奈良県の大淀町立大淀病院で出産中に意識不明になり約20の病院に受け入れを断られた後、死亡した高崎実香さん(32)のカルテ内容などがインターネット上に流出していることが29日、分かった。医師専用の掲示板に「カルテのコピーを見た」などと書き込まれた文章が、ブログなどに転載された。遺族は、個人情報保護条例や地方公務員法(守秘義務)違反などでの刑事告訴を検討している。

高崎さんは昨年8月、頭痛を訴え意識不明になったが、主治医はけいれんと判断。死因は脳内出血だった。遺族らによると、同年10月に高崎さんの死亡が報道された直後から、医師免許を持つ人しか利用できない「国内最大級」をうたう掲示板で議論が始まった。

同月中に、ある仮名の利用者が「カルテのコピーを見ました。コピーはもう返却しました」などとして、高崎さんが8月7日に入院するまでの記録や診療の詳細など、遺族も知らない内容を書き込んだ。

遺族は「女性にとって大切な情報がいとも簡単に流された。医師のモラルとしてあってはならないこと」と憤っている。ネット上で流出情報を基に遺族らへの中傷も相次ぎ、掲示板では「医師に責任はなかった」とする意見が多いという。
(死亡妊婦カルテがネット流出 医師掲示板から)


医師の守秘義務は、医師法ではなく、刑法(刑法第 134 条 秘密漏示)に定められています。
医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁護人、公証人又ハ此等ノ職ニ在リシ者、故ナク其業務上取扱ヒタルコトニ付キ知得タル人ノ秘密ヲ漏泄シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ百円以下ノ罰金ニ処ス


もちろん、個人を特定できるような情報を、掲示板に掲載するなどは出来るはずがありません。しかも、"ネット上で流出情報を基に遺族らへの中傷も相次ぎ"なんて状況は、あってはならぬものです。

単に倫理的な問題を含む事柄ではなく、「秘密漏示」は"刑法"に触れている行為です。モラル云々という問題以上のことです。医師専用の掲示板とのことで、気がゆるんだのかも知れませんが、今後はこのようなことが起こらぬよう、規約や対処法を考える必要があるようです。

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