頭が真っ白になった時は心が解離している状態です。程度の軽い解離現象は日常的に見られます。ぼーっとしていて、他人から肩を叩かれて思わずはっとした時や、読書に没頭していて、周りの事を意識しなくなったような状態ですが、ショッキングな体験によって心が大きく解離してしまった時は以下のような症状が出現します。
・感情が鈍くなる
・周囲への注意や意識が薄れる
・物事に現実感がなくなる
・自分が肉体から離れ傍観しているような、夢の中にいるような感じがする
・ショックを受けた体験を完全に思い出せなくなる

同じ出来事であっても、心が受けるダメージには個人差がありますが、体験が深刻であればある程、特に、生死に関わるような衝撃的な体験後に急性ストレス障害と呼ばれる心の病気が起こりやすくなります。

交通事故、自然災害、暴力事件など生死に関わる体験をしたり、目撃した際の恐怖や無力感によって、心が大きなダメージを受けた時、事件後1ヶ月以内に心の症状が出現するのが急性ストレス障害です。

心の解離による解離症状が現れると共に、その体験がなかなか頭から離れません。事件の光景が脳裏に蘇えるフラッシュバック現象や事件の悪夢があり、事件に関連するモノや状況に遭遇すると、事件の光景が呼び起こされます。神経は過敏になり、ちょっとした事に過剰に反応してしまい、また、睡眠は障害され、感情が不安定になり、集中力は低下し、日常生活で十分機能し難くなります。

トラウマ体験後に起こる心の症状は多くの場合、1ヶ月以内で回復しますが、時には慢性化してしまう場合があり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれる心の病気になる場合があります。

トラウマによる心の症状の出現は体験後1ヶ月以内とは限らず、数ヶ月、数年、時には数十年経過して出現する事があります。一般的に、早期に症状が出現するものほど予後が良好ですが、トラウマから早く回復する為には、事件の体験を他人に話す事が手助けとなります。普段、ちょっとした愚痴でも聞いてもらうと心は軽くなりますが、本当に必要な時に話せる相手がいるという事は心がける事の一つなのかもしれません。
(衝撃的な体験は心をどう変えるのか)


「ストレスを受けた状態」と「PTSD(心的外傷後ストレス障害)の状態」は、具体的にはどのように違うのか、ということに関して、前者(ストレス)は「ゴムボールを握って圧力をかけた状態」で、後者(PTSD)は「紙をクシャクシャにした状態」と精神科の授業で習いました。

前者(ストレス)は、力を入れるのを止めれば、簡単に元の球体に戻りますが、後者(PTSD)は何とか引き延ばして元の状態に戻そうとしても、シワが寄ってしまう(元の状態には戻らない)、ということらしいです。PTSDのようなトラウマ体験は、後々まで引きずってしまうことのようです。

また、上記の
・感情が鈍くなる
・周囲への注意や意識が薄れる
・物事に現実感がなくなる
・自分が肉体から離れ傍観しているような、夢の中にいるような感じがする
・ショックを受けた体験を完全に思い出せなくなる
といった症状は、解離症状といいます。これは、トラウマを思い出すことができなくなったり、離人症と呼ばれる、自分のことなのにまるで他人事のようにとらえている状態です。

犯罪被害を受けた人が、事件直後にも関わらず淡々と語っている、といった状態は、冷静であったり落ち着いている、ということではなく、この解離症状を起こしている可能性があります。

急性ストレス障害は、トラウマから1ヶ月以内の間持続した
・解離症状
・再体験(フラッシュバック、悪夢)
・トラウマを想起させる刺激の回避
・不安、過覚醒

といった症状が見られます。

ニュースで取り上げられ、一躍有名になった言葉ですが、心配なのは安易に使われてしまったり、本当に苦しんでいる人が「大したことない」とみられてしまうことではないでしょうか。心の傷は目に見えないだけに、難しいところではあります。

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