東京大学の浅島誠教授は、産業技術総合研究所、国立国際医療センターと共同で、培養したマウスの胚性幹(ES)細胞から心筋細胞を効率よく取り出す技術を開発した。2種類のたんぱく質を手がかりに分離する。再生医療による心臓病治療に将来応用できると期待している。
 
マウスES細胞を培養液で約6日間培養すると様々な細胞に成長するが、そこで未熟な心筋細胞に特徴的に発現する2種類のたんぱく質を持つ細胞だけを分離する。さらに3―4日培養したところ、約20%が成熟した心筋細胞になった。分離しないまま培養すると心筋細胞は約2%しかできない。
(東大など、ES細胞の心筋細胞を効率よく取り出す技術)


ES(Embryonic Stem cells)細胞とは、胚性幹細胞といいます。
ES細胞は、動物の発生初期段階である胚盤胞の一部に属する内部細胞塊より作られる幹細胞細胞株を指します。生体外にて、理論上すべての組織に分化する全能性を保ちつつほぼ無限に増殖させる事ができるため、再生医療への応用に注目されています。

ES細胞は、遺伝子に様々な操作が可能であり、更にそれを胚に戻すことで、生殖細胞を含む個体に参加させることができます。このことを利用して、特定遺伝子を組み換えできたり、意図的に破壊してノックアウトマウスを作ったり出来ます。特に、遺伝子を自在に導入したりすることができるので、マウスなどの実験では、すでに広く利用されているそうです。今後、難病治療や再生医療に期待されている分野の研究です。上記の技術により、研究を重ねていくことに確実に寄与することが考えられます。

すでに、イギリスのMagdi Yacoub博士率いる医療研究チームが、たった1つの幹細胞から、人間の心臓の組織を造り出すのに成功しています。さらに、「3年以内には人間の幹細胞から造った心臓の組織を、人間に移植する手術が可能になる」とのことなので、そう遠くない未来に実現するのかもしれません。

【関連記事】
1つの幹細胞から心臓を造り出す技術開発に成功−イギリス

再生医療とは(切断した中指の再生)

ES細胞:ブッシュ米大統領、2度目の拒否権