ミリオンセラーになっている「病気にならない生き方」(サンマーク出版)に、牛乳乳製品に関し科学的根拠が疑わしい記述があるとして、医師や栄養学の専門家らでつくる牛乳乳製品健康科学会議(会長、折茂肇健康科学大学長)は27日、同書の著者、新谷弘実・米アルバート・アインシュタイン医科大教授に質問状を送り、回答を求めた。

新谷教授は同書で、牛乳を作る過程でホモゲナイズ(均等化)することで、乳脂肪は酸素と結びつき過酸化脂質に変化してしまうとし「市販の牛乳は『錆びた脂』ともいえる」と記述。また「牛乳のカルシウムはかえって体内のカルシウムを減らしてしまう」「牛乳の飲みすぎこそ骨粗鬆(しょう)症を招く」など健康への悪影響を述べている。

同会議は「ホモゲナイズしても乳脂肪が酸化されることはほとんどない。牛乳を飲むことで体内のカルシウムが減ることはなく、骨粗鬆症になることもない」などと反論。質問状で、牛乳乳製品に関する記述8項目について、内容を裏付ける科学的根拠を示すよう求めた。
(牛乳は有害?「病気にならない…」著者に質問状)


「病気にならない生き方」の中で、他にも「草食動物と肉食動物では、どちらの方が筋力があるか。それは、草食動物だ。ライオンは、馬や鹿にすら筋肉量が及ばない。そして、草食動物(例えば象やキリン)は草を食べるだけで、あの巨体を維持している。動物性タンパク質は、人間の成長スピードを速める効果があるが、それは成長期を超えた人間の老化を速めることも意味する」といった、くだりがあるがこれもあやふやな根拠じゃないでしょうか。

・「ライオンは、馬や鹿にすら筋肉量が及ばない」
これは、肉食動物と草食動物に必要な筋肉がはじめから異なるから、比較することに意味がないように思います。そもそも、草食動物に追いつくまでのスピード、武器となる鋭い爪や歯、前足を叩き付けるインパクトなどが必要となるだけであって、それ以外の筋力は不要であるということではないのでしょうか?

・「動物性蛋白質→人間の成長スピードを早める→成長期以降は老化を早める」
これも、全く根拠のない話ではないでしょうか。動物性蛋白質は、もちろん過剰摂取は害となりうると思いますが、それがすぐに老化を促すと研究されたわけではないでしょう。

それ以外にも、「お茶のカテキンは胃腸に悪い」といったことも書かれています。
その根拠となるのが、
・「お茶の先生など、仕事で大量のお茶を飲んでいる人には、胃ガンの前駆症状ともいえる萎縮性胃炎を起こしている人が少なくありません」
本当に、こんな相関があるのでしょうか?根拠となる研究データがあるような話しぶりです。

…とまぁ、読んだ当時、かなりツッコミどころがある本だと思っておりましたが、とうとう論拠を求める動きが出てきました。医師であるということもあり、新谷先生はしっかりと訂正するなり根拠を示すなりする義務があるのではないでしょうか。

【関連記事】
「血液ドロドロですね」と不安を煽る悪徳商法の手口

番組で毒草を食べさせられた女性レポーター

頭痛、ムカツキ、吐き気…二日酔いとその対処法