父親または母親が中高年で授かった子供は自閉症になる危険が大きいとする調査報告を、オークランドの医療グループ、カイザー・パーマネンテの研究部門の疫学専門家リサ・クローエンさんらが発表した。
 
自閉症は人との接触における障害や、反復行為などがあらわれるもので、米疾病対策センター(CDC)によると、米国では150人に1人がこれに相当する。

クローエンさんらはカイザー・パーマネンテ病院で1995−99年に生まれた13万2,844人の子供について調査した。593人が後に自閉症と診断を受けたが、これらの子供の出生時の親の年齢を調べ、もう1人の親の年齢や人種、両親の教育レベルなどを調整したうえで、子供が10歳までに自閉症と診断されるリスクを、親の年齢別にはじき出した。

その結果、父親は20歳未満が387人に1人、20−24歳だと203人に1人、25−29歳だと176人に1人、30−34歳だと154人に1人、35−39歳だと128人に1人、40歳以上だと116人に1人だった。

母親は20歳未満のグループから251人に1人、182人に1人、156人に1人、149人に1人、130人に1人、123人に1人と増えている。母親と比べ、父親の方がリスク上昇が顕著であることが分かる。
(中高年で授かった子供…自閉症になるリスクが大)


自閉症の定義としては、3歳位までに症状があらわれ、
1.社会的な相互交渉の質的な障害
2.コミュニケーション機能の質的な障害
3.活動と興味の範囲の著しい限局性
の3つを主な特徴とする行動的症候群とされています。

現在では先天性の脳機能障害によるとされており、多くの遺伝的因子が関与する(遺伝子異常)と考えられています。

症状としては、言語の発達の遅れ、対人面での感情的な交流の困難さ、反復的な行動を繰り返す、行動様式や興味の対象が極端に狭いなどの様々な特徴があります。

「自閉」という言葉から、他者とのかかわりを一切持たない、寡黙というイメージを連想することもあるが、実際の自閉症の場合は、一般的に恥ずかしいと思って秘密にするような事でも正直に話してしまうなど、むしろイメージ的には自閉とは逆の「自開」であるという人もいるそうです。

現代医学では根本的な原因を治療する事は不可能とされています。「TEACCH」「ソーシャルスキルトレーニング」などの各種プログラムなどによって、健常者に近い社会生活が送れるようになる場合もあるが、これらのプログラムは本人の社会生活における困難を軽減するものであって、根本的な原因が治癒したわけではないとされます。

ですが、高度の障害を除き、自閉症の特徴が高齢になるまで続くことは少ないとされています。歳をとるにつれ、その特徴的な行動が減っていく例も多く報告されています。

今回の研究結果では、男性の年齢が高くなって授かった子にリスクが大きくなる、というもの。ですが、一概にそれが原因となると判明したわけではありません。男性の年齢が高い、ということは、パートナー女性も高齢出産の可能性が高いとも考えられますし。さらなる研究が待たれます。