生まれてくる赤ちゃんの先天異常のリスクを減らす栄養素「葉酸」について、食品やサプリメントで積極的に取っている人は少ないことが、専門医らの調査で分かった。妊娠が可能な年齢の女性に対し、厚生労働省が摂取を呼びかけ始めて6年余り。専門医らは「認知が進んでいない」として、啓発を目的としたグループを新たに発足させ、葉酸を摂取する習慣を身につけることを呼びかけている。

葉酸は、ビタミンB群の一種。タンパク質などの合成に作用し、細胞の生産や再生を助け、体の発育を促す働きがある。このため、胎児の新しい細胞がつくられる妊娠期のお母さんにとって、葉酸は不可欠な栄養素とされている。

特に摂取が重要といわれる時期は、胎児の脳と脊髄の形ができ始める妊娠初期。この時期に葉酸を十分に取らないと、先天性の疾患を招く恐れがある。中でも、排泄機能の障害や下半身まひを引き起こす二分脊椎症など神経管閉鎖障害を発症するリスクが高くなるとされる。また、妊娠後期の摂取不足により、低体重のリスクが高まるといわれる。国内では、1,000人に1人が神経管閉鎖障害で生まれてくる。

厚労省は平成12年12月、妊娠可能年齢期の女性に1日当たり0.4ミリグラムの葉酸の摂取を促すよう都道府県などに通知。ところが、16年の国民健康・栄養調査によると、摂取量は20〜29歳0.244ミリグラム、30〜39歳0.285ミリグラムにとどまっている。
(知っていますか「葉酸」 赤ちゃんの先天異常減らす栄養素)


葉酸はビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸とも呼ばれ、水溶性ビタミンに分類される生理活性物質です。

1941年に乳酸菌の増殖因子としてホウレンソウの葉から発見されたことからも分かるとおり、ホウレン草や、レバー、緑黄色野菜、果物などに多く含まれています。

一日あたり、0.4mgを目安に、妊婦さんたちは摂られると良いかもしれませんね。

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