読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
右目の視力が0・1まで下がり、医療機関を受診したところ、「網膜静脈分枝閉塞症」と診断されました。どのような病気ですか。(79歳男性)

この相談に対して、市立札幌病院眼科部長である竹田宗泰先生は以下のようにお答えになっています。
目に入った光が焦点を結ぶ膜を網膜と言い、そこの静脈が詰まる病気を「網膜静脈閉塞症」と言います。静脈は枝分かれしていて、その部分が詰まるのが「網膜静脈分枝閉塞症」です。

静脈が詰まると、そこまで流れてきた血液がたまって出血し、網膜に浮腫が生じます。網膜の中心にある「黄斑」にまで浮腫が及ぶと、視力低下やゆがみなどの症状が出ます。

また、太い静脈が詰まると、網膜が酸素不足になり、新しい血管が発生します。この血管は細くてもろく、そこから眼球内部の硝子体に出血したり、網膜剥離を起こしたりします。

主な原因は動脈硬化です。生活習慣の改善や服薬により、血圧やコレステロール、また、糖尿病の場合は血糖値を管理することが必要です。その上で、いくつかの治療法があります。


網膜静脈分枝閉塞症とは


網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion;BRVO)とは、網膜静脈の分枝に閉塞が起こり、扇状、火焔状の網膜表層出血、網膜浮腫を来す疾患です。

閉塞は動静脈の交差部に起こることが多く、閉塞領域が黄斑部に及んだ場合や黄斑浮腫を合併した際には、視力障害、視野障害を自覚するようになります。

原因としては、高血圧が危険因子となります。これは、網膜の動静脈が交差する部位は血管壁が共通であるために動脈硬化が静脈に波及しやすいからといわれています。また、交叉現象は上耳側に生じやすいため、本症は上耳側静脈域に好発します。

病態としては、動静脈交叉が多い上耳側静脈域の出血が多く、閉塞部位の末梢側で静脈が拡張して透過性が亢進し、出血や浮腫を生じ、綿花様白斑を生じます。この際生じた出血は、数ヶ月で出血は吸収されます。

静脈は白線化し、硬性白斑が残る網膜静脈分枝閉塞症では動静脈交叉にて静脈の閉塞と出血が生じるとともに、それより末梢では毛細血管が閉塞して無血管野となります。こうした病態には、動静脈交叉現象が関係していると考えられています。

動静脈交叉現象とは、高血圧性網膜症において、動静脈はその交叉部において外膜を共有しているために動脈壁が肥厚すると静脈が圧迫されて閉塞します。これより抹消では血液の鬱滞と出血が生じます。交叉現象は上耳側に多いとされています。このため、上記のとおりの好発部位が生じると考えられます。

無血管野領域とは、出血を来たした部位の網膜は毛細血管が閉塞し、のちに無血管野となるとされる。無血管野からは新生血管が増生することになります。

網膜静脈閉塞症のリスクファクターとしては、以下のような既往歴患者が当てはまるとされています。すなわち、緑内障(眼圧異常)、糖尿病、高血圧、血液疾患があります。合併症としては、硝子体出血、血管新生緑内障、網膜剥離があります。

網膜静脈分枝閉塞症の診断


症状としては、霧視感が網膜静脈閉塞症の主たるものになります。これは黄斑部に液の過剰漏出が起こるためです。黄斑部とは網膜の中心であり、中心視力に関係する。黄斑部が過剰の漏出で腫れたら、かすんで見にくくなります。

飛蚊症も起こり、これは視界をさえぎる暗い点状の影です。網膜血管が正常に働かない時、網膜には異常血管(新生血管)が生えてきますが、これは破壊しやすいため、硝子体の中へ血液やその他の液性成分が漏出し、結果、飛蚊症の原因となります。

眼痛も起こることがあります。高度の網膜中心静脈閉塞症にときどき起こります。これは血管新生緑内障と呼ばれ、眼圧が著しく高くなるために起こり得ます。

検査としては、眼底を診察の後、血液検査や蛍光眼底検査を行う。蛍光眼底検査では、眼底の血管からの色素の漏出や血管の閉塞を調べる。また、潜在する全身疾患の状態を知るため、内科受診を勧める場合があります。

網膜静脈分枝閉塞症の治療


網膜静脈分枝閉塞症の治療としては、以下のようなものがあります。続きを読む