yomiDrの医療相談室に、「血圧の上下の差が100近く」が掲載されていました。
この相談に対し、東京医大八王子 医療センター病院長である高沢謙二先生は、以下のようにお答えになっています。
高血圧の薬を飲んでいます。上が160台の時は、下が70台といった状態で、上下の差が100近くあります。主治医は問題がないと言いますが、不整脈の持病もあり、不安です。(80歳女性)
この相談に対し、東京医大八王子 医療センター病院長である高沢謙二先生は、以下のようにお答えになっています。
心臓は、収縮と拡張を繰り返して血液を送り出しています。直径30〜40ミリの大動脈から段階を経て毛細血管に到達し、血液とともに酸素と栄養が体の隅々まで運ばれます。続きを読む
一般的に血圧の測定値は、心臓が収縮して、血液を送り出した時の圧力(上の血圧)と、血液が戻り心臓が拡張する時の圧力(下の血圧)を指します。
加齢などにより動脈硬化が進むと、上の血圧が高いのに、下の血圧が下がる状態になります。これは、心臓に近く太い血管の動脈硬化が進行していることを意味しており、家庭で測る血圧の基準値(上が135以下、下が85以下)よりも低いからといって、安心はできません。
60歳代以降の場合は最近、血管全体にかかる圧力を示す「平均血圧」と、心臓が血液を送り出す拍動の大きさである「脈圧」の考え方が重要視されています。
平均血圧は、「下の血圧+(上の血圧―下の血圧)÷3」、脈圧は「上の血圧―下の血圧」の計算式で大まかに求めることが可能です。目標値は、平均血圧が90以下、脈圧が60以下です。 ご質問者は、平均血圧が100前後、脈圧が90以上であり、いずれも目標値を上回っています。心筋梗塞や脳卒中を起こす危険性が高い状態です。
上の血圧を130〜140に抑えることが理想ですが、まずは140〜150を目指してください。生活習慣の改善だけでなく、降圧薬の増量や薬剤の変更を主治医に相談した方が良いでしょう。