでしょうか。(66歳男性)

この相談に対して、大野泌尿器科院長である津ヶ谷正行先生は以下のようにお答えになっています。
夜尿症は主に、夜間の尿量の多さ、就寝中の膀胱容量の低下、睡眠中に尿がたまっても起きられない、といった要因が絡み合って起こります。

多くは、膀胱や体が年齢に応じて大きくなり、自然に治ります。ただ、成人以降も続くことがあり、海外の研究では0・5%とも報告されています。

薬物療法では、抗コリン薬なども使いますが、主体となるのは、水なしでも服用可能な抗利尿ホルモン薬です。夜間の尿量を大幅に減らし、7割近くの患者さんに効果があります。

抗利尿ホルモンとしては、デスモプレシン酢酸塩(製品名 ミニリンメルトOD錠)があります。通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして120μgから経口服用し、効果不十分な場合は、1日1回就寝前にデスモプレシンとして240μgに増量することができます。
このほかにも、夜尿を探知するとアラームが鳴り、家族に起こしてもらう治療法があります。排尿を抑える力を高め、膀胱容量を増やすと考えられており、最低3か月は続けます。

日中に食事や飲み物から多めに水分をとって尿量を増やし、夕方から就寝まではカフェインを含むコーヒーやお茶などを避けて、夜の尿量を減らす生活改善も重要です。

また、日中の尿意を我慢したり、起床後に初めて排尿したりした時の「最大尿量」が200ミリ・リットル未満なら、膀胱や尿道の病気が潜んでいることもあります。

治療には数年を要することも珍しくなく、諦めないことが重要です。日本夜尿症学会夜尿症ナビなどのホームページで、成人の診療が可能な医療機関を調べて問い合わせてみてください。
夜尿を探知するアラームを利用する治療を、「アラーム療法」といいます。その際に利用するのが、「夜尿アラーム」です。
おねしょモニターウェットストップ3 グリーン
おねしょモニターウェットストップ3 グリーン
こちらの商品は、濡れを感知した時にバイブレータと音と光でお知らせする機能を持った装置で、おねしょをした時にアラームで覚醒し、排尿抑制を繰り返すことで膀胱に溜められる尿量が徐々に増え、最終的にはおねしょをすることなく朝まで我慢できるようになる、というものだそうです。

こうした治療方法もあるため、泌尿器科でご相談されてはいかがでしょうか。

【関連記事】
数ヶ月に1度程度、夜尿症がみられる22歳女性−診断と治療は

赤ちゃんの夜泣きに有効な「ファーバー方式」