本当は怖い家庭の医学で、以下のような症例が取り上げられていました。

小学校5年生を担任するK・Fさんは、20年来の花粉症。それも周りの人より長引き、夏前まで続くため、毎年この時期は憂鬱でしたが、特に対策はしていませんでした。クラス担任にとって新学期まもないこの時期は特に忙しく、自分の花粉症のことなど後回しにせざるを得なかったのです。そんな中、食事のとき、急に口の中にムズムズとしたかゆみを感じたK・Fさん。かゆみは数十分で治まったため、特に気に留めることもありませんでしたが、その後も更なる異変が彼女に襲いかかりました。

症状としては、
1)口の中のかゆみ
2)口の中がイガイガする
3)じんましん
というものが出ていました。


口腔アレルギー症候群は、花粉症の患者さんなどで、リンゴなどの果実によって口腔内のアレルギー症状が起こる病気です。

原因となる食べ物が口腔粘膜に直接接触することで生じるアレルギー反応と考えられています。原因としては、
・バラ科の果物(リンゴ、モモ、ナシ、イチゴ、サクランボ)
・ウリ科の植物(メロン、スイカ)
・バナナ
・ジャガイモ
などがあります。
これらの原因食品は花粉症の原因花粉類と交差抗原性(アレルギーの原因となる物質が共通して含まれていること)があることが知られており、そのために花粉症の患者さんで症状がみられることが多いと考えられています。含まれる抗原の特徴がきわめて似ているため、こうした交差反応が起こってしまうわけです。

なお、果物のアレルギーがある人の場合、ゴム(ラテックス)にもアレルギーを起こす場合があり、職業上ゴム手袋を用いる場合などでは注意が必要と考えられます。

症状としては、花粉症のある人が、とくに果物・野菜などを食べたあと、多くの場合は15分以内に、食べ物に直接接触した口唇や舌、咽頭がかゆくなったりはれたりします。じんま疹が出たり、目や鼻の花粉症のような症状や、吐き気、腹痛や下痢などの消化器症状が出ることもあります。また、いわゆるアナフィラキシーの症状になり、喘息発作を起こして呼吸困難が生じたり、重い場合はショックに至ることがあります。

番組によると、口腔アレルギー症候群発症のきっかけは、長期に渡って花粉症を放置していること。さらに過労や風邪などによる、抵抗力の低下が引き金となると考えられています。K・Fさんはこの2つの条件にあてはまっていたため、口腔アレルギー症候群を発症してしまったと考えられるのです。

また、口腔アレルギー症候群を起こしやすいのは、4月から6月に症状が出るシラカバ・ブナ花粉症だそうです。この時期に花粉症の症状が強い人は、注意した方が良さそうです。

治療としては、まず原因と考えられる食べ物の摂取を避けることが最も重要です。症状が重い場合は救急的に医療機関で受診し、喘息発作やショックに対する対策が必要になることがあります。薬物治療としては、抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬や、ステロイド薬の内服を一定期間行う場合があります。

口腔アレルギー症候群から身を守るためには、病院で検査を受け、自分がどの花粉症にかかっているかを知ることだそうです。たかが花粉症と放置せず、きちんと治療を受けることが大切、とのこと。

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