脈は、心臓から押し出される血液の拍動が血管に伝わったもの。「左の手のひらを上にして、手首の親指のつけ根のところを右手の人さし指と中指、薬指の3本をそろえて軽く触れて測る」(慶應義塾大学医学部内科学の小川聡教授)のが基本。親指を反対側に回して手首を支えるのがポイントで、みつからない場合は、少しずつ位置をずらす。手首で測りにくい場合は、こめかみや頚動脈に人さし指と中指をそろえて軽く当てて測ると良い。

通常は1分間の脈拍数を調べるが、日常生活の中で脈を測るときは、15秒間測って4倍にすればよい。正常値の目安は、1分間に約70回。

「脈拍数の正常範囲は人によって違う。まず、食後や運動直後などを避け、ふだんの何でもない状態での自分の脈拍数を知っておくこと。さらに、満員電車に駆け込んだ後や運動中などの脈拍も測り、自分の脈がどう変化するかを知っておくと、いざというときに役立ちます」(小川教授)

不整脈には、さまざまな種類があるが、特に夏に怖いのが「心房細動」だ。通常、心臓は一定の速度で拍動(1分間約70回)しているが、「心房細動」になると、「突然、脈がバラバラになって、脈拍数が1分間に100回以上になる」(小川教授)。このとき、心臓が血液を全身に送り出す補助ポンプの役割をする心房が、細かく無秩序に震えている。そのため、心房の中の血流が悪くなり、特に48時間以上「心房細動」が続くと「血液がよどんで、血栓ができやすくなる。この血栓が脳へと流れ、脳梗塞の1つ『心原性脳塞栓症』を引き起こすことがある」(同教授)。

「心房細動」以外にも危険な不整脈はある。その1つが、安静にしているときに突然、ドキドキと動悸が始まり、パタッと動悸が止まる「発作性頻拍症」。脈拍数は150〜200回程度で、発作は1分間のこともあれば1時間続くことも。

「脈拍が異常に速くなるため、1回に送り出される血液の量が減り、血圧が下がる。めまいや胸苦しさ、胸の痛み、失神などを伴えば要注意」と小川教授。特に、狭心症や心筋梗塞などの心疾患がある場合は、心臓が痙攣(けいれん)して止まった状態になる致死性の不整脈「心室細動」につながることもある。

また、1分間の脈拍数が30〜40回と極端に少ない「徐脈」も、心臓から全身に送り出される血液の量が減り、心不全を起こしている危険性がある。同教授は「これらの不整脈や、心臓に疾患がある人の不整脈は危険。早急に専門医を受診してください」と警告する。
(見逃すな不整脈 脈測る習慣をつけ、異変をチェック)


不整脈とは、心拍数やリズムが一定でない状態を言います。また、心拍や脈拍が整であっても、心電図異常がある場合は臨床的には不整脈です。つまり、正確には心電図をみて、異常がでてきているかどうかを判断します。

心臓は、ご存じの通り、全身に血液を送り出すポンプの働きをしています。ポンプを動かしているのが、電気刺激です。

電気刺激は、まず右心房にある洞房結節(SA node)が興奮し、電気刺激が心房を介し右心房の下方にある房室結節へと伝わります。さらに、興奮は房室結節からHis束、プルキンエ(Purkinje)線維へと伝導し、心筋全体へと電気刺激が伝わっていきます。刺激生成あるいは伝導経路のどこかが障害され、心臓の興奮が正常に伝わらない状態が不整脈を起こします。

不整脈の発生メカニズムとしては、以下のように分けられます。
・刺激生成異常:刺激は洞結節から発生しますが、そこの発生が速くなったり、遅くなったりします。
・刺激伝導異常:刺激が伝わる経路で異常が起こり、上手く伝わらなかったり、勝手に興奮してしまう経路があったり、副伝導路と呼ばれる別の経路がある場合など
 
不整脈には様々な種類が存在し、全く自覚症状を伴わない不整脈もありますが、ある種の不整脈は生命の危険を伴っており、突然死の原因ともなってしまいます。 ただし、普通の人でも体調不良時に不整脈を起きていることはよくあるし、また常時不整脈を起こしている人でも日常生活になんら問題がない場合も多いそうです。

不整脈は、大きく分けて頻脈性不整脈(毎分100回以上)と徐脈性不整脈(毎分50回以下)、心拍異常を伴わない不整脈があります。自分で脈をとって、簡単に分かる異常としては、「脈が速い」「脈が遅い」「脈が飛ぶ感じがする」「リズムに乱れがある」ということなどがあります。

安静にしていて、こうした不整脈がある場合、病院などで精査を受けられることがいいかと思われます。正常値の目安は、1分間に約70回程度だそうです。さらに、日常生活の中で脈を測るときは、15秒間測って4倍にすると簡単に求められます。

簡単に調べられる、という利点がありますので、覚えておいても損はないのではないでしょうか。

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