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遺伝子治療

パーキンソン病 遺伝子治療で改善結果

体のふるえなどが起きるパーキンソン病患者の脳内で不足する物質を、遺伝子治療によって増やし、症状を改善することに、米コーネル大などの研究チームが成功した。

臨床試験の初期段階で、対象の患者は12人だけだが、治療から1年たっても効果は持続している。詳細は23日付の英医学誌ランセットに発表する。

研究チームは、神経の興奮を抑えるGABAという物質が、患者の脳内の視床下核という部分で不足することに着目。GABAの生成を促す酵素「GAD」の遺伝子を特殊なウイルスに組み込み、視床下核に入れた。注入は、半身の左右どちらかをつかさどる部分だけに行った。

その結果、注入部位に対応する半身で、症状が12人とも緩和。パーキンソン病の重症度を表す点数が、注入前に比べて1年後には平均27%も下がった。ウイルスが細胞に感染し、GADを作り出しているらしく、副作用は見られない。

研究チームは今年後半から、患者の数を増やして効果を確かめる第二段階の臨床試験を計画している。
(パーキンソン病治療に光明?米大学で症状改善に成功)


パーキンソン病では、基底核の黒質と呼ばれる部位の神経細胞が変性するために、ドパミンの産生量が減り、その結果、
1)静止時振戦(筋肉が使われていないときに起こるふるえ)
2)筋強剛(筋肉の緊張度が高まって、硬くなる)
3)動作緩慢・無動(筋肉を上手く動かせず、ゆっくりとした動きになる。また、歩くとき、最初の一歩が踏み出しにくいなど)
4)姿勢反射障害(後ろにちょっと倒されても、姿勢を元に戻すことが難しく、よろける)
を四主徴とした症状が現れる疾患です。

パーキンソン病は、徐々に進行します。多くの人の初期症状は、手を動かしていないときに起こる、粗くリズミカルな振戦です(静止時振戦)。振戦は手を意図的に動かしているときにはあまり起こらず、睡眠中はまったく起こりません。

治療としては、レボドパ(L-DOPA)がもちいられています。レボドパは、振戦や筋肉の硬直を抑え、運動能力を改善するのに最も効果がある薬です。レボドパの治療はパーキンソン病の症状を劇的に改善します。

ですが、レボドパの服用を5年以上続けると、薬がよく効いている期間とまったく効いていない期間が急速に入れ替わる、オンオフ現象と呼ばれる効果が半数以上の人に現れてきます。オンオフ現象では、数秒の間に、かなり動くことができる状態から重い障害状態へ急激に変化します。

また、レボドパの副作用に耐えられない人もいます。こうした人たちには、遺伝子治療が光明になるのではないでしょうか。是非とも臨床応用化されて欲しいと思われます。

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パーキンソン病:自治医大病院、初の遺伝子治療 脳内物質生成へ

自治医大付属病院(栃木県下野市)は7日、パーキンソン病患者に国内で初めて遺伝子治療を行ったと発表した。病気は脳内の神経伝達物質ドーパミンの減少で発病する。治療ではドーパミンの生成を促す酵素の遺伝子をウイルスベクター(運び屋)に組み込み、脳内の線条体に注入した。薬物への依存度や副作用が低い治療が期待できるという。

中野今治教授(神経内科)らによると、発病後約11年が経過した50代の男性患者に、「L−アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)」の遺伝子を注入した。この治療法は米国で6例実施され、重大な副作用は確認されていないという。同病院は今後、6カ月かけて安全性と効果を検証する。
(パーキンソン病:自治医大病院、初の遺伝子治療 脳内物質生成へ)


パーキンソン病は、脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加とを病態とし、錐体外路系徴候を示す病気の一つです。ドーパミンを産生する黒質の変性が病態として考えられています。

症状としては、
1)静止時振戦:安静よりも、むしろ精神的な緊張で増強する。動かそうとすると、少なくとも一瞬は止まる。書字困難もみられる。
2)筋強剛(筋固縮)
3)無動(仮面様顔貌、すくみ足)(akinesia)
4)姿勢保持反射障害(postural instability)(前傾姿勢、小刻み歩行、加速歩行)
の4つを主徴とします。初めは、たいてい左右差がみられる。

治療としては、ドーパミン前駆物質 (L-Dopa)、ドーパミン受容体作動薬、ドーパミン放出薬(アマンタジン)、MAO-B阻害薬 (FP)、抗コリン剤などを用いますが、L-Dopaなどは、当初は劇的に効きますが、L-Dopaをドパミンに変える神経細胞自体が減少していくため数年で効かなくなること(Wearing off)や、早期投与が神経細胞減少を加速してしまうということや、on/off現象と呼ばれるL-Dopa服薬に関係無く、症状が軽快したり(on)悪くなったり(off)することなどが起こります。

故に、薬以外の治療法が開発され、しかも対症療法ではない治療法ともなれば、非常に期待されます。

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難病・カナバン病 死を宣告されたある少女の記録

人体再生ロマンスペシャル3 もう一度抱きしめたい」で取り上げられていました。

虚ろな表情、焦点の合わない眼…母親が呼びかけても、何の反応も見せない少女、レイナ・スワンシー。彼女は、生後5カ月のとき、『カナバン病』と宣告された。当時、それはいまだ有効な治療法の見つからない、死に至る病と考えられていた。

カナバン病とは脳を破壊する進行性の遺伝子疾患。生後まもなく、脳や神経の発達に異常をきたし筋肉を始めとする身体機能が発達せず、普通、4歳前後で死に至るという。

死の宣告をされ絶望に立たされる家族。しかし最先端の遺伝子治療が運命を変えた。
2003年、幼児には世界初という脳外科手術を伴った遺伝子治療をレイナは受けた。それは、レイナの頭部に6カ所の穴を開けそこから正常な遺伝子を取り込むという、画期的なものだった。

レイナはいま6歳、知能も徐々にだが回復の兆しをみせている。最先端医療が、常識を覆したのだ。しかし今も闘病の日々は続いている。


カナバン病は、海綿状硬化症(Canavan病)とも呼ばれ、生後まもなく大頭症、無関心状、筋弛緩、失明などで発見され硬直、痙攣などが急速に進行して、患者さんは3年以内に亡くなってしまいます。大脳皮質下に多発性の海綿状の空胞変性がみられることから、海綿状硬化症と呼ばれます。

アスパルトアシラーゼという、N-アセチルアスパラギン酸(NAA)を加水分解する酵素がありますが、この欠損症がカナバン症と言われています。ドキュメントの"遺伝子治療"というのは、この欠損を治すということなのでしょうか。

それにしても、6歳まで生き存え、しかも知能回復までみられるというのなら、遺伝子治療は大成功を収めたといっても過言ではないのではないでしょうか。

倫理的に問題があったり、方法として確立していないなど、多くの問題はあるかも知れませんが、現に救われた女の子がいる、ということは、このドキュメントを通じて、しっかりと認識されるべきではないでしょうか。

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