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甲状腺機能亢進症

「バセドウ病眼症」と診断され、ステロイド薬の副作用心配

yomiDrの医療相談室に、「バセドウ病眼症 薬の副作用心配」が掲載されていました。
2年前から目の調子が悪くなり、「バセドウ病眼症」と診断されました。ステロイド治療しかないと言われましたが、顔が丸くなるなど、副作用が心配で踏み切れません。(52歳女性)

この相談に、隈病院内科部長である伊藤充先生は、以下のようにお答えになっています。
バセドウ病眼症は、自己免疫の異常で、まぶたや眼球の後ろの組織(球後組織)に炎症が起こり、まぶたの腫れや眼球突出が生じます。甲状腺ホルモンが過剰に作られるバセドウ病患者の3割くらいに表れます。目を動かす筋肉(外眼筋)が腫れると眼球の運動障害が生じ、物が二重に見えることもあります。

 検査は、眼球の突出具合や動きを調べるほか、磁気共鳴画像装置(MRI)で、外眼筋の腫れや炎症の状態をみます。

治療は、外眼筋に炎症があれば、大量のステロイドを短期間に集中して用いるステロイドパルス療法を行います。球後組織に放射線をあてる治療や、まれに眼球を引っ込める手術が必要なこともあります。

Basedow病(バセドウ病)とは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプター抗体の刺激により、びまん性の甲状腺腫と甲状腺機能亢進症をきたす自己免疫性甲状腺疾患です。

リンパ球が、自己抗体であるTSHレセプター抗体を産生します。これが、TSH同様の作用をTSHレセプターに伝達するため、甲状腺ホルモンが過剰に産生され、甲状腺機能亢進症が起こります。

簡単に言ってしまえば、自分の甲状腺を異物として誤って認識し、抗体(TSHレセプター抗体)が生じるために起こります。抗体により甲状腺が刺激され血液中の甲状腺ホルモンが増加する疾患です(甲状腺機能亢進症)。

結局の所、この甲状腺ホルモンが血中に増加するために症状が起こってきます。
甲状腺とは、前頸部の喉頭下部から気管上部の高さに存在し、甲状腺ホルモンを産生する内分泌器官です。甲状腺ホルモンは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の2種があり、ヨウ素を含有したアミノ酸の一種です。血中ではそのほとんどが結合蛋白質と結合しており、1%以下の微量遊離型ホルモンが生理活性を示します。

甲状腺ホルモンの機能としては、幼児期の成長と成熟の促進、糖蛋白質・核酸・脂質の代謝促進、酸素消費と熱産生を促進する作用があります。

全身症状としては、体重減少、多汗、易疲労感、暑がり、微熱、口渇、月経不順、無月経、掻痒感などが生じることがあります。

また、循環器症状として動悸、頻脈、労作時息切れ、不整脈などがあります。神経筋症状として、手指振戦、いらいら、多動、不眠、情緒不安定、筋力低下、四肢麻痺などがあります。

さらに、眼症状として特徴的なものがあります。眼球突出、眼裂開大、眼瞼浮腫、複視、視野狭窄、視力低下などが起こることがあります。バセドウ眼症(甲状腺眼症)とは、とりわけ重症型は悪性眼球突出症といわれます。女性が男性より罹患しやすいという特徴があります。

眼球突出は眼窩内の外眼筋や、眼窩脂肪組織など球後組織の増殖による球後組織病です。原因としては、眼窩部球後組織に、自己抗原(TSH受容体や外眼筋特異抗原)が存在する自己免疫疾患と考えられています。

重症度は、Basedow病の重症度や甲状腺機能とは平行しないといわれます。外眼筋の運動障害は、外眼筋病変や外眼筋の眼窩周辺組織との癒着など、複合的な原因による運動制限で起こります。

ステロイドの副作用としては、以下のようにお答えになっています。続きを読む

甲状腺機能亢進症で治療していた-YOSHIKIさん

北米ツアー中のロックバンド、X JAPANのリーダー・YOSHIKIが甲状腺機能亢進症を患っていることが7日わかった。昨年7月の頸椎椎間板孔切除手術前の診断で判明したが、「心配をかけたくない」との意向によりスタッフにもこれまで公表を控えていた。

甲状腺ホルモンの分泌量が過剰になり「一般の人に比べ非常に疲れやすい体質」(主治医)で、このほど滞在先のホテルで気を失って倒れていたところを発見され病気が判明。「一時は甲状腺がんの可能性も示唆された」(同)といい、今のところはその心配はないものの引き続き精査と治療を要する。活動は休止せず、現地時間10日に予定どおりツアー最終公演をニューヨークで行う。

持病の椎間板ヘルニアが悪化し、骨の変形により神経を圧迫する頸椎椎間孔狭窄症と診断され、昨年7月27日に米カリフォルニアで外科手術を受けたYOSHIKIだが、その術前診察で甲状腺肥大と甲状腺機能亢進症も見つかっていた。

重篤になると頻脈などの心循環器の症状や代謝亢進、不眠、麻痺などの神経症状、意識障害を伴う可能性があり、YOSHIKIはレコーディングやコンサートの合間をぬって治療や検査を続けてきた。甲状腺の病気の一つであるバセドウ病と診断された歌手の絢香も昨年末をもって活動を休止し、現在は治療に専念している。
(YOSHIKIが甲状腺疾患を公表 一時は甲状腺がんの疑いも)

甲状腺機能亢進症とは


甲状腺機能亢進症は、狭義では「甲状腺の機能が亢進している状態」を指し、単に血中の甲状腺ホルモンが増加している甲状腺中毒症と区別されます。しかしながら、両者はしばしば同義語として使用され、臨床症状は共通点が多いです。

血中甲状腺ホルモンが増加する原因として、
1) 原発性甲状腺機能亢進症(バセドウ病、機能性甲状腺腺腫など)
2) 破壊性甲状腺中毒症(亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎など)
3) 中枢性甲状腺機能亢進症(TSH産生腫瘍など)
4) 甲状腺ホルモン剤の過量摂取
などがあります。この中で頻度の最も多いものはバセドウ病であり、次いで破壊性甲状腺中毒症です。住民検診などで見つかる甲状腺機能亢進症は、1,000人に対し 1〜6人と報告されています。同様に、外来を受診する一般患者のうち、甲状腺中毒症を有する人は約0.5 %程度存在します。

診断は臨床症状(動悸・頻脈、多汗、手指振戦、体重減少、易疲労感、甲状腺腫)と血中甲状腺ホルモンの上昇(fT4、fT3)が基本となります。

中枢性甲状腺機能亢進症以外では、血中TSHは低下しています。中枢性甲状腺機能亢進症では甲状腺ホルモン上昇にもかかわらず血中TSHは低下していません。バセドウ病では眼球突出などの眼症状合併が参考になります。

バセドウ病の診断基準では、
臨床所見:
i )びまん性甲状腺腫大
ii )眼球突出または特有の眼症状
iii)頻脈、体重減少、四肢振戦などの甲状腺中毒症所見
これらの1つ以上に加え、下記の検査所見を満たす。
検査所見:
i )遊離T4(fT4)高値
ii )TSH低値(0.1μU/ml以下)
iii)抗TSH受容体抗体(TRAb、TBII)陽性または甲状腺刺激抗体(TSAb)陽性

となっています。

甲状腺機能亢進症の治療


甲状腺機能亢進症の治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む

本当は怖い抜け毛−バセドウ病

最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で取り上げられていた内容です。

夫婦で下町の洋品店を営むS・K(46)さんは、誰もが認める商店街のマドンナ。
しかし近頃、自慢の黒髪がやけに抜け落ちるのが気になっていました。「もう50歳近いんだから仕方ない」と半ば諦めつつも、毎晩頭皮マッサージを心がけるようになったS・Kさん。しかし、抜け毛はどんどんひどくなるばかりか、突然イライラすることが増え、更なる異変も現れました。起こってきた症状は、以下の通りです。
1)抜け毛
2)髪の毛が細くなる
3)イライラする
4)動悸・発汗
5)首が太くなる

病院に行き、告げられた診断名はバセドウ病でした。


バセドウ病とは、体内に甲状腺を刺激する抗体(甲状腺刺激ホルモン受容体刺激抗体)が生じ、それが甲状腺刺激ホルモン (TSH) の代わりに甲状腺を過剰に刺激するために、ホルモンが必要以上につくられてしまう病気です。

バセドウ病は、男性よりも圧倒的に女性に多いといわれています。20代から40代を中心に、成人女性の300人に1人は患っているといわれます。

甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を高めるホルモンであり、そのため、甲状腺ホルモンの異常高値によって代謝が異常に活発になることで、心身に様々な影響を及ぼします。たとえば、心臓機能の亢進から動悸が起こってくる、新陳代謝の活発化から発汗過多(汗をかきやすい)、夏の暑さに耐えられない、内分泌のバランスが崩れて精神的に不安定になる、イライラする、集中力が低下するといったことです。

S・Kさんを襲った「抜け毛」は、何らかの原因で甲状腺の免疫システムに異常が発生し、甲状腺の中の細胞を異物と間違え攻撃したため、ホルモンが過剰に分泌。猛烈な勢いで新陳代謝が行なわれた結果、髪の毛は成長するよりも早く、次々に抜け落ちていってしまったと考えられます。

「首が太くなる」という異変は、甲状腺が大量のホルモンを分泌し、腫れあがったものです。これこそがバセドウ病最大のサインで、早期発見の手がかりとなります。

バセドウ病では、他にも眼球突出、高血圧、甲状腺クリーゼという生命にかかわってくる状態に陥ることもあります。S・Kさんは治療を根気よく続けた結果、1年後には病のコントロールに成功。以前と同じ様な生活を送れるようになったそうです。内科的に(服薬によって)治療することも可能なことが多いようです。もしかして、と思ったら是非、病院へ。

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