東京・池袋で7月、脂肪吸引手術を受けて腹をけがした女性が路上に放置されていた事件で、手術をした30代の中国籍の女が事件当日、成田空港から中国に出国していたことが10日、警視庁の調べで分かった。女は東京の中国人社会では有名なエステティシャンといい、無許可で、複数の中国人エステ店を“地下病院”にし、手術を繰り返していたとみられる。警視庁は傷害などの疑いで捜査、女の国際手配も検討する。

池袋署の調べでは、女は7月19日午後、豊島区池袋の雑居ビルのエステ店で、30代の中国籍の女性の腹を1センチ切った上に脂肪を溶かすための薬品を体内に注入、脂肪吸引手術をしたとみられる。

薬品を注入した時点で女性が痛みを訴えたことから手術を中断、中国人のエステ店従業員が救急車を要請し、女は女性を抱えて現場のビル下の路上まで連れて行ったが、騒ぎになり女性を置き去りにして逃げ、同日午後には、成田空港から中国に出国したという。

女性は別の病院に運ばれたが、皮膚の約30%が壊死するなどし、全治3カ月の重傷を負い、現在も入院中だという。

同署は傷害容疑でエステ店を捜索、店内から脂肪吸引に使ったとみられる機具や薬品類を押収した。店ぐるみでの無許可の手術とみて捜査したが、その後の調べで、女が場所だけを借りていたことが判明。また、女が東京の中国人社会では、有名なエステティシャンとされ、女性は口コミで手術を受けていた。女は別の複数の中国人エステ店などでも部屋を借りて、脂肪吸引をしていたといい、同署は、医師法違反(無許可診療)の疑いもあるとみて調べている。
(脂肪吸引で重傷女性放置 中国籍の女が出国)


脂肪吸引とは、その名の通り、皮下脂肪を細い吸引管で吸引して取り除く手術方法のことです。利点としては、痩せにくい部分の「部分痩せ」や、脂肪細胞を除去してしまっているので、大きくなったりすることがないため、手術を行った部分はリバウンドがなくなるといった利点があります。

現在、主流となっているのはチューメセント法で、最も安全性と有効性が高いとされています。これは、生理食塩水に血管収縮剤(エピネフリンなど)、pH調整剤、局所麻酔薬(リドカインなど)が配合されたチューメセント液を吸引前に注入し、その後に脂肪吸引を行う方法です。

水溶液で脂肪の層をふやかし厚くすると、相対的に細い吸引管で吸引したのと同じ(太い吸引管を使っていても)になると伴に、なめらかに吸引出来るようになるそうです。さらに、血管を傷つける恐れが減るので、出血も抑えられるとのこと。

吸引する方法としては、超音波脂肪吸引法などが併用されているそうです。
超音波脂肪吸引法の体内法では、超音波で脂肪組織を吸引しやすくしながら、吸い出していく方法のようです。

本件の手術も、同様のことを行ったようです。ですが、途中で痛みを訴えたり、結果として皮膚組織の30%が壊死してしまうという痛ましいことになってしまったことから、薬液を注入した時点で、何らかの問題が起こってしまったと考えられます。

こうした脂肪吸引手術は、以前にも書きましたが、一見、簡単そうにみえてしまいますが、実は多くの症例をこなさないと難しい手術です。直視下で手術できるわけではないので(吸引管を挿入して手術するので)、どこに多く脂肪があるのか、手探りで感覚によって吸引していかなければならないからです。

手術を中断後、タクシーで女性を病院へ運ぼうとしたところ、人が集まってきてしまい、付添っていた女性たちは、彼女を置いて逃げていってしまったようです。未だに入院中という重症を負いましたが、命に別状が無いことだけが救いです。こうしたことが二度と起こらないことを願います。

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