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医療ドラマ「JIN-仁-」第10話 肺血栓塞栓症

ついに、歴史通りに斬られてしまった坂本龍馬(内野聖陽)。寺田屋の女将・お登勢(室井滋)らに見守られる中、南方仁(大沢たかお)は橘咲(綾瀬はるか)と佐分利祐輔(桐谷健太)の手を借りて、大手術に臨む。

龍馬は額を斬られていた。その創部(傷口)からは大脳が一部露出している、という重篤な状態であった。すぐさま手術に移り、挫滅した大脳を除去し、そして脳浮腫に対しドレーンを留置した。手術自体は順調に進み、切除した頭蓋骨を大腿部に保存しようとしたところ、仁に頭痛が起こる。

ただならぬ状況を察知した佐分利は、手術を代わる、と申し出る。彼の力も借り、あとは龍馬が回復して自発呼吸を取り戻すまで、アンビューバッグで人工呼吸を続けるのみだった。代わる代わるで交代し、一晩明け、ついに龍馬は意識を取り戻す。

ところが、起き上がった途端に肺血栓塞栓症を引き起こし、ショック状態に陥る。心肺蘇生術に仁はとりかかるが、間もなく龍馬は息を引き取った。咲は、兄が龍馬暗殺に荷担していたことを仁に侘び、その姿を見た仁は「自分のせいで、周りの人々が悲しむ結果になってしまっている…」と考えるようになる。

仁友堂に帰った仁は、ペニシリンのニセの製法を教えた、というあらぬ疑いを掛けられ、山田医師らが非難の的となってしまい、囚われていたことを知る。勝海舟や医学所の医師らの助けもあり、三隅医師が裏で糸を引いていたことが明るみになり、仁友堂の疑いは晴れた。

ところが、仁は仁友堂の閉鎖を口にする。「自分のせいで、周りの人々が悲しむ結果になってしまっている…」といった思いや、自身の脳腫瘍のこともあったためである。ところが、山田医師らの説得や、亡き緒方洪庵の言葉を胸に、仁は仁友堂の継続、さらに医学的な知識を広めようと医学所などで講義を行うようになる。

だが、仁の病状はさらに悪化の一途を辿っていた。案ずる咲だったが、自体を打開するためには、仁が未来へ戻らなければならない。その方法も分からぬまま、咲は仁の身を案じていた。



肺血栓塞栓症とは


肺血栓塞栓症は、「エコノミークラス症候群」としても知られるように、長時間、同じ姿勢のまま過ごすと起きやすいことで知られています。新潟県中越地震では、被災地で車中泊をしていた人が多く発症したことが報告され、有名になりました。

一方で、病気や出産で入院したときなどにも起きやすく、手術で病気が治った直後の突然死、といったことが起こる可能性もあります。保険適応がなされるようになってから、術後に「間欠的空気圧迫法」と呼ばれる対策(空気圧で下肢に圧迫するもの)をとる病院が多くなってきたようです。

症状としては頻度の高いものとして、急に発症する呼吸困難(約80%)、多呼吸(約80%)、頻脈(約60%)などがあります。広範な塞栓の場合にみられる場合、不整脈や狭心症様の胸部重苦感、失神などが起こります。肺梗塞・肺水腫を伴う場合は、胸膜炎様胸痛、咳嗽、発熱などが起こることもあります。

男女比は5:4で、あらゆる年齢層に発症する可能性があります。ただ、高齢になるほど多く、60歳以上が患者全体の約50%を占めます。

臨床的には、後者(静脈系から肺動脈へ流入した物質により肺動脈が閉塞)である肺塞栓症が大半です。急性肺血栓塞栓症は、その90%以上が下肢あるいは骨盤内の静脈に生じた血栓が原因であり、遊離して肺動脈を閉塞することにより生じます。

その他、空気(外傷、カテーテル)、脂肪(骨折)、羊水(自然分娩、帝王切開)、敗血症性塞栓(薬物濫用、カテーテル感染、中絶・分娩後の骨盤部血栓性静脈炎)などがあります。

肺血栓塞栓症の治療


肺血栓塞栓症の治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む

医療ドラマ「JIN-仁-」第09話 脳挫傷・硬膜下血腫

・あらすじ
「この国を生まれ変わらせよう」とした坂本龍馬(内野聖陽)の悲願であった『大政奉還』が成立。江戸幕府は、その260年余りの歴史を終了させる。

そして南方仁(大沢たかお)は、恋人である友永未来(中谷美紀)が過去に“坂本龍馬は誕生日に死んだ”という史実を話していたのを思い出し、その暗殺日まであと1ヶ月だと気付く。

着々と近付く龍馬暗殺。「必ず自らの手で龍馬を助けるのだ」と決心した仁は、橘咲(綾瀬はるか)、佐分利祐輔(桐谷健太)とともに龍馬のいる京へ向け出発。一方、橘恭太郎(小出恵介)は、上役(中原丈雄)からあることを命じられる。その命とは、仁一行を尾行し、龍馬の居場所を見つけ出し、龍馬暗殺を遂行することだった。

一刻も早く龍馬と会おうとする仁たちだったが、京都市中を探すもなかなか見つからない。そして迎えた龍馬の誕生日の11月15日。東修介(佐藤隆太)に居場所を教えてもらい、ようやく仁は龍馬に会うことができた。さっそく京を出るように勧める仁だったが、龍馬は京にとどまり続けた。

やきもきしながら15日が平穏無事に過ぎることを望んでいた仁だったが、寺田屋でついに恭太郎に龍馬は見つかってしまう。東は恭太郎たちの暗殺の手を阻止しようと闘っていたが、その場に龍馬は居合わせてしまう。そして、東は龍馬を救おうと恭太郎たちに刃を振るったその最中、龍馬の額を斬りつけてしまう。

血飛沫が仁の顔にかかり、龍馬はその場に倒れ込んでしまう。

脳挫傷、頭蓋内血腫とは


額を斬りつけられた龍馬は、外傷性の脳挫傷・硬膜下血腫を引き起こしてしまいます。
脳挫傷とは、頭部を強打するなどの要因によって外傷を受けた際に、頭蓋骨内部で脳が衝撃を受けて脳本体に損傷を受ける病態のことです。

外傷を受けた側の脳は局所的に障害を受ける事に対して、外傷とは反対側の脳表面が広範囲にわたって障害を受ける事を脳挫傷と言います。これは外力によって慣性を付けた柔らかい脳が自分の硬い頭蓋骨に内側からぶつかって広範囲に挫滅するためと考えられます。

小範囲、限局性の脳挫傷の予後は良好ですが、挫傷が広範囲であったり、挫傷脳中に巨大な脳内血腫を形成したりすると予後は不良です。

外傷性頭蓋内血腫は、出血部位によって硬膜外血腫、硬膜下血腫、脳内血腫に分けられます。中でも、頭部外傷の急性期(3日以内)に硬膜下腔、すなわち硬膜内面とくも膜との間に出血した状態を「急性硬膜下血腫」といいます。

出血源としては、脳表に生じた挫滅創からの出血があります。そのため、脳挫創とくも膜下出血を合併するものが多いです(複合型)。また、静脈洞とくも膜下腔との間を走行する架橋静脈の破綻によることもあります(この場合、乳幼児に多く、脳挫傷を伴っていない場合が多い)。稀には、脳表動脈が出血源であることもあります。

このように、急性硬膜下血腫の出血源はほとんど挫傷脳のため、受傷直後から脳損傷に伴う意識障害が出現し、時間の経過とともに意識障害がさらに悪化する危険性の高い疾患です。硬膜下腔血腫の広がりを遮るものがないため、進展は非常に早く、脳挫傷を広範囲に伴っている場合は、容易に脳ヘルニアをきたし、死に至る可能性もあります。

症状としては、ほとんどの症例において受傷時から意識はなく、血圧、呼吸も不安定です。片側性の瞳孔散大や対光反射の消失、また片麻痺、病的反射の出現などが起こりえます。

診断は、頭部CTが非常に有用です。頭蓋骨内面に沿った三日月状の高吸収域の所見が特徴です。多くの場合、広汎な脳挫傷を両側大脳半球に伴うため脳室の圧排所見が強く、脳浮腫液の脳室からの吸収機能も低下しています。血腫の厚さ以上に正中構造が対側へ偏位している場合、脳浮腫が既に進行していることを示します。

脳挫傷、頭蓋内血腫の治療


治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む

医療ドラマ「JIN-仁-」第08話 帝王切開による出産

・あらすじ
1867年(慶応3年)秋。「大政奉還」の実現に向け、坂本龍馬(内野聖陽)は日々奔走していた。その一方で、南方仁(大沢たかお)はそんな龍馬のことを気にかけつつも、乳癌のリンパ節/肺転移を抱えながらの出産を控え、『仁友堂』に入院してきた野風(中谷美紀)の身体を心配していた。

橘咲(綾瀬はるか)も野風のため、産婆のもとへ足を運び、少しでも出産の手助けが出来るようにと努力の日々を過ごす。だが、橘恭太郎(小出恵介)は、幕府の上役(中原丈雄)に引き続き龍馬の動向を探るよう命ぜられていた。

そんなある日、野風のお腹の子が逆子であるとわかり、そのまま産むには危険な状態だと判明。仁は、『仁友堂』の面々に協力してもらいながら“整胎術”や“お灸”で逆子を戻そうと試みるのだが、野風の母体を第一に考え、ある決断を下そうとする。その決断とは、母胎を優先し、子供を諦める、というものだった。

野風を落ち着かせ、麻酔下に子供を取り出そうとする仁。「子供には影響の少ない麻酔にします」と伝えた仁だったが、その嘘を野風はすぐに見破る。そして、「麻酔無しで、帝王切開で子供を取り出して欲しい」と切望される。その様子に、咲も後押しをする。

そして、ついに無麻酔での帝王切開術が開始された。激痛の中、手術が進行する。それは、想像を絶するような苦しみであった。無事に取り出された子供は、呼吸をしていなかった。咲は子供の背を叩き、呼吸を開始させた。泣きだした子供の様子に安心した野風は、安心したかのように目を閉じた。

子宮切開部からの出血、播種性血管内凝固(DIC)、そして心肺停止に陥った野風。だが、仁の心臓マッサージで野風は蘇生した。母胎、そして子供ともども救命することができたのだ。子供は、安寿と名付けられた。

一方、その頃、幕府側は大政奉還を決定事項とした。坂本龍馬の奔走により、大政奉還が結実することとなったのだ。



帝王切開術とは/骨盤位・横位とは


帝王切開術とは、急速遂娩術の1つで、子宮壁を切開して胎児を娩出させる方法です。腹式帝王切開術と腟式帝王切開術とがありますが、後者はほとんど行われません。

適応となるのは、狭骨盤や児頭骨盤不均衡、切迫子宮破裂、前回帝王切開、経腟分娩に母体が耐えられないなど母体側の適応と胎児仮死、胎盤の異常(前置胎盤,常位胎盤早期剥離など)、胎位、胎勢の異常(骨盤位、横位、回旋異常など)などです。重複することもあります。

野風の場合は、逆子(骨盤位)であり、なおかつ分娩途中で横位となっていました。そこで、仁は帝王切開術を施行しようと決断します。続きを読む

医療ドラマ「JIN-仁-」第07話 進行乳癌

・あらすじ
坂本龍馬(内野聖陽)と気持ちがすれ違ったまま、長崎から江戸・仁友堂に戻った南方仁(大沢たかお)。その頃、龍馬に関する事を探るように上役(中原丈雄)から命じられた橘恭太郎(小出恵介)は、探りを入れるため、度々『仁友堂』を訪れていた。

あらためて“龍馬暗殺”がいつだったか思い出そうとする仁。過去に友永未来(中谷美紀)と龍馬の没した年月日の話をしたときのことを、必死に思いだそうとしていたが、正確に思い出せない。その時、またしても頭痛が仁を襲うのだった。

そんな折り、野風(中谷美紀)から仁と橘咲(綾瀬はるか)宛ての文が届く。そこにはフランス人・ルロン(ジャン・ルイ・バージュ)と正式に国際結婚できることが決まり、2人に婚礼に来て欲しいという旨が記されていた。かくして婚礼に出席するために横浜の野風の元へ向かった2人だが、そこで仁は、野風から診てもらいたい病人がいると告げられる。

その病人とは、野風自身だった。野風は仁によって乳房温存での乳癌摘出術を受けていたが、再発していた。左腋窩にリンパ節腫脹をいくつも認めていた。さらに、「空咳が続いている」と言われる。そのため、肺転移も疑われた。

「もっとリンパ節郭清をしっかりおこなっていれば…」と詫びる仁に、野風は謝らないで、先生には感謝しています、との旨を告げた。さらに、妊娠していることを明かす。進行癌を患いながらも、野風は子供を産むことを決心していた。野風は、「自分の命が終わったとしても、子供がその血筋を継いでいってくれる。100年、200年と」…と語った。彼女自身、先が短いことを悟っていたのだった。

ルロンと野風の挙式に参列した、仁と咲。咲は、「野風さんのお子を仁友堂でとり上げましょう」と提案する。最初は躊躇っていた仁であったが、咲の説得により野風の出産を仁友堂で行うことをルロンに提案し、承諾を得る。

仁友堂に戻った仁は、坂本龍馬の手紙、写真が無くなっていることに気づく。そこから、坂本龍馬の動向を探る者がいることに気づき、仁友堂までその調査対象になっていることに、仁は不穏な陰を感じた。


乳癌とは


乳癌とは、乳房にある乳腺組織に発生する悪性腫瘍のことです。乳癌罹患は年間約4万人で、女性が罹る癌の中でトップであり、年々増加傾向にあります。年間死亡は約1万人で、罹患のピークが40〜50歳代にあります。そのため、働き盛りの女性の罹患する癌の中で、乳癌は罹患率・死亡率とも第1位となっております。

乳癌罹患者数は1970年の約3倍で、食事内容の変化(脂肪摂取量の増加や初経年齢の低年齢化などで)今後も増加し、2015年には年間約48000人の女性が乳癌に罹患すると予測されています。年々増加の一途をたどり、現在、年間約1万人が死亡しています。

多くの女性が乳癌に最初に気づくのは、ほとんどが自分で「しこり」に気づいています。そのほか皮膚陥凹、乳頭からの血性分泌物、乳頭のびらん、疼痛などがみられることもあります。

患者さんは、「乳房にしこりがある」と訴え、痛みを伴わないことがほとんどですが、気がついてから、よく触れるために痛みや圧痛を伴うようになったと訴えることもあります。触れたしこりの大きさの変化も重要な情報となります。

こうして「しこりに気づいて」受診されているということは、逆に言えば、検診にて発見されるのは、たった2割でしかないと日本乳癌学会の大規模調査で判明しています。ただ、胸を触る自己診断で見つかる乳癌の大きさは平均約2cmで、自然に気づく場合は3cm以上が多いとのことです。

早期癌は、直径2cm以下とされています。ですが、発見時には43%が2.1〜2.5cmに達しており、発見時にリンパ節に転移していた人も、3分の1を占めています。リンパ節に転移しない乳癌の10年後の生存率は約9割と高いが、転移をしていると7割以下に落ちるといいます。

一般的な乳癌のスクリーニング検査としては、問診、視触診、軟X線乳房撮影(マンモグラフィー)、超音波検査等が実施され、臨床的に疑いが生じると、生検が実施され組織学的診断により癌かそうで無いかが判別されます。早期がんの発見には、マンモグラフィ検診が有効です。乳癌の死亡率を下げるには、集団検診の受診率を上げることが不可欠とされています。

乳癌の治療


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