医療注目ニュース

2008年06月22日

肺血栓塞栓症の予防検診を実施−栗原市の避難所

岩手・宮城内陸地震で約30人が避難している宮城県栗原市の文化施設「みちのく伝創館」で20日、新潟大や福井大などの医師らによるエコノミークラス症候群の予防検診が行われた。

医師や検査技師らが、高齢者を中心に足がむくんでいないか、普段体を動かしているかなど問診。静脈に血栓がないか調べる専門の機器を足にあて、健康状態を調べていた。

地震発生当日から避難所生活を送っている同市の新井たみ子さん(78)は診察を受けた後、「心配していたが何も問題はなくてよかった」とほっとした様子で話した。

水分などを十分にとれず、体をあまり動かせない避難所生活ではエコノミークラス症候群になりやすい。平成16年の新潟県中越地震では死者も出ている。
(エコノミー症候群の検診 栗原市の避難所で)


肺血栓塞栓症とは、血栓,その他の塞栓子が肺循環系に入り、肺動脈の閉塞を起こす病態を指します。このうち、肺組織の壊死を伴うものを肺梗塞といいます。

細かい話をすれば、「肺血栓症」は、肺動脈内腔に1次性に形成された血栓により閉塞された病態、「肺塞栓症」は、静脈系から肺動脈へ流入した物質により肺動脈が閉塞された病態を指します。臨床的には肺塞栓症が大半であるといわれています。

塞栓物質として静脈系血栓、腫瘍、脂肪(骨折など)、羊水(自然分娩,帝王切開)、空気(外傷,カテーテルなど)、造影剤などが挙げられますが、頻度として下肢および骨盤の深部静脈血栓が80%と圧倒的に多いです。発症様式は、肺血管床を閉塞する血栓塞栓の大きさや患者の有する心肺予備能によりますが、全く無症状なものから発症とともに心停止に陥るものまでさまざまです。

頻度の高い症状としては、急に発症する呼吸困難(約80%)、多呼吸(約80%)、頻脈(約60%)があります。広範な塞栓の場合にみられる症状としては、不整脈(約30%)、狭心症様の胸部重苦感(約10%)、失神(約10%)、右心不全によるショック(10%以下)などがあります。肺梗塞・肺水腫を伴う場合に多い症状としては、胸膜炎様胸痛(約30%)、咳嗽(約40%)、発熱(約50%)、血痰(約10%)などがあります。

診断や治療としては、以下のように行います。続きを読む


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2008年06月07日

ケロイドや肥厚性瘢痕を目立たなくする治療とは

ケロイドや肥厚性瘢痕を目立たなくする治療が本格化し、あきらめていた患者の朗報になっている。近く学会も発足する予定だ。傷跡ケアへの関心は世界的な傾向で、南アフリカ産の美容オイルも輸入されている。一方で保険外のレーザー照射で高額治療費を払いながら、効果がない場合も多いという。

「ケロイド体質は黒人に多く、白人は比較的少ない。黄色人種は中間だが、研究面では日本が一番進んでいる」と話すのは、瘢痕・ケロイド治療研究会の事務局長で日本医科大病院形成外科・美容外科の医局長、赤石諭史さん(33)。

研究会は第1回国際会議が開かれた一昨年に発足。「従来の傷跡分類の見直しや、より効果的な治療法の検討などに取り組んでいる」といい、来年以降、正式な学会に発展する予定だ。

赤石さんによると、手術などの傷跡は
1)白くきれいな成熟瘢痕
2)赤く盛り上がる肥厚性瘢痕
3)肥厚部が周囲ににじみ出すように広がるケロイド

に分かれ、病的なのは2)と3)。同じ部位に両方混在する人も。ケロイドは、皮膚内側の真皮を構成し、線維質の元になるコラーゲンを分泌する線維芽細胞が増殖したものだ。

「帯状疱疹の跡やブラジャー金具で擦れた傷がケロイドになる人も意外に多い。ケロイド体質の人はわずかな傷でも悪化する」と赤石さん。体質自体は未解明だが、胸中央、腹部へそ下の下半部、肩から肩甲骨にかけての3カ所にできやすい。

治療法は効果がゆるい順に
1)線維芽細胞の活動を抑える抗アレルギー薬の内服や保湿クリームの外用など
2)ステロイドテープやシリコンジェルシートの張り付け
3)ステロイド注射やレーザー照射
4)切除と放射線(電子線)照射

の4段階ある。

「傷跡は周囲に引っ張られることで悪化するが、シリコンシートは引っ張り力を緩和する。レーザーは、線維芽細胞が分泌したコラーゲンの束を分解する酵素を、照射の刺激で分泌させるとみられる」

患者によって、これらの治療法を組み合わせる必要があるが「レーザー治療だけ行う施設があり、保険適用外なので計百数十万円払ったがよくならず、日本医科大病院を訪れる患者さんも多い」と赤石さん。同大でのレーザー照射は研究の位置付けなので、自己負担はないが患者は限定される。

かつてケロイドは、切除しても再発・悪化するため手術できないとされたが、近年は悪性腫瘍にも使われる電子線照射やステロイド注射の併用で再発防止が可能になった。日本医科大のほか、北大、東京女子医大、京大、神戸大、広島大、長崎大などでも同様の治療を行っている。

日本医科大病院では肥厚性瘢痕、ケロイドとも切除手術費用の自己負担額(3割)は、局所麻酔で日帰りだと3万円ほどだが、美容目的の場合は全額自己負担となる。

赤石さんが治療を始めた7年前、治療した患者数は年間1000人ほどだったが、近年は4000人ほどに急増し、手術は1年3カ月待ち。「治療後は患者さんの表情が明るく一変する。温泉で人の目が気にならなくなった、かゆみや痛みが取れたのが一番うれしい、といわれる」という。

問い合わせは日本医大付属病院(電)03-3822-2131
(「傷跡」手術や電子線 薄くする医療、加速)


ケロイド、肥厚性瘢痕はいずれも創傷治癒過程が正常に終了せず、瘢痕組織が過剰に増殖した結果に結節性病変を形成したものです。

それぞれの違いは、肥厚性瘢痕は「組織の過剰増殖が一時的で、皮膚損傷部の範囲内に限局するもの」であり、ケロイドは「緩徐ながらも持続的・進行性で皮膚損傷部を越えて周囲に拡大するもの」といった違いがあります。

要するに、肥厚性瘢痕は発症後数年以内に軽快して萎縮性瘢痕となりますが、これに対し瘢痕ケロイドは軽快傾向がなく、さらに真性ケロイドは受傷部位を越えて拡大して進行性に腫瘤状に隆起するようになるという違いがあります。

具体的には、肥厚性瘢痕は創傷治癒後2〜3ヶ月以内に生じ、比較的急速に増大します。周囲の健常皮膚を圧排するように増大するため、辺縁部は急峻な隆起を示し、周囲の皮膚に発赤を伴いません。

ケロイドは発症も緩慢であり、周囲の皮膚には発赤を伴うことが多いです。辺縁部はなだらかに隆起し、自発痛・側圧痛やそう痒を伴います。肥厚性瘢痕と異なり根治的治療はきわめて困難であると考えられています。再発、増悪傾向が強く、病悩期間は10年以上と長くなることが多いようです。

治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む


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2008年05月29日

歯周病と発癌リスクには関係がある?

歯周病によりがんのリスクが高まる可能性があるとの研究結果が27日明らかになった。インペリアル・カレッジ・ロンドンのドミニク・ミショー博士らが専門誌に発表した。

歯周病歴のある男性医療専門家を対象にした長期研究で、がんを患う可能性が全体的に14%高いことが判明した。論文では「喫煙その他のリスク要因を考慮した上でも、歯周病は肺や腎臓、すい臓、血液のがんのリスク増大と大きな関連性があった」としている。

これまでの研究では、歯周病で心臓病や糖尿病の発生リスクが高まる可能性が示されていた。
(歯周病、がんのリスクが高まる可能性=研究)


歯周病原性細菌とは、歯周疾患の各病型の成立に重要な役割を演じていると考えられている菌種の総称です。たとえば、成人性歯周炎の原因となるPorphyromonas gingivalis、若年性歯周炎にはActinobacillus actinomycetemcomitans、妊娠性歯肉炎にはPrevotella intermediaなどがあります。

菌歯周病菌が引き起こす歯周病とは、歯と歯茎の間にある溝(歯周ポケット)で歯周病菌が繁殖、歯茎に炎症が起きる疾患です。日本人のおよそ7割がかかっていると考えられている国民病の一つです。

この歯周病は、全身疾患(心臓血管系疾患、呼吸器系疾患、糖尿病、妊娠時の合併症、肥満など)との関連性を示す研究結果が報告されており、注目されています。特に、重度の歯周病を患っていると心筋梗塞のリスクが高まる、ということがいわれています。

歯磨き不足などがきっかけとなり、歯周ポケットに歯周病菌がたまり始めると、その毒素で歯茎が破壊され、歯周ポケットは徐々に深くなり出血を伴うようになります。さらに、この状態を放置すると「口臭が発生する」などの症状となって現れます。

このような状態になると、歯周病菌の一部はリンパ管を経て、血管の中に侵入して血中内に入ることになります。もちろん血管に入った歯周病菌の大部分は、白血球によって退治されます。ところが、一部の歯周病菌は、白血球から逃れ、血小板に入り込むことがあります。

歯周病菌が入り込んだ血小板は異常を起こし、互いに集まり固まりやすくなり、簡単に血栓を作ってしまうと考えられています。歯周病菌が入りこんだ血小板が体内で増加すると、血栓がつくられてしまいます。こうした血栓が、動脈硬化が起きていた場所があると次々と付着し、冠状動脈を塞いで、心筋梗塞を引き起こしてしまうと考えられます。

また、歯周病や根尖性歯周炎、あるいは観血的処置後の一過性菌血症により、口腔レンサ球菌を起炎菌とした細菌性心内膜炎を生じることも知られています。特に、心室中隔欠損症術後ならびに心弁置換術術後の患者でリスクが高くなります。そのため、細菌性心内膜炎のリスク症例では、歯周炎や根尖性歯周炎、智歯周囲炎の予防に努め、歯科で観血的な処置を受ける際には、手術前後の抗菌薬(小児はセフェム系経口抗菌薬内服や、成人ではペントシリンの点滴静注やゲンタシン筋注など)の投与が必要になります。

さらに、以下のように糖尿病との関係性がいわれています。続きを読む


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2008年05月24日

多発性硬化症の治療薬−インターフェロンβ

手足のまひや視覚障害などの症状が出る神経難病「多発性硬化症」の治療薬インターフェロンベータの使用後に、副作用が出たり、症状が悪化したりするなどで37%が治療を中止していたことが、厚生労働省研究班の全国調査でわかった。

特に視神経と脊髄に主な病変がある「視神経脊髄型」の場合は症状が悪化する可能性があり、専門医は「効果と副作用をみながら慎重に使うべき」と話している。

脳や脊髄、視神経にある神経線維は、ミエリンという脂質で覆われている。多発性硬化症はこのミエリンが破壊される原因不明の病気だ。神経は脳と全身をつなぎ、電気信号をやりとりしているが、ミエリンには電気コードの被覆に当たる役割がある。破壊されると、視力障害や手足のまひ、しびれ、排尿障害などの症状が出る。重症だと寝たきりになることもある。

国内の推定患者は1万人以上。2000年に保険適用されたインターフェロンベータが唯一進行を抑える薬とされてきたが、近年、使用後に症状が悪化したという報告が相次いだ。厚生労働省研究班が全国調査を行うと、308人のうち117人(37%)が副作用などで治療を中止していたことがわかった。特に視神経脊髄型では、血液検査で抗体が陽性だった17人中14人が「症状の悪化」などを理由に治療を中止していた。

インターフェロンベータは、欧米では多発性硬化症の再発を約30%抑える薬として広く使われている。欧米の多発性硬化症は脳に大きな病変があるものがほとんどで、視神経脊髄型に当たる患者は数%しかいない。一方、日本には、視神経脊髄型の患者が多く、約3割を占める。病巣の分布が違うため、別の病気ではないかという議論がもともとあった。

2004年、米国と東北大のグループが視神経脊髄型だけに高率で見つかる抗体を発見した。同大神経内科教授の糸山泰人さんらの研究によると、視神経脊髄型の患者にはこの抗体に反応する脳や脊髄のたんぱく質に異常があったが、通常の多発性硬化症では異常がなかった。糸山さんは「分子レベルで見ると、両者は別の病気。治療法も当然異なる」と話す。

糸山さんは、視神経脊髄型なら、ステロイドの服用と、血液中の液体成分を入れ替える血漿交換を併用する治療に切り替えた方が良いという。抗体検査や画像から診断可能で、抗体検査は、東北大など3大学で無料で実施している。

ただし、インターフェロンベータが完全に無効かどうか結論は出ていない。国立精神・神経センター免疫研究部長の山村隆さんは「効果がある患者さんもいる反面、皮膚にかいようができたり、うつになったりするなどの副作用がある。使用には慎重な見極めが大切」と話す。
(多発性硬化症の治療薬)


多発性硬化症とは、原因不明の中枢神経の炎症性脱髄性疾患です。大脳、小脳、脳幹、視神経など中枢神経組織の主に白質に多巣性の限局性脱髄性病変が生じます。

中枢神経白質の障害に基づく様々な症候が出現し(空間的多発)、しかもこれらが再発・寛解を繰り返す(時間的多発)のが特徴的です。多発性硬化症に特異的な症候はありませんが、視力障害、運動麻痺、感覚障害などが様々な組み合わせで出現してきます。初発時の発症形式は、急性・突発性で、約1週間以内に症状が完成します。

視力障害としては、視神経病巣により片側または両側の視力低下をきたします。視神経炎発症時には、眼球運動時痛を伴うことが多く、乳頭黄斑線維が障害されやすいため、中心視力の障害が強いです。特にアジア人では、視力障害が高度になりやすいのが特徴で、両側全盲となる場合もあります。

運動麻痺としては、通常は上位運動ニューロン(錐体路)障害による痙性麻痺の型をとります。腱反射は亢進し、Babinski反射やChaddock反射などの病的反射がみられます。病変の高位により、痙性片麻痺(内包などの障害)、痙性四肢麻痺(頸髄病巣)、痙性対麻痺(胸髄病巣)を呈します。

感覚障害としては、異常感覚(ジンジン感など)、感覚鈍麻などが様々な分布でみられます。脊髄病巣ではレベルのある感覚障害、大脳病巣では顔面を含む半身の感覚障害を呈することが多いです。

必要な検査や治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む


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