読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
胃の内視鏡検査で「バレット食道」と告げられました。治療法がないとの説明にショックを受けています。どんな病気で、どうすればいいのか教えてください。(79歳女性)

この相談に対して、島根大病院・消化器内科教授である木下芳一先生は以下のようにお答えになっています。
バレット食道とは、胃と接している食道の部分に炎症が起こり、食道の粘膜が胃や腸に似た別の粘膜に変質する病気で、とてもよく見られます。原因は胃液が食道に逆流して胸やけなどの症状が表れる「逆流性食道炎」と考えられていますが、多くは症状がなく、胃の内視鏡検査でたまたま発見されるのが一般的です。

質問者は朝、口の中がカラカラになるようですが、これも胃液の逆流で起きる場合があります。こうした症状や胸やけなどがある方は、逆流性食道炎と同様に胃酸を減らす薬を飲めば、多くの場合は症状が軽くなります。

バレット食道自体の治療は、変質した粘膜を内視鏡を使って焼き、食道本来の粘膜の再生を誘導するいくつかの方法が開発中です。どのような方が治療を受けるべきか、どの治療法が最も有効で安全性が高いかなどが検討されています。


バレット食道とは


バレット食道とは、胃液による逆流性食道炎などが原因で、難治性潰瘍の治癒再生過程に、円柱上皮が胃噴門部から連続して食道粘膜と入れ替わったものをいいます(要は、慢性的に胃液などが付くことで、粘膜が別の組織に変わる)。

定義としては、「本来、重層扁平上皮が存在すべき食道が、胃側より連続して円柱上皮(Barrett粘膜)で覆われており、その長さが食道胃接合部より3cm以上存在するもの」とされています。

臨床症状は、逆流性食道炎と似ており、慢性に経過し出血や瘢痕狭窄を来しやすいです。胸やけ、呑酸(口が酸っぱくなる感じ)が代表的ですが、逆流により非心臓性胸痛、嗄声、咽喉頭違和感、呼吸器感染症、気管支喘息なども起こることがあります。

バレット食道の治療とは


バレット食道の治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む