実年齢より何十歳も年をとっているように見える容貌のために、苦しんでいる少女がいると25日、イギリスのデイリー・ミラーが伝えた。彼女は、脂肪代謝に異常があり、脂肪が蓄積したり減少したりする脂肪異栄養症(リポジストロフィー)を患っているという。

「年老いているように見えるけれど、私はまだ13歳なの」と話すのは、イギリスのロザーハムに住むZara Hartshornさん。脂肪異栄養症の症状である脂肪委縮のために、目尻や口もと、首筋に深いシワが刻まれており、幼い頃から辛い思いをしてきた。

例えば、彼女が子供専用のバスに乗ろうとすると運転手は「あなたが子供なら私は21歳と言っても差し支えないだろう。どこが子供なんだ」と言って笑う。彼女は恥ずかしさのあまりバスに乗ることを諦め、これ以上何か不都合なことが起こらないように祈りながら歩いて家に向かう。「そういう出来事は日常茶飯事なのよ」とZaraさんは訴える。「バスに乗るときも、映画館に入るときもそんな調子だわ。私が制服を着ていると、みんなコスプレか何かのように思うみたい」と苦労を語る。

実は、Zaraさんのお母さんのTraceyさん(40)が脂肪異栄養症で、さらに彼女の5人の兄弟も同じ病を患っている。しかし、薬があまり効かない体質のZaraさんが一番深刻な状態だ。そんな娘を母Traceyさんは「Zaraは赤ちゃんのころから皮膚がたるんでいた。年齢とともにシワはますます増えて、今では年上の兄弟らよりも年老いて見えるようになった。これまでは私が守ってきたが、これからの人生を考えると気持ちが沈む」と悲痛な思いで見守る。

現在、Zaraさんの症状に対して効果が期待できるのは皮膚のリフティング手術だが、これも一時的なもので、根本的な解決には繋がらない。彼女は「歩くだけで笑われたり、指をさされたりはもう嫌。普通の13歳の少女のように、制服が似合うようになりたい」と切実な願いを述べ、「治療してくれる専門家を探し中なの」と話した。
(年老いて見える奇病に苦しむ13歳の少女)

脂肪異栄養症(リポジストロフィー)とは


脂肪異栄養症(リポジストロフィー)とは、身体の脂肪組織の著しい減少を示す稀な疾患群のことを指します。

全身型と部分型に大別され、全身型は常染色体劣性遺伝による先天性、特発的発症の後発性を含みます。部分型は多くが後発性で、主に上半身の脂肪消失をみますが、まれに優性遺伝形式をとるものがあります。

Zaraさんのように、遺伝性では脂肪消失は生後すぐに認められ、代謝異常や臓器障害は徐々に進行します。一方、後発性では麻疹、百日咳、伝染性単核球症などのウイルス性疾患、甲状腺疾患や妊娠を契機にした発症がみられます。

脂肪異栄養症(リポジストロフィー)の診断


全身型、部分型ともに、特異な外見と肝・腎機能障害、糖・脂質代謝異常から診断できると思われます。

症状として、全身型では、著明な脂肪組織の消失による皮膚のつっぱり、やせ、頬のこけ、大きな耳介のほか多毛症、色素沈着、腹部臓器やリンパ節の腫大に加えて、先端巨大症を思わせる筋肉の肥大と大きな手・足などが特徴的です(MRI所見では眼窩、手掌などで深部脂肪組織は残っています)。知能障害をおよそ半数に認めます。後天性全身型ではしばしば肝硬変が予後を左右します。

部分型(後天性)は最も多く、特に女性に多いです。一般に上半身型ですが、まれに片側や下半身型病変の報告もあります。肝障害はまれですが、蛋白尿を伴う腎障害は他の型よりも多くみられます。

後年にSLE、皮膚筋炎、Sjoegren(シェーグレン)症候群の発症をみる場合もあります。また、稀に全身型に進行するケースがあります。限局型では鼠径部や腋下部から始まる遠心性脂肪萎縮が代表的ですが、臨床では、インスリン注射部位やジフテリアなどワクチン注射部位の限局性脂肪萎縮がみられます。

代謝異常は、本疾患では重要な所見であり、特に全身型では顕著です。インスリン抵抗性による糖尿病は特に脂肪萎縮性糖尿病と称されています。インスリン抵抗性の原因の詳細は不明ですが、遊離脂肪酸の増加がインスリン作用障害と高インスリン血症をもたらすものと考えられています。

脂肪異栄養症(リポジストロフィー)の治療


治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む