ザ!世界仰天ニュースにて、「謎のめまいは記憶喪失の前兆?」というニュースが取り上げられていました。

イギリス・ロンドン。この町に住む64歳のシェリー・ギラン。以前は映像プロデューサーとして活躍していた彼女は、めまいに悩まされていた。はじめは疲れからきているのだろうと思っていたが、その後も時間、場所を問わずめまいが頻繁に起きていた。少し不安になり耳鼻科や眼科で検査を受けるが、特に異常は見られなかった。

そんなある日、シェリーが車で外出しようとした時めまいが…そして今までにない頭痛、手の震えに襲われた。しばらくして症状は治まったが妙な事が…なんと40年以上乗っているはずの車の運転の仕方が分からなくなっていた。心配になった息子のマーカスは一緒に脳神経外科へ行くが、やはり原因はわからない。

めまいは次第に悪化し、日常の記憶が無くなることも…。そんな母の姿を見かねてマーカスはもう一度病院へ連れて行く。総合病院で全身くまなく検査をすると…なんと原因はすい臓にあった。

病名は「インスリノーマ」。すい臓にできた悪性度の低い腫瘍により血糖値が下がり、エネルギー源である糖が脳に回らなくなったことから脳の機能が低下、めまいが起きていた。その後、シェリーは腫瘍の切除手術を受けめまいの恐怖から解放された彼女は、カメラ片手に相変わらず元気に暮らしている。

インスリノーマとは


インスリノーマとは、膵島腫瘍の一つで、膵β細胞が腫瘍化し、血糖値による制御を受けないインスリン分泌を生じるため、空腹時の低血糖症を生じる疾患です。

大部分(80%)は良性で単発ですが、ほぼ10%が多発、10%が悪性とされています。膵島細胞は膵管上皮に存在する共通の細胞から分化して形成されます。したがって、その腫瘍化は時にインスリン以外のホルモンを同時に産生することもあります。一部(数%)は、多発性内分泌腫瘍multiple endocrine neoplasia1型(MEN1型)の部分症としてみられます。

正確な頻度は明らかでないですが、年間100万人に1人程度と、比較的珍しい疾患です。好発年齢は40〜60歳ですが、あらゆる年代に発症し、女性にやや多い(男性:女性=1:1.5)です。

低血糖による症状として、
1) 低血糖に反応して分泌されたカテコールアミンによる症状(交感神経亢進症状:頻脈、冷汗、心悸亢進など)
2) 低血糖による中枢神経症状(異常行動,見当識障害,人格変化など)
があります。

低血糖症との疑いを持つことがなにより重要です。なお、ほとんどの場合は空腹時の低血糖ですが、まれに食後数時間後の低血糖症としてみられることもあります。過食傾向になるためか、やせたインスリノーマ患者はほとんどいないそうです。続きを読む