「また逢う日まで」「勝手にしやがれ」など5,000曲以上を作詞し、戦後の歌謡曲の黄金時代を牽引した作詞家、阿久悠(本名・深田公之)氏が1日午前5時29分、尿管癌のため慈恵会医大病院で死去した。70歳。兵庫県出身。自宅は非公表。後日、送る会を行う予定。喪主は妻、深田雄子さん。
(作詞家の阿久悠さんが死去 70歳)


左右の腎臓でつくられた尿は、腎杯から腎盂、これに続く尿管と流れていき、膀胱に貯留されます。こうした尿管に発生している癌を、「尿管癌」といいます。その後、排尿時には膀胱から尿道を通って排尿されます。腎盂、尿管と膀胱、尿道の一部は移行上皮と呼ばれる粘膜で構成されています。ですので、尿管癌は、主に「移行上皮癌」と呼ばれます。

喫煙とフェナセチン含有鎮痛剤が原因となると言われています。

症状としては、血尿で気づくことが多いようです。また、尿管が血液で詰まった場合や、癌が周囲に進行した場合などでは、腰や背中の痛みがおこることがあります。尿管が徐々に閉塞した場合には、水腎症(尿を送り出すことが出来ない状態)が起こることがあります。この状態があまりに長期にわたると、腎機能が低下し、最終的に腎不全に陥ってしまうことがあります。

診断としては、肉眼的血尿によって来院する方が多いので、そうした場合、まず出血源を見つけるために膀胱鏡検査が行われます(腎盂・尿管癌より膀胱癌の発生のほうが頻度が高いため)。

その後、尿の癌細胞の有無を確認する尿細胞診検査を行います。尿細胞診では癌細胞の存在のみならず、がん細胞の異型度も判定できることがあります。次に、腎機能の異常がない場合は、排泄性腎盂造影(DIP)と呼ばれる検査が行われます。この検査は、造影剤を静脈より点滴し、何回かX線撮影を行う検査です。この検査によって、造影剤が腎臓から腎盂や尿管に排泄される状況、腫瘍の有無などの異常がわかります。

他にも、腫瘍部のCTや超音波検査が有用であると考えられています。

治療としては、尿管癌に対する治療方針は、外科療法が主体です。術前の画像診断などより浸潤がんであることが疑われた場合、抗がん剤による化学療法を施行した後、手術を行うことがあります。

一般的に、尿管癌はあまり予後が良くありません。表在癌の治療成績は良好ですが、膀胱内に再発しやすいという特徴があります。浸潤癌(周囲の組織に広がってしまっている)であった場合、予後は不良です。

作詞家としてだけでなく、小説家としても有名であった阿久悠さん。ご冥福をお祈りしたいと思います。