ぜんそくで命を落とす人は、国内で年間約3000人もいる。ところが、専門家の調査で、死亡率は地域によって差があり、“西高東低”の傾向があることが分かった。

ぜんそくによる死亡率は、米国では人口10万人あたり1・4人、豪州は1・1人と、欧米先進国は平均して2人以下なのに対し、日本では約2・5人と高い。死者が最も多いのは60歳以上の高齢者だが、若い男性の死亡も目立つ。20〜30代の男性の死亡率を見ると、欧米では100万人あたり約0・4〜1人なのに対し、日本では4〜6人とかなり高い。

こうした状態になっている背景を探るため、同愛記念病院(東京都)アレルギー・呼吸器科の鈴木直仁部長さんは、都道府県別の年齢調整死亡率(年齢構成の異なる地域間で比較できるよう、年齢構成の違いを補正した死亡率)を調べた。その結果、10万人あたりの死亡数は、宮崎、沖縄、徳島、鹿児島、岡山、香川などで多く、秋田、青森、静岡などでは少なかった。その差は3倍以上もあり、ぜんそくの死亡率には西高東低の傾向があった。

日本全体のぜんそく死亡率は、過去10年間で半分程度に下がっている。その要因として、鈴木さんは「標準治療となっている吸入ステロイドの普及率が上がってきたこと」を挙げる。そうした中、西日本で死亡率が高いのは「吸入ステロイドの普及が遅れているためではないか」と鈴木さんは見る。

欧米先進国では吸入ステロイドを使用する患者の割合が約3〜4割なのに対し、日本では約1〜2割と低い。若い男性の場合は、ぜんそくに対する認識が低く、病院になかなか行かないといった理由もあるようだが、十分な治療を受けていないことが根底にある。
(医療ナビ:ぜんそく 呼吸困難で命落とす人は国内で年間3000人)


喘息とは、アレルギー反応や細菌・ウイルス感染などが発端となった気管支の炎症が慢性化することで、気道過敏性の亢進、可逆性の気道狭窄をおこし、発作的な喘鳴、咳などの症状をきたす病気です。

そうした関連からか、高音湿潤な西側の方が喘息患者さんが亡くなる率が高くなってしまっているようです。

治療法としては、吸入ステロイドと気管支拡張薬(β2刺激薬)の併用が標準的な方法となっています。発作が起きた時には短時間作用性(SABA)の気管支拡張薬を使い、予防には長時間作用性(LABA)の気管支拡張薬を使います。

治療方針としては、「できるだけ発作を起こさないようにする」ということで、普段から吸入ステロイドを使って炎症を抑える、ということが重要となります。発作での死亡を減少することが出来るようです。

「喘息を完治する…完治できないなら諦めてしまえ」という投げやりな認識ではなく、「喘息と上手く付き合う」という認識が広まれば、と思われます。

【関連記事】
新たな喘息の治療法−気道平滑筋を焼灼

喘息を起こす免疫細胞はNK-T細胞?