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痛みを感じることができない「先天的無痛無汗症」の少年

ロケットニュース24に「常に日常の危険と隣合わせ / 痛みを感じることができない「先天的無痛無汗症」の少年の生活」が掲載されていました。

米アイオワ州に住むアイザック・ブラウンくん(5歳)は、生まれながらにして痛みを感じることができない「先天的無痛無汗症」と診断されている。これは原因不明の症状で、彼は「痛み」を知らない。母親は「(彼の)幼少期は完全な悪夢でした」と振り返っている。

・テーブルから落ちても楽しそうなアイザックくん
母親が彼の様子が普通の子と違うと気づいたのは、ささいな出来事だった。テーブルから床に顔から落ちたときに、泣きわめきもせずに、また痛みを訴えなかったのである。むしろそれを楽しんでさえいたそうだ。

・治る可能性がない
また別のときには割れたマグカップで、手を切っていることに気づかなかったり、加熱中のオーブンに手を置いたり。両親が彼の状態に気づくまで、常に日常に潜む危険に直面していたのだ。医師に相談したのだが、それが治る可能性がほとんどない状態だと知り、失望することになる。

・身体の変化を認めること
医師が両親に伝えたアドバイスは、「身体の変化(たとえば出血した場合など)を、彼自身が認めることができるように教えることです」というものだった。われわれは痛みがあるがゆえに、出血を良いものではないと知っている。しかし彼はそれを理解できない。だから、身体のどこかから出血したりした場合、「それは身体にとって良くないことだ」と、伝えなくてはならなかった。

・20〜30倍の激痛
それからしばらくして、彼は遊び場で骨盤を折ったそうだ。そのとき彼は「足首が痛むと思う」と告げたそうだ。以前と比べて、自らの身体の変化に気付くことができるようになった。しかし母親は、「彼が感じる何か(痛み)は、本当は口でいう『痛み』よりも20〜30倍の激痛を感じるはずなんです」と胸を痛めている。

・夏は冷却ベストを着用
もうひとつ難しい問題がある。それは彼が汗をかかないことだ。体温の調節がうまくいかないため、夏場は冷却ベストをつけていなくてはならない。彼の状態を注意深く見守っていないと、本人も体調の変化に気付かない可能性が高いのである。

・支援団体の存在
「先天的無痛症」および「無汗症」の人はアメリカで100人程度存在すると言われている。実はその支援活動をしている団体があり、アイザックくんの両親はインターネットでその存在を知ることとなった。同じような状況で悩む家族がいることを知り、両親は少なからず心の支えになったようだ。また、痛みを知らない子どもを危険から守る方法を詳しく知ることができるようになった。

・この先何年かかるか
「先天的無痛無汗症」は残念なことに治す術が見つかっていない。だが、近年になってその原因が遺伝子にあることが判明している。具体的な対処法が見つかるのは、この先何年かかるかわからないだろう。一方で、この遺伝子の研究は慢性的な痛みを抱える人の治療に役立つ可能性もあるという。

一日でもはやく研究が進むことを願う。「痛み」がはたす役割は、われわれが感じているよりもはるかに大きいのではないだろうか。

無痛無汗症とは


先天性無痛無汗症は、「全身の温痛覚(熱さや痛みを感じることができない)と発汗がなく知能障害を伴い、常染色体劣性遺伝」の疾患です。

痛みを通して体に危害が加わることを経験しそれを避けようとする生体防御の知恵を学習することができないため、危険を認識することができずに繰り返し外傷を受け、歩行不能に至ることが多いといわれています。原因遺伝子は同定されています(ノックアウトマウスの研究からTrkAの遺伝子変異が原因と考えられている)。
 
乳児期には不明の発熱により1歳前に小児科で診断がつけられることが多く、熱性けいれんが約半数で生じます。病院で採血時に痛がらないことや体が柔らかすぎることで本症が疑われることもあります。

歯の生える時期に、歯への不快感やこだわりが強く、自分の指を噛んだり、歯をぐらぐらにしたりする自傷行為がよくみられる。指を噛むため爪が変形消失し指末端部が切断されたり、感染を起こしたりします。
 
幼児期には全身の低緊張があり立位歩行が遅れますが、2歳頃までに歩行を開始します。運動が活発になると転倒や飛び降りでの外傷が生じるようになります。3歳頃には、足の骨折がよく起こります。踵骨や距骨,中足骨に骨折がみられますが、見逃されることがほとんどです。股関節の脱臼が起こることがあります。続きを読む

頭部にとんでもないものが刺さりながら病院に受診した男性

ザイーガさんに「頭に果物ナイフがぶっすり突き刺さった男、何食わぬ顔で自力で病院に行く」という記事が掲載されていました。



中国吉林省延辺市のこの男性は、「友達とふざけているときに誤って刺された」そうです。しかも、病院に到着してからも落ち着いていて、普通に5階まで階段で上ったとのこと。

頭部CT画像はこちら。

白い部分が頭蓋骨です。その中の灰色の部分が、脳です。
この画像をみると、ナイフの先端は頭蓋骨をわずかに超え、脳内に達しているようですね。

ちなみに、ナイフの先端から黒く糸を引いているように見えるのは、金属アーチファクトと呼ばれるものです。アーチファクト(artifacts)とは、実際の物体ではない二次的に発生したものです。

この画像では、体内の金属物でその周囲が正常に描出されない状態になっています。つまりは、本来ならばこのような黒い部分は脳内にないのですが、金属がノイズを発生させ、CT撮影で上手く描出できない状態になっています。

ザイーガさんの記事では、「誤ったわりには結構深いです」とあり、アーチファクト(黒い部分)まで到達しているような表現になっていますが、実際は、頭蓋骨でほぼ止まっています。続きを読む

生後9ヶ月の姿のまま30歳になった女性−先天性甲状腺機能低下症【トリハダ】

2013年10月29日放送の「トリハダ(秘)スクープ映像 100科ジテンの2時間スペシャル」にて、生後9ヶ月の姿のまま30歳になった女性が紹介されていました。



「永遠の赤ちゃん」生後9カ月の姿のまま30年間生きてきたブラジル人女性
彼女の名前は、マリア・アウデテ・ド・ナシメントさん。1981年5月7日生まれ、今年30歳だ。ブラジル東部のセアラー州の田舎町に、家族と共に住んでいる。家庭はとても貧しく、家族は身を寄せ合うようにして暮らしている。彼女は30歳ではあるが、生まれついて「甲状腺ホルモン欠乏症」という病をわずらっていたため、生後9カ月のまま成長が止まってしまっている。

容姿は赤ちゃんのままで、しゃべることもままならない。彼女の身の回りの世話は父親と、彼の後妻のドラさんが行っている。彼女の実の母親が13年前に亡くなって後、ドラさんは自らの子どもとしてマリアさんの世話を献身的に行っているのである。ドラさんは彼女との出会いを「神様が私に授けてくれたギフト」と語っている。家は貧しく生活もままならないのだが、家庭に愛情が不足することはない。

専門医によれば早くから治療が行われれば、順調な成長も望めたと話している。しかし今となっては過去の話、もしも当時症状について詳細にわかっていたとしても、しっかりとした治療を受けるお金がなかったのだ。

2010年にマリアさんのことが地元テレビ局に紹介されると、とある大学が無償で医療を提供することを申し出た。以来、定期的に治療を受けているそうだ。そしてようやく、2〜3の言葉を口に出来るようになったとのことである。

彼女の疾患は、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)であったようです。甲状腺ホルモン投与で言葉を発することができ、歩くこともできるようになったそうです。

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)とは


先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)とは、胎児の頃から甲状腺ホルモン低下が生じる病態です。原因としては、
・甲状腺自体に問題がある原発性(甲状腺低形成、異所性、甲状腺ホルモン合成異常)
・脳の下垂体・視床下部が原因の中枢性
・一過性(ヨード過剰、母親への抗甲状腺ホルモン薬投与など)

に分類されますが、原発性が大部分です。

未治療では、遷延性黄疸、臍ヘルニア、知能障害、低身長、便秘、活動性低下などがみられます。さらに、未治療で経過していると、重症甲状腺機能低下症となります。特有な顔貌(まぶたが浮腫んだようになり、目は開いたようになります。また、鞍鼻といわれる鼻すじが落ちこんで、低くなった状態になります)を呈し、低身長(特に四肢の短小)や運動発達遅延などを来します。

ちなみに日本では、新生児マススクリーニング対象疾患(検査項目、血清TSH)であり、乳幼児期に発見されます。そのため、マリアさんのような症例は、きわめて稀です。続きを読む

番組のダイエット企画に参加した女性、摂食障害となり死亡

RocketNews24にて、「【韓国】テレビ番組のダイエット企画に参加した女性が突如死亡 / 食事を受け付けない体に」という記事が掲載されていました。

焦らなくてもいい!拒食症・過食症の正しい治し方と知識
焦らなくてもいい!拒食症・過食症の正しい治し方と知識

テレビ番組の人気企画のひとつに、ダイエット企画がある。自力で減量が難しいと考える参加者が、番組の協力を得ながら次第にやせていくというものだ。なかなか思うように成果が出ないなかで目標体重に近づいて行く姿に、励まされるという人も多いはず。

だが、危険が伴う場合もある。最近韓国のテレビ番組に参加した20代女性が、死亡してしまったそうだ。彼女は131.8キログラムから56キロまで体重を落としたのだが、9月22日に亡くなったのである。どうやらダイエットによる影響が否定できないようだ。

・2012年1月に番組出演
亡くなった女性は、2012年1月に韓国のケーブルテレビの企画に参加した。彼女の努力によって体重はみるみる減って行き、話題になったのである。彼女自身、ちょっとした有名人になったようだ。

・「胃バンディング」の手術を受ける
今年1月に再び番組に出演。今後は「胃バンディング」という手術を受ける様子が放映された。これは、胃の上部を縛り食事量を減らすというもの。手術後に45キロ減量し、彼女は最終的に約75キロも体重を減らしたという。

・食事の度に嘔吐
おそらく彼女は、容姿だけでなく生活も一変しただろう。だが、それは必ずしも良い側面だけを持っていただけではない。彼女は食事の度に嘔吐していたようだ。また意図的に吐く様子も友人が確認している。減量を意識するあまりに、食事を受け付けなくなっていた可能性がある。

・洗面所で倒れ……
この8月には、彼女が倒れているところを父親が発見し、身体を大事にするようにと話したそうだ。だが彼女は、40キロ台まで減量する意志を示したそうだ。彼女の死はボーイフレンドによって発見された。食後にやはり吐き気を催して洗面所に行ったようだ。そのことに気づいた彼が洗面所に行くと、彼女はすでに意識を失くしていたそうである。

ダイエットにおける手術


過度な肥満の方への治療の一環として、手術によるものがあります。上記以外にも、胃を小袋に分けて小腸につなぐ「腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術」という手術や、胃バルーンシステム(内視鏡的胃内バルーン留置術)などがあります。

ただ、手術適応となるのは、BMIが35以上で、糖尿病や高血圧、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群、膝関節症などの合併症がある場合となります。さらに、薬や食事療法、体重を毎日記録して減量の動機づけをする行動療法で改善しないことも条件になる、とかなり厳しめです。

やはり手術は最終手段と考え、まずは栄養管理・運動療法でダイエットを行う必要があると考えられます。続きを読む
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2006年02月27日より運営している医学系ニュースサイトです。
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国内の3大疾病である癌、脳卒中、心筋梗塞から稀な難病、最新の治験・治療法など、学んだことを記していきたいと思います。時には微笑ましいニュースから、社会的な関心事となっている医学の問題、感動的な闘病記など、幅広く取り扱っていきたいと思います。ブログパーツ
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