太りすぎの医療費は高くつきます−。標準体形の男性が20キロ太ると、糖尿病や高血圧になりやすくなり、年間医療費が2.5−1.3倍に跳ね上がるとの推計を京都大経済研究所の古川雅一研究員(医療経済学)らがまとめ、8日発表した。

推計には中高年男性の半分を占めるとされるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の人も含まれており、将来の健康悪化が心配。古川研究員は「医療費の一部は健康保険でカバーされるが、予備軍から病気に進めば家計を圧迫する。肥満予防が肝心」と話している。

古川研究員らは、平成13年の国民健康・栄養調査のデータから約1万人分を抽出。体重が増えると血糖値や血圧がどう変化するか統計的手法で推定し、糖尿病と高血圧性疾患の増加に伴う医療費の伸びを調べた。

その結果、体重64キロの男性が20キロ太ると、新たに発症したり持病が悪化するなどして糖尿病に関する医療費が2・5倍に増加。高血圧性心疾患では1・3倍に増えた。女性では54キロの人が17キロ太ると、それぞれ同じ程度の医療費増が予測された。

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪が一因となり高脂血や高血糖などを併発した状態。放置すると心筋梗塞や動脈硬化、糖尿病になりやすいと考えられている。
(メタボ男性は家計に影響!医療費が年2.5倍に)
たしかに、糖尿病に対する血糖降下薬やインスリン注射、高血圧に対する降圧薬、高脂血症に対する脂質降下薬など、こうした薬剤は長期にわたって飲み続ける必要があり、医療費の面では大きな負担となりうるのではないでしょうか。

さらに、糖尿病は糖尿病性腎症や網膜症の合併を引き起こす可能性があり、そうなると透析導入が必要になったり(現に、国内での透析導入の最多原因は、糖尿病性腎症です)、視力低下・失明という大きな障害を持つことになります。

高血圧や高脂血症も動脈硬化を進め、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞といった重篤な疾病をわずらうリスクを上げてしまいます。

ジェネリック医薬品を使っての医療費削減を心がけても、こうした病気にならないに越したことはないでしょう。食事に気を付け、運動を心がける、という基本的なことが、最も重要なことは言うまでもないでしょう。

「面倒だ」「忙しくて手が回らない」といったことも分かりますが、健康は一度失って、始めてその貴重さに気がつきます。ヘビースモーカーだった高校時代の先生が、狭心症の発作で倒れ、その時に禁煙を決意した、ということが思い出されます。

まずは自分の理想体重、必要な摂取カロリー計算、食事の見直しから始めてはいかがでしょうか。

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