大阪市中央区の印刷会社、サンヨー・シーワィピーの胆管がん多発問題で、産業医科大の熊谷信二准教授(労働環境学)らによる論文が英国の国際的な医学誌「産業・環境医学(OEM)」オンライン版に掲載された。インキ洗浄用の2種類の化学物質が原因と推測しており、「知られていなかった職業がん」と結論づけている。各国の胆管がん予防に寄与すると期待される。肝内胆管癌―基礎から臨床まで (肝・胆・膵フロンティア)

熊谷准教授は、サ社でインキ洗浄が頻繁に行われた校正印刷部門で91〜06年に1年以上勤務した男性62人を調査。一昨年12月にとりまとめた段階で、11人が発症、うち6人が死亡したことを確認した。死亡率は全国平均の2900倍で、仕事との関係が明確とした。

発症者は全員が塩素系有機溶剤の1、2−ジクロロプロパンを7〜17年浴び、10人はジクロロメタンに1〜13年さらされた。2物質とも動物実験などから発がん性が認められ、職場は高濃度だったことから、「職場での濃度が最低限になるように管理するべきだ」と提言した。

サ社での発症者は現在、17人(うち死者8人)と判明している。
掲載は今月14日付。OEMは1960年(当時別名)、アスベストの住民への影響の論文を初めて掲載した。
(胆管がん:「知られていなかった職業がん」英医学誌に)

胆管癌とは


胆管は、肝臓でつくられる胆汁を十二指腸まで導く導管です。胆管は、肝臓の中を走る肝内胆管と、肝臓の外に出てから小腸までの肝外胆管に分けられます。胆管癌は胆管の上皮から発生する悪性腫瘍です。その発生した部位の胆管により、肝内胆管癌と肝外胆管癌の2種類に分けられますが、一般に「胆管癌」といった場合は、主に"肝外胆管に発生した癌"を指します。

年齢別にみた胆嚢・胆道癌の罹患率・死亡率は、50歳代以降増加します。胆嚢・胆道癌は、発生率が低いために、疫学的な研究結果は限られていますが、胆石や胆嚢・胆管炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、原発性硬化性胆管炎、膵胆管合流異常症などの胆道系疾患の既往は、胆嚢がんのリスク要因として知られています。そして、胆嚢摘出術などによる治療は、胆道癌のリスクを低下させるという報告もあります。

さらに、リスクとなるものとしては、以下の様なものが指摘されております。続きを読む