武田薬品工業は17日、開発提携しているスイスの医薬品メーカー、サンセラ・ファーマスーティカルズが、フリードライヒ失調症治療薬「イデベノン」の販売許可を欧州医薬品審査庁(EMEA)に申請したと発表した。許可が下りれば、武田が販売する。
 
フリードライヒ失調症は遺伝性の神経・筋肉障害で、筋肉が制御できなくなったり、心臓壁が厚くなったりする。北米・欧州の患者数は2万人程度。

イデベノンは神経や筋肉の細胞死を防ぐ効果があるとされており、EMEAに希少疾病指定を受けている。武田が化合物を発見し、2005年7月からサンセラ社が開発してきた。
(フリードライヒ失調症治療薬を欧州で販売へ)


フリードライヒ失調症は、脊髄小脳変性症の一型で、主として病変が脊髄に限局された脊髄型です。家族性遺伝性があり、常染色体劣性遺伝で7〜15歳発病が多いとされています。

症状は、共同運動や筋の運動、さらに一部の感覚機能などをつかさどる小脳や脊髄に変性が起こることにより生じます。一般的に、小児期から思春期前の時期に症状が現れはじめ、初期の症状としては不安定歩行 (運動失調)、言語障害(構音障害)、攣縮性の眼球の動き(眼振)が挙げられます。協調運動やバランスが悪く、よく転んだりします。

また、筋肉の制御と緊張の異常により脊椎が変化して、脊柱側彎症や脊柱後側彎症になります。筋力が低下するため、イスから立ち上がったり階段を登ったりするのが困難となります。さらに、脊椎や足の変形(槌状趾といって、高い土踏まず[凹足])が見られることがあります。

致死性のリスク(治療に反応しない心不全や不整脈により死亡することあり)である、心疾患が起こって心不全を来たすことがあります。

フリードライヒ失調症の治療法は、今のところありません。ですが、今回の治療薬登場に期待されます。イデベノンには、神経や筋肉の細胞死を防ぐ効果があるとのことで、進行を遅らせることができるかも知れません。効果を上げ、国内でも使用される日がくることを期待しております。

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