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脳卒中

ビタミンBサプリメントで脳卒中が7%減という研究結果

米国神経学会(AAN)は9月18日、ビタミンBサプリメントの服用が脳卒中リスクを低減する可能性を示した研究結果を紹介しています(Can Vitamin B Supplements Help Stave Off Stroke?)。

この研究は14件の無作為化臨床試験の計5万4913人を解析。ビタミンBの使用をプラセボあるいは極低用量のビタミンBと比較し、最低6カ月間参加者を追跡調査しています。

ディアナチュラ ビタミンB群
ディアナチュラ ビタミンB群(60日分)

全試験を通して脳卒中は2,471 件発生しています。いずれの試験でもビタミンBの服用効果が見られ、ビタミンBは脳卒中リスクを7%低減することが示された、とのことです。しかし、サプリ服用が脳卒中の重症度や脳卒中による死亡リスクと関連している可能性は示されなかった。また、葉酸(ビタミンB9)はビタミンB効果を弱めることが示唆され、ビタミンB12は脳卒中リスクを低減しなかった、と報告されています。続きを読む

血圧の上下の差が大きい方、心筋梗塞や脳卒中にご注意

yomiDrの医療相談室に、「血圧の上下の差が100近く」が掲載されていました。
高血圧の薬を飲んでいます。上が160台の時は、下が70台といった状態で、上下の差が100近くあります。主治医は問題がないと言いますが、不整脈の持病もあり、不安です。(80歳女性)

この相談に対し、東京医大八王子 医療センター病院長である高沢謙二先生は、以下のようにお答えになっています。
心臓は、収縮と拡張を繰り返して血液を送り出しています。直径30〜40ミリの大動脈から段階を経て毛細血管に到達し、血液とともに酸素と栄養が体の隅々まで運ばれます。

一般的に血圧の測定値は、心臓が収縮して、血液を送り出した時の圧力(上の血圧)と、血液が戻り心臓が拡張する時の圧力(下の血圧)を指します。

加齢などにより動脈硬化が進むと、上の血圧が高いのに、下の血圧が下がる状態になります。これは、心臓に近く太い血管の動脈硬化が進行していることを意味しており、家庭で測る血圧の基準値(上が135以下、下が85以下)よりも低いからといって、安心はできません。

60歳代以降の場合は最近、血管全体にかかる圧力を示す「平均血圧」と、心臓が血液を送り出す拍動の大きさである「脈圧」の考え方が重要視されています。

平均血圧は、「下の血圧+(上の血圧―下の血圧)÷3」、脈圧は「上の血圧―下の血圧」の計算式で大まかに求めることが可能です。目標値は、平均血圧が90以下、脈圧が60以下です。 ご質問者は、平均血圧が100前後、脈圧が90以上であり、いずれも目標値を上回っています。心筋梗塞や脳卒中を起こす危険性が高い状態です。

上の血圧を130〜140に抑えることが理想ですが、まずは140〜150を目指してください。生活習慣の改善だけでなく、降圧薬の増量や薬剤の変更を主治医に相談した方が良いでしょう。
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片頭痛のある女性は脳卒中リスクが高い

前兆として視覚症状を伴う片頭痛のある女性は、特に喫煙と経口避妊薬を併用している場合、脳卒中のリスクが高いことが新しい研究により示され、米医学誌「Stroke」オンライン版に8月9日掲載された。
 
研究を率いた米メリーランド大学医学部のSteven Kittner博士によると、片頭痛のある15〜44歳の女性のグループが脳卒中を発症するリスクは10万人につき20人と極めて小さい。しかし、その女性が喫煙者である場合や高血圧または糖尿病がある場合、脳卒中リスクは高くなる。

今回の研究は、脳卒中を発症したことのある15〜49歳の女性386人のデータを収集し、脳卒中の病歴のない同年代の女性614人と比較したもの。その結果、視覚症状を伴う片頭痛のある女性は片頭痛のない女性に比べ、脳卒中リスクが1.5倍であった。さらに、視覚症状を伴う片頭痛のある女性のうち、経口避妊薬の使用および喫煙をしている女性は、どちらもない女性に比べ脳卒中リスクが7倍であった。最近片頭痛が始まった場合でも、頻繁な片頭痛や長期間の片頭痛がある場合と同じように、脳卒中リスクの増大をもたらす可能性があるという。

視覚症状のある片頭痛は脳卒中の弱い危険因子(リスクファクター)と捉える必要があり、それ自体についてはどうすることもできないが、どのような予防策を取るべきかに影響するとKittner氏は述べ、同症状のある女性は禁煙し、経口避妊薬の使用について医師と十分に話し合う必要があると助言している。
(片頭痛のある女性は脳卒中リスクが高い)


『視覚症状を伴う片頭痛のある女性は片頭痛のない女性に比べ、脳卒中リスクが1.5倍であった。さらに、視覚症状を伴う片頭痛のある女性のうち、経口避妊薬の使用および喫煙をしている女性は、どちらもない女性に比べ脳卒中リスクが7倍』とのことです。つまり、片頭痛もそれ自体脳卒中のリスクとなるが、さらに他の経口避妊薬や喫煙といったファクターが絡むと、リスクが7倍と格段に上がってしまうようです。

片頭痛の発生メカニズムについては、まだ解明されていない部分もありますが、有力な説としては「セロトニン説」と「神経血管説」の2つがあるそうです。
1)セロトニン説
ストレス・緊張などにより脳が刺激を受けると、血液成分である血小板から血管を収縮させる作用を持つセロトニンが多量に放出されるようになり、脳内の血管が収縮する。時間の経過と共にセロトニンが分解・排泄されて減少すると、一度収縮した血管が逆に広がりはじめるようになり、この時に頭痛が起こるようになるというもの
2)三叉神経血管説
脳から伝えられた何らかの刺激が血管周囲にある三叉神経を刺激し、三叉神経の末端から血管を拡張させる作用をもつサブスタンスPなどのさまざまな神経伝達物質が分泌される。その結果、血管が広がり、その周囲に炎症が起こって頭痛として自覚されるというもの。

治療としては、軽症ではNSAIDs、中等症以上ではトリプタン系薬物(セロトニンという1Bと1D受容体に選択的に作用して血管の拡張と炎症を抑える)が用いられます。エルゴタミン製剤(5-HT1受容体刺激作用を持ち、血管収縮作用をもつ)も有効な場合があります。またカフェインも効果的ということで、コーヒーや緑茶を飲むのも良いといわれています。

片頭痛持ちのかたは多いかと思いますが、特に女性の方はお気をつけ下さい。
片頭痛をお持ちの女性は、禁煙を心がけ、経口避妊薬はそのリスクを考えて使用する、ということが必要となりそうです。

猛暑に気をつける病−血行力学性脳梗塞

最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で紹介されていた内容です。

就寝中に襲われる強い尿意のせいで一晩に何度も目を覚まし、昼間の寝不足状態に悩んでいたK・S(55)さん。友人から「それなら水分を控えればいい」と聞いた彼女は、早速、その夜から寝る前の水分を極力控えるように。すると、夜中のトイレの回数が減り、睡眠不足からも解放されました。

それから半年後の夏、水分を控えていることに加え、汗をかくことで頻尿には殆ど悩まされなくなっていたK・Sさん。クーラーは寝入りばなの1時間だけと決め、朝は汗びっしょりで目覚めていました。ところが、ある朝、起き上がって歩き出した時、なぜか左腕がしびれて力が入らなくなり、その後も足がもつれて上手く歩けないなどの症状に襲われるようになります。

ですが、しばらくすれば治っていたため、放っておきました。また、夜に水分を控え、相変わらず汗びっしょりになって眠るのを続けていました。そんな中で、友人達と旅行に出かけることになりました。翌日に控えていたある日、喉が渇きましたが「夜中にトイレに起きて、寝不足だったら旅行を愉しめない」と思い、水分をとるのを止めてしまいました。

翌朝、予定していた時間より寝坊してしまい、慌てて立とうとしたところ、左足がもつれてしまい、上手く立てません。そうこうしているうちに彼女は倒れ、そのまま意識を失ってしまいました。


K・Sさんの診断は、「血行力学性脳梗塞」でした。
血行力学性脳梗塞とは、いわゆる脳梗塞の一種で、特に動脈硬化を起こし狭くなった脳の血管内で、血栓が詰まっていないにも関わらず血流が途絶え、細胞が壊死してしまう恐ろしい病です。原因としては、血圧が急に下がったり、脱水状態になったりすると、血液の流れが極端に減少して梗塞に陥ることがあります。血液の粘り気が高くなったりすると、血管が狭くなっている部分から先の血液の流れが減少してしまうのです。

K・Sさんの場合は、夜中トイレに起きないよう、寝る前の水分補給を控えた上に、熱帯夜だというのに寝入りばなしかクーラーを入れなかったため、寝汗によって大量の水分を失ってしまったようです。その結果、血液の濃縮にいっそう拍車がかかってしまったと考えられます。

慌てて立ち上がったため、脳の血流が減少してしまいました。通常なら、脳を流れる血液の量は一時的に減少しますが、すぐに回復します。ところが、K・Sさんの場合、血液の濃縮が進んでいたため、血液が脳にいく圧力を維持できませんでした。就寝中は、かろうじて維持されていた脳の血流が完全に途絶えてしまいました(血行力学性脳梗塞を起こした)。

友達が発見してくれたことで命を取り留めたK・Sさん。それからは、しっかりと水分を摂り、まだ暑い状態でクーラーを切ってしまわないようにした、とのことです。特に、動脈硬化が進んだご高齢者はお気をつけ下さい。

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