メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)の人はそうでない人に比べて、心筋梗塞など心臓血管系の病気になる危険性が男性で約2・5倍、女性で約1・8倍になるとの研究結果を、島袋充生・琉球大医学部講師(循環器病学)らがまとめた。
 
沖縄県の約7000人を対象にした疫学調査で、島袋講師は「同症候群と心臓血管の病気との関連が裏付けられた」としている。
 
島袋講師らは、平成15年5月から16年3月までの間に、沖縄県豊見城市の病院で人間ドックを受けた30歳以上の男女から、腹部の肥満に加え血圧、血糖値、中性脂肪のうち2つ以上が高く、同症候群の基準を満たす男性1069人、女性153人を選んだ。
 
この人たちに今年2月以降、聞き取りやアンケートを実施。心筋梗塞や大動脈瘤(りゅう)などを発症した確率(累積発症率)を調べたところ、男性では約28%で、同症候群でなかった男性に比べ約2・5倍危険だった。
 
女性では発症率は約9%で、危険性は同症候群でない人の約1・8倍だった。
島袋講師は「油を使った料理が多く、食の欧米化も進む沖縄の人は全国平均よりも脂肪の摂取量が多いが、食生活の変化で日本人全体が今後同じようなことになるだろう。内臓脂肪を増やさないよう動物性脂肪の取りすぎには注意してほしい」と話している。
(心臓血管病 メタボ男性は2.5倍危険 沖縄で7,000人調査)


日本人の平均寿命が、男性79.00歳、女性85.81歳で過去最高を更新したことが明らかになりました。ですが、以前は長寿県として有名だった沖縄県は、男性が26位とかなりのランクダウンしています(女性は相変わらず1位ですが)。

その背景として、ファーストフード店が人口に対する店舗数が、全国に比較してかなり多い(1.7倍といわれています)ことがあげられています。つまり、今までのようなバランスのとれた栄養を、摂っている人が少なくなってしまった、ということが原因のようです。

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態をいいます。

それぞれ単独でも、リスクを高めますが、これらが多数重積すると相乗的に動脈硬化性疾患の発生頻度が高まるため、リスクが重なった状態はハイリスク群として予防・治療の対象と考えられています。近年では、特に内臓脂肪の蓄積による肥満が共通の基盤として着目されています。

今回の結果では、心筋梗塞など心臓血管系の病気になる危険性が男性で約2.5倍、女性で約1.8倍に増加するとのことです。動脈硬化とは、動脈が肥厚し硬化した状態です。これによって引き起こされる様々な病態を動脈硬化症といいます。

動脈硬化は、最終的には動脈の血流が遮断されて、酸素や栄養が重要組織に到達できなくなる結果、脳梗塞や心筋梗塞などの原因となってしまいます。その原因としては、高血圧や高脂血症などが関係しているといわれています。

こうした原因は、やはり日頃の食生活、つまりは減塩やヘルシーな食生活、適度な運動を心がけることが第一歩となります。ご心配な方は、ぜひとも医師に相談なさって、適切な指導を受けてみてはいかがでしょうか。

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