突如、野風(中谷美紀)にやってきた身請け話。身請け話を断ることができないことを知りながらも、野風の仁(大沢たかお)に対する気持ちは日に日に強くなっていくばかりだった。

一方、仁は、佐分利(桐谷健太)らが作った新たな医療器具(聴診器、アンビューバッグ)に感心していたのだが、その医療器具を見たある一人の爺は、鼻で笑い、仁の医療を真っ向から否定する。その爺とは火消し「を組」の親分・新門辰五郎(中村敦夫)であった。その素性を知らず、辰五郎にひるむことなく意見した仁は、次に火事があった時、火事場で治療することを約束してしまう。

ある日、野風からの手紙を受け取った仁は、一緒にいた龍馬(内野聖陽)と共に吉原へ向かう。野風のもとへと向かう仁に、咲(綾瀬はるか)は切なさを募らせていた。“相談がある”とのことで仁を呼び出した野風だったが、それは単なる口実であり、吉原を訪れた仁たちを待っていたのは、野風をはじめとする花魁たちによる宴であった。

(睡眠薬により)酔いつぶれる龍馬をよそに、ついに野風と二人きりになった仁は、野風が顔ばかりでなくその心までも未来(中谷美紀)と似ていることに気付く。

一夜限りの関係を望む野風だったが、その最中に火事が発生する。そのため、現場に駆けつける仁だった。現場で、トリアージの後、救命活動を行う。そこに、辰五郎の部下が熱傷を負って運ばれてくる。呼吸困難を呈し、口腔内にススがみられたことから、気道熱傷を疑った。

「助からない」として、辰五郎は部下を運びだそうとするが、仁はそれを制止し、気管切開を行う。見事、呼吸再開し、部下の命を救った。
(「仁-JIN-」第09話)

トリアージとは


トリアージ(triage)とは、集団災害時など多数の傷病者を同時に扱う際に、優先順位をつけ、最大限傷病者を救命する作業のことを言います。「選別する」という意味のフランス語「トリアージュ」が由来であるといわれています。

具体的な方法としては、傷病者を緊急性と重症度から通常4段階に分類、カラーコード(トリアージ・タッグなど)をつけて判別していきます。トリアージ・タッグは、4色に分けられています(赤、黄、緑、黒です)。ドラマでも、それぞれの反物が用意されており、手首に巻き付けられていました。

それぞれの色の意味は、以下の通りです。
(第1順位):ただちに救命処置、治療施行(最優先治療群)
主要病態は1)窒息、2)緊張性気胸、3)止血可能な持続的出血、4)クラッシュ症候群など。
(第2順位):最小限の対応で数時間の時間的余裕のある病態(準救急治療群)
中等度以下の熱傷、多発骨折、全身状態の保たれている大骨折、脊髄損傷など。
(第3順位):軽傷者
(第4順位):すでに死亡、もしくは助かる見込みがきわめて低い傷病者

トリアージの優先順位別の色(カラーコード)は決められており、赤、黄、緑、黒の順で、世界的にほぼ統一されています。

日本では、1996年5月わが国においてタッグの基本的な枠組みが統一されています。このタッグは防水性で、下端の約1/3がカラーとなっています(下から緑、黄、赤、黒の順)。

カラー部分は厚紙の1枚のみ(両面カラー)ですが、表側にはノンカーボンコピー紙が2枚加わっており、1枚目の薄紙は最初のトリアージ施行場所(災害現場が最も考えられる)ではがされ、2枚目は途中(例えば救急車内)の記録として残され、3枚目の厚紙がタッグとして患者に装着されることとなります。装着部位としては手首を第一選択(外傷などで使えないケースもあります)とし、見えやすくします。

このようなトリアージの操作は、速やかに、正確に施行する必要があります。トリアージオフィサー(責任者)は、救急患者の診察経験のある医師・看護師が好ましいですが、災害現場では救急隊員(救急救命士)がトリアージ・オフィサーとなる可能性が高いです。

このような方法以外に、呼吸・循環・意識状態から行う簡便法としてSTART(simple triage and rapid treatment)法も勧められています。

気管切開とは


気管切開とは、以下のようなものを指します。続きを読む